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サステナブルなシューズを提供してきたオールバーズは、事業で失敗して売却されることになったが、天然素材や植物由来素材の製造ノウハウを公開し、業界をサステナブルに進化させるという功績を遺した。

世界で初めてネット・ゼロカーボン(CO2換算排出量0kg)を実現した、サステナブルなシューズを開発・提供してきたオールバーズが売却されることになった。個人的にも愛用しており、やや高めだがデザインや履き心地は悪くないと思っていたので残念だ。 オールバーズについて書いた最近のTRELLISの記事があったので日本語で紹介する。これを読み限りは、オールバーズは業界をサステナブルに進化させることには貢献したが、今後オールバーズの理念が維持されるかは不透明だ。 (以下、TRELLIS記事) 天然素材へのこだわりと、競合他社への低炭素生産手法の公開に積極的な姿勢で知られるシューズブランド「オールバーズ」が、3,900万ドルで売却された。これは、2021年の上場当日の企業価値40億ドルに比べれば、ごくわずかな金額に過ぎない。 エド・ハーディやエアロソールズなどのファッションブランドを運営するアメリカン・エクスチェンジ・グループへの資産売却は、オールバーズの株主による承認を条件としている。問題がなければ、この取引は第2四半期中に完了する見込みだ。...

中東情勢悪化により石油市場が混乱する中、「デコ活」により石油・ガスの使用量削減を促進する流れがあっても良いのでは。

中東情勢の悪化による石油市場の混乱が消費者に与える影響を緩和するため、IEAが政府や企業、家庭が実施可能な石油・ガス使用量削減のための以下10の措置を提案した。 1. 可能な限り在宅勤務を行うこと。 2. 高速道路の速度制限を少なくとも時速10キロメートル引き下げること。 3. 公共交通機関の利用を促進すること。 4. 大都市では、自家用車の道路利用に関してナンバープレートによるローテーション制度を導入すること。 5. カーシェアリングの拡大と、環境負荷の軽減に配慮した効率的な運転手法を採用すること。 6. 商用車および貨物輸送における効率的な運転(運転技術の向上、車両のメンテナンス、積載量の最適化など)を採用すること。 7. LPガスとガソリンを併用する車両では、燃料をガソリンに切り替えLPガスを調理など生活・必須用途向けに優先的に確保し、LPガスの輸送用途からの転換を行うこと。 8. 代替交通手段がある場合は航空機の利用を避けること。 9. 可能な限り、調理方法はLPガスを利用するものから、電気調理など近代的なものに切り替えること。...

スポーツとサステナビリティの関係とは?「健康や福祉の増進」「DE&I推進」に貢献するほか、「猛暑によるスポーツの制約」に対応していく必要もある。

スポーツとサステナビリティの関係を考えてみる。 スポーツは、「持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」で「スポーツは持続可能な開発における重要な鍵となるものである」と記載されているように、サステナビリティを促進する力を持っている。SDGsとの関係で言えば、SDGs目標3「健康と福祉の推進」には直接的に貢献する。人種、ジェンダー、経済格差を超えて一体感を醸成するスポーツは、SDGs目標5「ジェンダー平等の実現」、SDGs目標10「不平等をなくす」にも貢献する。また、スポーツを通じて環境問題などへの啓発を行うこともできる。 日本サッカー協会のHPでも以下のように記載されている。 -スポーツは、年齢、性別、人種、国籍、障がいの有無などに関係なく、だれもが、いつでも、どこでも楽しむことができ、ダイバーシティ&インクルージョン(多様性と包摂)を促進することができます。」 -スポーツは、世界中の若者を惹きつけ、一人ひとりの心身の健全な発達に役立ちます。 -スポーツは、環境保全や犯罪防止、災害からの素早い回復や子どもの貧困対策といった、様々な課題解決のツ

「1,100件のCSRD報告書からの学び」。欧州の開示規制により、サステナビリティ報告書はより分厚く、標準化が進んだ。ベンチマークは容易になったが、企業が独自のストーリーを構築する余地は狭まっている。第三者検証は、四大監査法人を活用。

EU規制が改正され、CSRDの適用対象となる企業数が大幅に減り、報告書の提出期限も延期された。しかし、多くの大企業は、以前の指令で求められていた通り、すでにCSRD報告書の提出を開始していた。 現在、欧州各地の研究者たちが、無料で利用できる”Sustainability Reporting Navigator”に、こうした報告書を1,100件以上集めている。サステナビリティ専門サイトのTRELLISがケルン大学の財務会計の専門家ミュラー氏に、これまでに提出された報告書から彼と同僚たちがどのような知見を得たのかを尋ねた。 これらは、一般的なサステナビリティ報告書とは一線を画すものだ サステナビリティ報告の分野は、いまだに「無法地帯」のような状態だ。GHGプロトコルの排出量算定ガイドラインなど、多くの企業が従う一般的なルールは存在するが、それらは主に任意のものだ。また、そうしたルールを超えて、企業は自社のニーズに合わせて、排出原単位などの特定の指標を策定し、優先順位をつける裁量を持っている。 対照的に、CSRDはコンプライアンス制度であり、規則に違反

収支トントンで社会にインパクトを生み出すソーシャルビジネスをどう考えるか?財務+非財務のリターンが資本コストを超えることを目指すべきか?

先日、サステナブルブランド国際会議でLIXILのソーシャルビジネスの話を聞いた。 LIXILは2011年、INAXやトステムなど主要メーカー5社が統合して誕生したが、LIXILとしての求心力として「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」というパーパスを策定した。このパーパスを体現するものとして生まれたのが、LIXILのソーシャルビジネスである簡易式トイレ「SATO Pan」だ。 世界では、安全に管理された衛生設備を利用できない人が34億人に上り、衛生環境に起因する疾患により、毎日1000人以上の子どもたちが命を落とし、3億5400万人が野外排せつを余儀なくされているという。「SATO Pan」は、この課題を解決するために開発された。数ドルという安価な製品ながら、少量の水とカウンターウェイトによって弁が自動的に開閉する仕組みを持ち、ハエなどの虫や悪臭を遮断する。 LIXILは、このSATO Panを無償で寄付するのではなく、ソーシャルビジネスとして展開している。「寄付は即効性があるものの、業績が悪化すれば予算が削られるなど、一時的な解決策に

コーポレートガバナンス・コードの改訂を機に、サステナビリティ方針を見直すべきではないか。

先般金融庁が提示したコーポレートガバナンス・コード(CGC)改訂案では、サステナビリティに関する記述を「第2章 株主以外のステークホルダーとの適切な協働」から「第4章 取締役会等の責務」に移管し、原則で「取締役会は、中長期的な企業価値の向上の観点から、サステナビリティを巡る課題に積極的・能動的に取り組むべき」と規定している。これまでの「上場会社は、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題について、適切な対応を行うべき」という規定に比べて踏み込んだ内容となっている。 サステナビリティが重要な経営課題であり、中長期的な企業価値を判断する上でサステナビリティ情報が重要であるとの認識が広まり、ISSB基準が各国で適用されていることなどを踏まえ、サステナビリティのコーポレートガバナナンス上の位置付けを格上げしたものと言える。 CGC改訂案では、原則で「自社のサステナビリティを巡る取組みについて基本的な方針を策定するほか、適切な対応を行うべき」とも規定している。 CGC改訂案はサステナビリティの基本的な方針の策定を求めているが、これまで「日本企

IPBES報告書がビジネス環境のCSVを提唱

「生物多様性と自然」に関わる科学的評価を実施するIPBES(気候変動におけるIPCCに該当)が、初めてビジネスに焦点を当ててまとめた「ビジネスと生物多様性評価報告書」の政策決定者向け要約が発表された。 2026年10月にはCOP17が開催され、昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)の中間レビューが行われる。2030年目標に向けた折り返し地点となるこのタイミングで発表された報告書は、企業や政府などが生物多様性の現状を評価し、さらなる行動を加速させる上で重要なメッセージを含む。 IPBES報告書は、産業革命以降の急速な自然の損失の主たる原因は、急速な経済発展の中核であるビジネス活動にあるとしている。一方で、企業によるTNFDにもとづく情報開示行われているが、実質的な取り組みは進んでいない。 企業の取組みが進まないのは、自然を破壊する経済活動への補助金の存在など、企業活動が自然の損失につながるインセンティブが支配的で、自然資本を保全するインセンティブがないためだ。(報告書は、自然に負の影響を及ぼす資金は約7.3兆ドルである一方、自然に正の影響を及

「京浜工業地帯の父」浅野総一郎は、サーキュラーエコノミーの先駆者でもあった

私の故郷である富山県氷見市出身の偉人として真っ先に名前があがるのは浅野総一郎です。明治維新から日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦という激動の時代に、この先日本にとって必要となる事業は何か考え、石炭、セメント、海運、造船などの事業を次々と立ち上げ、京浜工業地帯の礎を築き、「京浜工業地帯の父」と呼ばれています。 浅野総一郎は、「九転十起の人」とも呼ばれ、失敗してもくじけない、不屈の精神でも知られています。浅野総一郎はまた、「世の中には無用なモノはない」という精神も持っていました。総一郎は、「大根の切れ端でも漬物になる。この世で利用価値のないものはない。自分は廃棄物利用の天才だ」と言っていたそうです。今でいえばサーキュラーエコノミーにつながる考え方です。 浅野総一郎が事業家として飛躍するきっかけとなったのは、この精神にもとづく廃棄物の活用、石炭の営業先である横浜ガス局が処理に困っていたコークスの活用です。ガスを製造するために石炭を蒸し焼きにすると残骸としてコークスが大量に発生します。また石炭から出るガスを精製する際にはコールタールが残留物となります。横

2026年のサステナビリティ戦略。サステナビリティが企業価値につながる事例が増える一方で逆風も吹く時代、企業は全力疾走すべき時、減速すべき時、小さな一歩を踏み出すべき時を見極めて柔軟に対応することも必要

サステナビリティが企業価値につながる事例は増えているが、一方で反ESGの動きもある。こうした時代において、企業はどのようにサステナビリティ戦略を舵取りすべきか。TRELLISの記事を紹介する。 2025年が明らかにし、2026年がすでにサステナビリティに関して再確認していることは、「緊張とトレードオフ」が常にサステナビリティ経営の核心であり、そして近い将来もそうあり続けるだろうことだ。 サステナビリティは常に浮き沈みを繰り返してきた。しかし、2020年代初頭の主流化から現在の極端な政治的反発への移行は、基盤を揺るがすものとなっている。 昨年、我々は 『2025年のサステナビリティ戦略の立て方』 を発表し、この分野が経験したことのない時代に企業がいかに戦略的であるべきかを考察した。調査の結果、我々が「Sustainability Tension Management」と呼ぶ能力—利益(Profit)、環境(Planet)、人々の幸せ(People)のバランスを最適化する方法について戦略的な選択を行う能力—が不可欠であることが明らかになった。リーダー

サーキュラーエコノミーの不都合な真実

先日の日経ビジネスに「循環型経済の『不都合な真実』」という記事が掲載されている。同記事によれば、サーキュラーエコノミーは、以下のような課題を抱えている。 リサイクルは環境負荷を増やすことがある。 製品や資源を回収して再利用するには、エネルギーと新しい資源が必要で、リサイクルするより新しく作ったほうが環境負荷の低い場合もある。コンクリートについて、EUは解体廃棄物のリサイクルによってセメント需要を5~15%減らせると想定していた。しかしケンブリッジ大学の報告によれば、「コンクリートを砕いて骨材として再利用すると、従来の骨材を使うよりも多くのセメントが必要になることが多い」「リサイクルによる資源節約効果は、品質の低い材料を再加工するために投じる追加エネルギーコストで帳消しにされる」という。 リサイクルが増えても資源の消費量は減らない 現状では、廃棄物の総量よりも消費資源の総量のほうが多く、すべての廃棄物100%リサイクルできたとしても、新しい資源の投入が必要となる。リサイクルは、消費拡大という根本問題の解決策にはならず、「リサイクルしているから大丈夫

マイクロソフトがデータセンターの負の影響に対応し、地域の電力料金を上昇させない、水使用を最小限とし使用する以上の水を補充するなどのコミットメントを発表。負の影響がもたらすリスクへの迅速な対応はサステナビリティ経営の参考となる。

AIが急速に普及する中、そのインフラとしてのデータセンターの建設も急速に進んでいる。しかし急速な変化は必ず負の影響ももたらす。データセンター建設に関しては、日本国内でも排熱、排気、排水、騒音、日照権などへの懸念から一部地域で反対運動が起こり、計画が頓挫している。 米国では、2025年に25件のデータセンタープロジェクトがキャンセルされており、2024年の6件から大きく増加している。反対の最も大きな要因は水使用で、反対のある地域の40%で争点となっている。次いでエネルギー消費と電気料金の上昇が反対要因となっている。 こうした動きを受けて、マイクロソフトは、AIインフラの成長は地域との信頼関係がなければ成り立たないとして、「コミュニティ・ファーストAIインフラ計画」を発表した。この計画・イニシアチブは、以下の5つのコミットメントから構成される。 1. データセンターが地域の電気料金を上昇させないよう必要なコストを支払う。 2. 水使用を最小限とし使用する以上の水を補充する。 3. 地域のための雇用を生み出す。 4. 地域の病院、学校、公園、図書館のた

2026年のサステナビリティは、地政学的分断、AI普及の影響を受けて、気候変動への適応、淡水需要への対応、サプライチェーンのレジリエンス、自社ならではの考えにもとづくサステナビリティ経営・情報開示などが重要となる。

2026のサステナビリティトレンドに関する情報が共有されている。多くは今年1年というよりは、今後のトレンドを示している。サマライズすると以下のような感じだろうか。 【ドライバー】地政学的分断、AIの普及 【重要となる取り組み】気候変動への適用、エネルギー政策、淡水需要への対応、労働力の確保、サプライチェーンのレジリエンス、自社ならではの考えに基づくサステナビリティ経営・情報開示 ①    地政学の影響で国家・地域間でサステナビリティの取組みが分断化され、その結果グローバルでの気候変動緩和の歩みが弱まり気候変動への適応が重要となる。 ②    AIの普及による電力需要増加、米国などの再エネ反対・化石資源活用の動きと中国の再エネ技術の進化の中、地政学要因も踏まえたエネルギー政策が重要となる。 ③    AIとデータセンターの拡大がエネルギーに加え水需要を増加させ、水不足や食料システムへの影響が懸念される。 ④    DE&I反対、移民排斥などの流れがある中、高齢化が進む社会で労働力をいかに確保するがが課題となる。 ⑤    地政学的分断と気候変動の影

チーフ・サステナビリティ・オフィサーは不要になりつつあるのか?批判派は、サステナビリティが財務的・運営上の重要性を帯びる中で、権限を伴わない影響力では不十分であるためCSOの存在意義が失われつつあると主張する。擁護派は、気候リスクから地政学、AIに至る複雑性の増大が、統合的なシステムレベルの経営幹部をこれまで以上に不可欠にしているとの反論を展開する。

過去20年間、チーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSO)は、サステナビリティの進化の象徴的存在だった。企業がこの役職を設置することは、気候変動、社会インパクト、ガバナンス、透明性、レジリエンスなどへの真剣な取り組みを示すものだった。 状況は変わりつつある。一部では、CSOはもはや先駆者というより遺物と見なされ、建設的な存在というより官僚的だと見なされる傾向にある。CSOはますます不要になりつつあるのだろうか?答えはイエスでありノーでもある。 一方で、サステナビリティ戦略とその実行は事業部門や機能部門(調達、財務、法務など)に分散され、単一の部門が必要とされるケースは減少している。他方で、経営陣レベルにサステナビリティ戦略、目標、コミットメント、透明性を「所有」する専任の責任者が必要である。つまり、それは議論の余地がある。 CSOは不要であるとの主張の理由 一部の企業では、サステナビリティは全員の仕事にもなれば、誰の仕事にもならない。気候リスクは財務部門が担う。サプライチェーン排出量は調達部門が管理する。製品のサステナビリティは研究開発部門の管

サステナビリティとサステナビリティ経営の変遷。1990年代の環境経営、2000年代のCSR経営、2010年代のESG経営を経て、反ESGの動きもある中2020年代のサステナビリティ経営はどう進化するか?

サステナビリティおよびサステナビリティ経営が歴史的にどう進化してきたか、改めておさらいする。 サステナビリティは経済成長の負の側面としての環境問題への対応からはじまった。1962年にはレイチェルカーソンが「沈黙の春」で化学物質の汚染問題を提起している。日本でも1950年代後半から1970年代の高度経済成長期において、工場などから発生した有害物質によって公害病が引き起こされた。WWFやグリーンピースが設立されたのもこの時代だ。 1972年には、ローマクラブが「成長の限界」を発表し、資源と地球の有限性に着目してコンピューターシミュレーションを行い「人口増加や環境汚染などの現在の傾向が続けば、100年以内に地球上の成長は限界に達する」と警鐘を鳴らしている。同年には、環境についての世界で初めての大規模政府間会合「国際連合人間環境会議」が開催された。 1970年代には地球温暖化も科学者の間で注目されるようになり、1985年に初めての地球温暖化に関する世界会議が開催され、1988年にIPCCが設立された。 サステナビリティの考え方については、1987年に「環

「生産性と人間性をどう両立するか」「成功できるかではなく、役に立てるかを人生の軸とせよ」サステナビリティ経営や生き方に重要な示唆を与えるP.F.ドラッカーとジム・コリンズの対話

経営にサステナビリティを統合するうえでの理論的支柱となっている代表的経営思想家として、P.F.ドラッカー、ジム・コリンズがあげられる。 ドラッカーは、 「マネジメントには、自らの組織をして社会に貢献させる上で三つの役割がある。①自らの組織に特有の使命を果たす、②仕事を通じて働く人たちを生かす、③自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献することだ」 というサステナビリティ経営の基本となる考え方を提示している。 コリンズは、 「ORの重圧をはねのけ、ANDの才能を活かす」「基本理念を維持し、進歩を促す」「社運をかけた大胆な目標(BHAG)」「針鼠の概念」「10X型リーダー」「20マイル行進」「銃撃に続いて大大砲発射」 というサステナビリティ経営を進めるうえで重要なコンセプトを提示している。 その2人の対話についてコリンズが語っている。「ビジョナリー・カンパニー」を出版したばかりのころ、コリンズはドラッカーと会う機会があった。実際に会ったのはその1日だけだが、その1日がコリンズの生き方を決定づけたという。 ドラッカーの家は質素で

サステナビリティリーダーは2026年に何をすべきか?

2025年の初頭、チーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSO)に主な役割を尋ねた場合、「変革を推進し続け、経営陣の理解を得て、サステナビリティを企業経営に統合するためのビジネスケースを構築すること」だった。今後の数年間は、こうした路線が維持される見通しだった。 この見通しは正しく、企業によるサステナビリティへの取り組みは、金融・政治・社会面で大きな逆風に見舞われながらも、ほぼ変わらない水準を維持している。実際、多くの企業が取り組みを深化させている。しかしサステナビリティの業務全体に影響を及ぼす2つの重要な転換点があった。 第1に、メッセージングの重点が外部コミュニケーションから内部コミュニケーションへと移行している。取り組み自体は継続されているものの、現状の環境下でそれを推進しようという意欲は減退し、その方向性も劇的に変化した。気候変動への取り組みや社会インパクトを外部に強調する代わりに、現在のコミュニケーションはより内部に焦点を当て、ビジネス上の利益を重視するようになっている。 第2の関連する変化は、サステナビリティが組織内で主に法的・規制上

ビジネスモデル変革にサステナビリティ目標を組み込む方法

サステナビリティ目標の達成とビジネスの成長、すなわちCSVを実現するにはビジネスモデルと組織構造を変革する必要がある。最近のDIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー記事「ビジネスモデル変革にサステナビリティ目標を組み込む方法」が、イタリアのエネルギー大手エネル、スイスのセメント大手ホルシム・グループなどの世界を代表するCSV企業を例にあげて、CSV実現のための3つの課題とそれに対処する手法を提示している。以下概要を紹介する。 多くのグローバル企業がサステナビリティ目標を公約として掲げているが、こうした約束を果たすには、デジタル技術やAIによって引き起こされた変革に匹敵または凌駕するレベルでビジネスモデルや組織構造を変革する必要がある。 DXを主導したのは大多数がシリコンバレーの企業だったが、サステナビリティの先駆的企業の多くは欧州、中南米、アフリカに拠点を置いている。そうした先駆的企業の10社以上を研究対象とし、エネル、ホルシム・グループ、モロッコのリン酸塩・肥料大手OCPグループ、ブラジルの製紙・パルプ会社スザノなどについては、詳細な分析を

サステナビリティ人材には、世界の持続可能性への貢献と自社の長期的企業価値向上という2つの目的が混ざった曖昧な概念を受け入れて、状況に応じて使い分ける「ネガティブ・ケイパビリティ」が必要だ。

以前、 サステナビリティ経営の目的は2つある と書いた。「世界の持続可能性に貢献すること」と「長期的に企業価値を向上すること』だ。本質的には、企業がサステナビリティに取り組む目的は「世界あるいは人類の持続可能性に貢献するため」だ。しかし、多くの企業を巻き込むには「サステナビリティは企業価値を長期的に高める」という認識を広げることが必要ということから始まり、政策や市場の変化も相俟ってサステナビリティ経営を通じた企業価値向上の可能性も以前より高まっていることから、サステナビリティ経営の目的を「長期的に企業価値を高めること」と考える人も増えているだろう。 実際のサステナビリティの取組みは、2つの目的が混ざった曖昧なものとなっている。サステナビリティ経営により企業価値を高めると言いつつ、社会的要請に対応して必ずしも企業価値に直結しないCO2排出削減や人権対応などを進めている。 以前のブログでは、サステナビリティ経営の目的は明確にしたほうが良いと書いたが、実際のサステナビリティ経営は2つの目的が混ざった状態で進められていくとすると、曖昧な状況を受け入れつつ

長期的に世界に本質的な影響を及ぼすのは、人口動態、気候変動、AI。人口が増加から減少に転じ、気温が高止まりする世界に向けて早めに社会のあり方を構想し、AIの良い面を活かして準備すべきだ。

今後世界はどう変化していくか?マクロ環境分析のフレームワークとして、社会(Society)、技術(Technology)、経済(Economics)、環境(Environment)、政治(Politics)の切り口で分析するSTEEPなどがある。この中で長期的かつ本質的な変化をもたらすものとして、Sに含まれる「人口動態」がある。 ドラッカーは、「未来について言えることは、二つしかない。第一に未来は分からない、第二に未来は現在とは違う」と未来は予測不能としつつ、「すでに起こった未来は、体系的に見つけることができる」とし、その1番目に人口動態を挙げている。ドラッカー曰く、「人口の変化は、労働力、市場、社会、経済にとって最も基本となる動きである。すでに起こった人口の変化は逆転しない。しかも、その変化は早くその影響を現す」。人口動態は世界のあり方に最も大きな影響を与える要因のひとつだ。 「技術(T)」と「環境(E)」も世界に長期的かつ本質的な変化をもたらす。現代においては、TのAI、Eの気候変動が特に重要な変化をもたらす要因となっている。一方で、「経済(

ESGに代わる概念として提唱されるRational Sustainabilityとは?

「社会に価値を生み出すことで利益を創出する」「社会価値というパイを拡大することを通じて利益というパイの一部の恩恵を得る」経営のあり方を提唱する書籍”GLOW THE PIE”でフィナンシャル・タイムズのブックス・オブ・ザ・イヤーを獲得しているアレックス・エドマンズ氏が、ESGに代替する概念として「Rational Sustainability(合理的なサステナビリティ)」を提唱している。以下エドマンズ氏の 記事 の内容を紹介する。 反ESGの風が吹き荒れている。ESGは顧客のリターンを犠牲にしているとして、米国ではESGを考慮するファンドへの投資を禁止する法案も出されている。財務リターンと社会価値の両立は可能とするESG信奉者もESGという言葉を使わなくなり、ESGを新たな儲けの手段として利用してきた機会主義者は方向転換して次の流行を探している。 またESGという用語は対立を招いている。ESG神格化派は実質的価値を創出できる取り組みよりもESGとラベル付けできる取り組みを優先し、ESG懐疑派はESGというラベルに対してアレルギー反応を示している。

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