top of page

ドラッカーの「5つの質問」で考える、サステナビリティ経営におけるステークホルダー・エンゲージメントのあり方

  • takehikomizukami
  • 2025年11月21日
  • 読了時間: 3分

ドラッカーが開発した組織の自己評価ツールとして「5つの質問」がある。社会が組織で構成され、人々が必要とするもののほとんどが組織により提供される組織社会において、組織が正しい成果を上げるための思考を促す、シンプルですが非常に有効なツールだ。


ドラッカー曰く、「組織はすべて、人と社会をより良いものにするために存在する。すなわちミッションがある。目的があり、存在理由がある。」


正にそのとおりだ。組織と社会は共存関係にあり、組織は社会をより良いものにするために価値を提供しているからこそ存在が許され、企業であれば売上や利益というリターンを得ることができる。


以下が「5つの質問」だが、これらを問うことにより、企業その他の組織が社会の中で自らのなすべきことが明らかとなり、正しい行動を取ることができる。


1. われわれのミッションは何か?

2. われわれの顧客は誰か?

3. 顧客にとっての価値は何か?

4. われわれにとっての成果は何か?

5. われわれの計画は何か?


この「5つの質問」は本当に良く出来ていて、企業が自社のミッション/パーパスや活動が時代にマッチした適切なものとなっているかをレビューする際にも有効だ。企業の各部門などの組織内組織のマネジメントにも活用できる。


この5つの質問において、私が特に重要だと考えているのは、「われわれの顧客は誰か?」と「顧客にとっての価値は何か?」だ。


ここでいう顧客には、活動対象としての顧客だけでなく、パートナーとしての顧客も含まれる。企業に関して言えば、主なステークホルダーとしては、一般的に「顧客」「株主・投資家」「従業員」「取引先」「地域社会」「環境/未来社会」などが挙げられるが、「顧客」以外のステークホルダーがパートナーとしての顧客と言える。


組織が成果をあげるためには、こうしたパートナーとしての顧客を満足させることも必要となる。


「顧客にとっての価値は何か?」について重要なことは、「いかなる組織といえども、顧客に聞かなければ、何を成果とすべきかはわからない」「顧客にとっての価値を想像してはならない。必ず顧客自身に聞かなければならない。」ということだ。自分たちが勝手に考えたものではなく、顧客の側から見た価値を提供するには、ステークホルダー・エンゲージメントが必要となる。


パートナーとしての顧客について自社の「顧客は誰か?」を見極め、ステークホルダー・エンゲージメントを通じて「顧客にとっての価値は何か?」を理解し、自社の成果および計画に落し込み、マネジメントする。それがサステナビリティ経営における重要なミッションと言える。


(参考)

「経営者に贈る5つの質問」P.F.ドラッカー著(ダイヤモンド社、2009年)

 
 
 

最新記事

すべて表示
IPBES報告書がビジネス環境のCSVを提唱

「生物多様性と自然」に関わる科学的評価を実施するIPBES(気候変動におけるIPCCに該当)が、初めてビジネスに焦点を当ててまとめた「ビジネスと生物多様性評価報告書」の政策決定者向け要約が発表された。 2026年10月にはCOP17が開催され、昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)の中間レビューが行われる。2030年目標に向けた折り返し地点となるこのタイミングで発表された報告書は、企業や政府

 
 
 
「京浜工業地帯の父」浅野総一郎は、サーキュラーエコノミーの先駆者でもあった

私の故郷である富山県氷見市出身の偉人として真っ先に名前があがるのは浅野総一郎です。明治維新から日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦という激動の時代に、この先日本にとって必要となる事業は何か考え、石炭、セメント、海運、造船などの事業を次々と立ち上げ、京浜工業地帯の礎を築き、「京浜工業地帯の父」と呼ばれています。 浅野総一郎は、「九転十起の人」とも呼ばれ、失敗してもくじけない、不屈の精神でも知られていま

 
 
 
2026年のサステナビリティ戦略。サステナビリティが企業価値につながる事例が増える一方で逆風も吹く時代、企業は全力疾走すべき時、減速すべき時、小さな一歩を踏み出すべき時を見極めて柔軟に対応することも必要

サステナビリティが企業価値につながる事例は増えているが、一方で反ESGの動きもある。こうした時代において、企業はどのようにサステナビリティ戦略を舵取りすべきか。TRELLISの記事を紹介する。 2025年が明らかにし、2026年がすでにサステナビリティに関して再確認していることは、「緊張とトレードオフ」が常にサステナビリティ経営の核心であり、そして近い将来もそうあり続けるだろうことだ。 サステナビ

 
 
 

コメント


Copyright(c) 2019 Takehiko Mizukami All Rights Reserved.

bottom of page