top of page

マテリアリティ特定においては、基本的なサステナビリティイシューに関するダブルマテリアリティ評価と経営イシューに関する議論を分けて行うべき

  • takehikomizukami
  • 2025年9月22日
  • 読了時間: 3分

現在のサステナビリティ経営におけるマテリアリティ特定は、以下の2つまたは3つのアプローチで行うのが良いと考えている。


①    ESRSをベースとしたダブルマテリアリティ評価

②    パーパス・ビジョン・経営戦略にもとづく自社ならではのマテリアルイシューの特定

③    ISSB/SSBJの対象となる企業は、これに加えてSASBスタンダードの適用可能性を確認


これらは、サステナビリティ経営、一部投資家の期待、情報開示要請に対応するものだ。


ESRSは、これまでのサステナビリティの歴史や知見にもとづく、サステナビリティ経営の王道とも言えるマテリアリティ特定のアプローチを提示している。これはマテリアリティ特定の基本的手法として採用すべきだと思う。ただし、CSRD/ESRSの対象となっていない企業ではESRSの細かい規定に忠実に対応する必要はなく、本質的な部分だけ採用すれば良い。


サステナビリティ経営の基本的なマテリアリティは、ESRSのアプローチをベースにして効果的・効率的にIRO分析を行って特定する。IRO分析は、基本的なサステナビリティイシューの環境や人々へのインパクト、リスク・機会の財務影響を評価する。これが①のESRSをベースとしたダブルマテリアリティ評価だ。


ISSB/SSBJの適用対象となる企業は、ESRSアプローチで評価した財務影響にもとづきマテリアリティとされるイシューを説明する。加えて、ISSB/SSBJで求められるSASBスタンダードの適用可能性を確認する。これが③のSASBスタンダードの適用可能性確認だ。


上記の財務影響にもとづいて説明されるものが所謂シングルマテリアリティだ。なお、ダブル、シングルという議論があるが、そもそもサステナビリティ経営とはダブルマテリアリティにもとづき行うものだ。シングルマテリアリティは、投資家等を対象にした情報開示においてのみ使われるもので、サステナビリティ経営の一側面を表現したものにすぎない。


(参考)マテリアリティ特定の課題に関するブログ


サステナビリティ経営におけるマテリアリティは、基本的にはESRSベースのダブルマテリアリティで良いのだが、どうも一部の経営者や投資家はそれではもの足りないようだ。特に日本の経営層や一部投資家などは、マテリアリティに経営イシューを含めたがる。


そのため多くの日本企業では、ダブルマテリアリティ評価のプロセスに経営イシューを含めているが、これにより適切なマテリアリティ評価ができなくなるのは問題だ。


(参考)経営マテリアリティの課題に関するブログ


経営イシューについては、ESRSベースの基本的なマテリアリティ評価とは別に、経営層が意思を持って推進するものとして議論ベースで特定するのが良いと思う。投資家を含む主要ステークホルダーとの対話も踏まえて経営層が意思を持って特定する。経営戦略策定プロセスで実質的に経営マテリアリティが特定されていれば、それを採用することで良いのではないか。これが②のパーパス・ビジョン・経営戦略にもとづく自社ならではのマテリアルイシューの特定となる。


マテリアリティ特定は、冒頭に述べた①および②または①~③で行うべきだと思う。これについては、継続的に提唱していきたい。

 
 
 

最新記事

すべて表示
サステナブルなシューズを提供してきたオールバーズは、事業で失敗して売却されることになったが、天然素材や植物由来素材の製造ノウハウを公開し、業界をサステナブルに進化させるという功績を遺した。

世界で初めてネット・ゼロカーボン(CO2換算排出量0kg)を実現した、サステナブルなシューズを開発・提供してきたオールバーズが売却されることになった。個人的にも愛用しており、やや高めだがデザインや履き心地は悪くないと思っていたので残念だ。 オールバーズについて書いた最近のTRELLISの記事があったので日本語で紹介する。これを読み限りは、オールバーズは業界をサステナブルに進化させることには貢献した

 
 
 
中東情勢悪化により石油市場が混乱する中、「デコ活」により石油・ガスの使用量削減を促進する流れがあっても良いのでは。

中東情勢の悪化による石油市場の混乱が消費者に与える影響を緩和するため、IEAが政府や企業、家庭が実施可能な石油・ガス使用量削減のための以下10の措置を提案した。 1. 可能な限り在宅勤務を行うこと。 2. 高速道路の速度制限を少なくとも時速10キロメートル引き下げること。 3. 公共交通機関の利用を促進すること。 4. 大都市では、自家用車の道路利用に関してナンバープレートによるローテーション制度

 
 
 
スポーツとサステナビリティの関係とは?「健康や福祉の増進」「DE&I推進」に貢献するほか、「猛暑によるスポーツの制約」に対応していく必要もある。

スポーツとサステナビリティの関係を考えてみる。 スポーツは、「持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」で「スポーツは持続可能な開発における重要な鍵となるものである」と記載されているように、サステナビリティを促進する力を持っている。SDGsとの関係で言えば、SDGs目標3「健康と福祉の推進」には直接的に貢献する。人種、ジェンダー、経済格差を超えて一体感を醸成するスポーツは、SDGs目標5「ジェ

 
 
 

コメント


Copyright(c) 2019 Takehiko Mizukami All Rights Reserved.

bottom of page