top of page

「経営マテリアリティ」とは何か?それを特定することにどんな意味があるのか?

  • takehikomizukami
  • 2024年9月8日
  • 読了時間: 2分

いつも「マテリアリティ特定はサステナビリティ経営において最も重要な取り組み」と言っている。それは間違いない。


サステナビリティ経営におけるマテリアリティとは、以下のいずれかだ。

① 自社が大きな負の影響を及ぼしており責任をもって対応すべきイシュー

② 自社が強みを生かしてサステナブルな世界に向けて大きく貢献できるイシュー

③ 対応如何が自社の財務、企業価値に大きな影響を及ぼすイシュー


より厳密にサステナビリティ経営とESG経営を分けて考える場合は、①②がサステナビリティ経営におけるマテリアリティ、③がESG経営におけるマテリアリティで、これらは重なることもある。


典型的なイシューとしては、①バリューチェーンにおける人権侵害防止、②顧客のウェルビーイングに貢献する製品開発、③人的資本強化/従業員エンゲージメント向上といったイメージだ。


サステナビリティやESGにおけるマテリアリティは上記のようなイシュー候補をグローバルスタンダードなどから抽出し、ステークホルダーエンゲージメントなどを通じて自社が及ぼすインパクトを評価し、ファクト、ロジックベースで自社財務への影響を評価して特定する。


最近のマテリアリティ特定では、これに「経営マテリアリティ」を加えたいという要望がある。「経営マテリアリティ」とは何なのかは必ずしも明確ではないが、経営における重要課題、本業において取り組むべき重要課題として中計策定時などに検討するものだ。経営理念やビジョンに書いてあることがそのまま経営マテリアリティになることも多いイメージだ。


率直に言うと、これまで意味のある経営マテリアリティを見たことがない。それよりも、経営マテリアリティを含めることで、マテリアリティの粒度が大きくなり、サステナビリティに関するマテリアリティが「環境」など意味のないものになっているケースが見受けられる。


私も10年くらい前は、「経営計画とマテリアリティが統合されていない」と言っていたが、形だけ統合されて、肝心のサステナビリティ経営のマテリアリティが形骸化しては本末転倒だ。


「経営マテリアリティ」を設定するのであれば、サステナビリティ経営におけるマテリアリティをしっかり特定することを前提として、「本質的に重要な経営マテリアリティとは何か?」「それをマテリアリティとして設定することで何が変わるのか?」などを十分考えてほしい。

 
 
 

最新記事

すべて表示
「CSOが影響力を高めるための4つの方法」:予算や権威の限られるChief Sustainability Officerは、どのように影響力を高められるか?4つの方法を示します。

サステナビリティ部門の予算は、通常、マーケティングや研究開発(R&D)部門の予算のほんの一部に過ぎない。どうすれば目標を達成できるだろうか?TRELLISの記事を紹介します。 主なポイント: ・サステナビリティ担当者のうち、企業戦略に大きな影響力を持っていると回答したのは約4分の1にとどまる。 ・大きな変革は、権限と同じくらい影響力によってもたらされるものであり、当初は権限が限られているCSO(サ

 
 
 
無形資産/非財務資本を評価し融資する制度がスタート。新しい制度が広く活用され、サステナビリティ経営を促進することに期待

先般、「企業価値担保権」制度が始まりました。事業の将来性や技術力といった目に見えない価値を担保に、銀行などの金融機関が企業に融資する制度です。事業の将来性や技術力といった目に見えない価値を担保に、銀行などの金融機関が企業に融資する制度です。 銀行が企業に融資する場合、土地や建物などの有形資産を担保として設定するのが主流ですが、今後は知的財産、ブランド、顧客基盤などの無形資産を含む事業全体を担保にす

 
 
 
レアアースリスクがサーキュラーエコノミーを加速し、イラン戦争がカーボンニュートラルを加速する。地政学とサステナビリティが絡み合う時代には、サステナビリティ経営にもより高度なインテリジェンスが求められる。

サステナビリティ経営においては、“フォーカシング・イベント(Focusing Event)”への感度の高さが重要だ。 フォーカシング・イベントとは、マスコミや市民、政策担当者が急速に社会課題に注目し、対策を進めるきっかけとなる出来事のことで、日米の政権交代なども含む。 サステナビリティを促進することにつながるこれまでのフォーカシング・イベントとしては、以下のようなものがあった。 2018年、鼻にス

 
 
 

コメント


Copyright(c) 2019 Takehiko Mizukami All Rights Reserved.

bottom of page