カーボンニュートラル実現の目処がたたない中、気候変動への適応の重要性が高まっている。高温や干ばつに強い農作物の開発、情報技術を活用した気候リスク分析、早期警戒システムなど、7つの適応ビジネスの機会について、自社の強みを活かして何かできるか、すべての企業が考えるべき
- takehikomizukami
- 8月30日
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今年も暑い日が続いている。カーボンニュートラル実現の目処が立たない中、気温は上昇し続け、気候は不安定になり、風水害の増加は続くだろう。食料生産や感染症などへの影響にも対応していかなければならない。気候変動への適応は喫緊の課題であり、その重要性は増すばかりだ。
企業にとっても適応ビジネスは、重要なCSVの機会となる。適応ビジネスは、大きく以下の7分野に分けられている。
① 自然災害に対するインフラ強靭化
レジリエントな道路システム(交通インフラにおける適応推進等)、レジリエントな建築物(レジリエントな建築デザインと資材、コーティング、不浸透性材料、複層化等による防水化、洪水・サイクロン対策シェルター)、災害に脆弱な地域の支援(脆弱性評価、ハザードマップ作成等)、洪水対策(排水システム等)、津波・高潮対策、土壌浸食・地すべり・土砂災害対策、森林の増加・保全による防災機能強化
② エネルギー安定供給
発電出力変動の抑制(水力・再生可能エネルギー発電変動最小化システム等)、分散型エネルギーシステム(非常用電源、ミニグリッド・マイクログリッド)、ハイブリッド発電システム
③ 食料安定供給・生産基盤強化
農業のレジリエンス・生産性向上(干ばつ、洪水、熱波、病気等への耐性のある品種、土壌侵食、砂漠化、塩害対策のための土地管理技術、土壌養分の管理・土壌修復、害虫・害獣管理、精密農業、灌漑の効率化等)、牧畜業のレジリエンス・生産性向上(気候変動に耐性のある家畜、繁殖・給餌システム等)、漁業のレジリエンス・生産性向上(気候変動に耐性のある養殖技術等)
④ 保健・衛生
異常気象に起因する水汚染の防止・下水インフラ・水質管理、防虫製品等による感染症予防
⑤ 気象観測及び監視・早期警戒
気象観測・予測システム、気象情報提供サービス、早期警戒システム、気候モデリング・災害シミュレーション、気候変動のモニタリング
⑥ 資源の確保・水安定供給
水供給インフラ整備(水道管管理のネットワーク化等)、水資源確保(海水淡水化、雨水採取、水の浄水・再利用等)、生態系・自然資源・水資源のモニタリング及び情報管理
⑦ 気候変動リスク関連金融
天候インデックス保険、農業等の分野における民間投融資
高温や干ばつに強い農作物の開発、情報技術を活用した気候リスク分析、早期警戒システムなど、多くの企業が取組みを進めているが、まだまだニーズには応えきれていない。すべての企業が、自社の強みを掛け合わせて何ができるか考える余地はあるだろう。


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