top of page

アフリカ市場進出に必要なCSVの視点

  • takehikomizukami
  • 8月23日
  • 読了時間: 2分

第9回アフリカ開発会議(TICAD 9)が8月22日まで横浜で行われた。最後のフロンティア市場と言われるアフリカと日本の関係強化に貢献する良いイベントだ。石破総理が人口の年齢の中央値が19歳のアフリカでは、若者や女性の能力向上が成長のカギになるとして、今後3年間にAIの分野で3万人を育成する方針を表明するなどしている。


市場やビジネス創造のためにビジネスエコシステムとしての人財育成は重要だ。CSVの好事例として、マイクロソフト、シスコ、デルなどのIT企業は、途上国市場などにおいて、ITの知識やスキルを持った人材が増えることが、市場を創造し自社ビジネスを持続的成長させるカギを握ると認識し、IT人材という社会の基盤を強化するために、教育機関におけるIT教育支援や独自のIT教育プログラムを展開している。ヤマハ発動機が、アフリカで、漁業指導をして地域の産業を育成しつつ、船外機の需要を創造している事例などもある。


また、アフリカのような途上国市場では、消費者の購買力不足、現金の当日入手、市場が分散しており流通が未整備、消費者が商品・サービスを受け入れる知識・習慣を持っていない、社会インフラの不足などの特有の課題があり、他で成功したビジネスモデルがそのまま通用するわけではない。


こうした途上国特有の課題に対応している例としては、以下のようなものがある。いずれもCSVのフレームワークに関連する取り組みだ。


・ICTを活用した多数の個人にアクセスできる、分散した市場をつなげるビジネスモデルの構築

・NGO等と協働した、消費者の意識、行動習慣の変化を促す啓発活動による市場創造

・NGO等と協働した、現地の有力者との提携、現地の女性や起業家育成によるチャネルの構築

・シンプルで堅牢、操作・メンテナンス容易、手に入れやすい価格、電力不要など、現地のニーズに合った製品の開発


以前は、グローバル企業に比べて、日本企業はCSVのフレームワークにもとづく事業インフラ構築、市場創造の視点が弱い印象を持っていたが、最近はCSVの視点を持つ企業も増えてきた。地理的、歴史的に距離のある市場ではあるが、地域によっては文化、気質などが日本に近いともいう。アフリカ市場で日本企業がCSVの視点で社会とビジネスを発展させていくことを期待したい。

 
 
 

最新記事

すべて表示
ドラッカーの「5つの質問」で考える、サステナビリティ経営におけるステークホルダー・エンゲージメントのあり方

ドラッカーが開発した組織の自己評価ツールとして「5つの質問」がある。社会が組織で構成され、人々が必要とするもののほとんどが組織により提供される組織社会において、組織が正しい成果を上げるための思考を促す、シンプルですが非常に有効なツールだ。 ドラッカー曰く、「組織はすべて、人と社会をより良いものにするために存在する。すなわちミッションがある。目的があり、存在理由がある。」 正にそのとおりだ。組織と社

 
 
 
サステナビリティに関してもはや成り立たない5つの前提:グローバル目標や合意、ESG情報開示、ステークホルダー資本主義などはサステナビリティに向けた変革につながらない。

主なポイント: 多くの企業が依存してきたサステナビリティの前提条件は、気候変動対策を前進させるどころか、むしろ阻害している可能性がある。 それは、グローバル目標への依存や、市民がサステナビリティについて共通認識を持っているという前提が成り立たないからだ。 代わりに、サステナビリティの専門家は新たなアプローチに注力する必要がある。例えば、自らがコントロールできる領域に注力し、影響力を行使できない領域

 
 
 
「サステナビリティを適切に実践することで、収益性が21%向上する。」サステナビリティのビジネスケースに関する最新のレポート

サステナビリティのビジネスケースに関する議論は終わった。過去10年間の研究は、サステナビリティが優れた財務パフォーマンスにつながることを示している。 主なポイント: ・新たなデータによると、サステナビリティを適切に実践することで、収益性を21%向上させるなど、優れた財務実績につながることが示されている。 ・企業は顧客向けに価値提案を定義することが多いが、取締役会、経営幹部、事業部門リーダー向けには

 
 
 

コメント


Copyright(c) 2019 Takehiko Mizukami All Rights Reserved.

bottom of page