サステナビリティ・リーダーのインターフェイスは、「2040年までのバリューチェーン全体でのカーボンネガティブ」目標を掲げ、原材料から素材、製品使用、製品廃棄すべての段階の取組みを進めている。
- takehikomizukami
- 9月5日
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世界最大のタイルカーペットメーカーのインターフェイスは、1994年に創業者レイ・アンダーソン氏がポール・ホーケン氏の著書に触発されて「2020年までに環境への負荷をゼロにする」というビジョン「ミッション・ゼロ」を掲げた。それ以降、再生可能エネルギーの利用や環境負荷の小さい素材利用などに加え、モジュール化されたタイルカーペットを破損した部分だけ取り換えてリサイクルするなどサーキュラーエコノミーの取組みを先駆的に進め、それが企業のDNAとなり、サステナビリティのリーダー企業として広く認知されるようになった。
2020年ビジョン「ミッション・ゼロ」は1年前倒しで実現され、インターフェイスは「2040年までにバリューチェーン全体でカーボンネガティブ実現する」という新たなビジョンを打ち出した。
これまでは、自社の事業活動の環境負荷を軽減するほか、リサイクル素材の供給をサプライヤーに促して他社にも広げる、廃棄物の埋立地から発生するメタン回収を支援するなどの「波及効果」をビジョン実現の算定に組み込み、一部製品をカーボンニュートラルと認証するためにクレジットを購入していた。
2040年までのカーボンネガティブに向けた戦略では、オフセットを考慮せずにバリューチェーン全体でカーボンネガティブを実現することとしている。これまで波及効果やクレジット購入に使用していた費用は排出削減や炭素貯留の取組みに振り向けられる。
バリューチェーン全体での排出量削減、特にスコープ3上流の排出量削減のカギを握るのが脱炭素素材の導入だ。インターフェイスは、主要化学品サプライヤーと提携して製造過程で回収した炭素を使用した素材を調達している。インターフェイスによれば、こうした素材が欧州と米国で生産する全カーペットタイルに使用されている。カーボンネガティブに向けては、農業廃棄物など成長過程で吸収したCO2を含むバイオベース素材の調達を拡大している。カーボンネガティブ素材はカーペットタイルの裏地に使用され、欧州では標準仕様となっており、米国でも生産が拡大中とのことだ。
バリューチェーン全体でのカーボンネガティブに向けては、使用段階の排出量削減も必要だ。そのためには、床材を掃除機がけや洗浄する際に放出される炭素量の測定・削減も必要となる。最初のステップとして、インターフェイスは顧客が自社床をどのように清掃しているかに関するデータを収集している。それから、顧客が再生可能エネルギーを利用するよう仕向けていく。清掃分野では、炭素を捕捉した材料を清掃に活用するといった動きもある。
また、製品寿命終了時の排出量への対応も必要となる。インターフェイスは以前からこの分野に取り組んできた。2016年以降、同社は約3600万トン以上の使用済みカーペットを回収し、その約70%が再利用またはリサイクルされ、生産工程に組み込まれている。
インターフェイスは、新たなビジョン実現に向けて、クレジットなどに依存せず、原材料から素材供給、製品使用段階、廃棄段階すべてにおける温室効果ガス排出量削減の取組みを進めている。サステナビリティ・リーダーとしての面目躍如である。
(参考)”Why Interface is betting on carbon-negative materials over offsets”, TRELLIS


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