top of page

サステナビリティにNOという答えはない。

  • takehikomizukami
  • 2022年12月6日
  • 読了時間: 3分

更新日:2022年12月7日

以前、世界が目指しているのは、「すべての人々が平和と一定の豊かさのもと潜在能力を発揮でき、地球への負荷が再生可能な範囲に収まっている」世界、ドーナツ経済のような世界と書いた。こうした世界を目指すのであれば、サステナビリティは取り組まなければならないものだ。


昨今は、「サステナビリティを通じて企業価値を向上させる」論調があり、それは実現すべきものだが、本質的には、「企業価値を向上させるために、サステナビリティに取り組む」のではない。「目指す世界を実現する」ために、企業もサステナビリティに取り組む必要があるのだ。


これまでのパラダイムでは、企業は、利益、企業価値を追求するものと捉えられてきた。新自由主義の考え方が広がってからは、特に企業が利益を追求する姿勢が強まっている。新自由主義の理論的支柱であるミルトン・フリードマン氏などは、「企業経営者の使命は株主価値の最大化であり、それ以外の社会的責任を引き受ける傾向が強まることほど、自由社会にとって危険なことはない」と言い切っている。


何故企業は利益を追求しているのか?それは、企業が利益を追求することで、富が創造され、人々が豊かに、そして幸せになると信じられてきたからだ。確かに、世界全体の富は増え、取り残されている人はいるものの、多くの人は豊かになってきた。ドーナツ経済の内側の円は拡大を続けてきた。「企業経営者は、株主価値、利益だけ考えていれば良い」というという考えは、そうすることで、市場メカニズムが効率的に機能し、より豊かな社会が創られるという信念に基づいている。


しかし時代は変わった。ドーナツ経済の外側の円を超えないようにすることの必要性が明らかになってきた。また、ドーナツの内側の円が均等に発展しなければ、すべての人に幸せをもたらすことができないことも明らかとなってきた。世界の目標が「富の創造、豊かになること」から、前述の「目指す世界を実現する」ことになった。


そのため、企業活動の目的も「利益を追求する」ことから、「社会に価値を生み出すこと=目指す世界の実現に貢献すること」になりつつある。そうしたパラダイムシフトが進みつつある。「企業が利益を追求する」パラダイムにおいては、「利益につながるか?」「企業価値を向上させるか?」が経営の判断軸だった。そのため、サステナビリティについても、「サステナビリティは儲かるのか?」「サステナビリティは企業価値を向上させるのか?」という問いがなされてきた。


新しいパラダイムでは、企業活動の目的は「目指す世界の実現に貢献すること」で、それは企業が取り組むべきサステナビリティそのものである。この新しいパラダイムでは、「サステナビリティは、取り組まなければならない」もので、「取り組むのが当たり前」のものだ。


問うべきは、「サステナビリティは儲かるのか?」ではない。これだとNOだと、サステナビリティに取り組まない、最小限必要なことだけ取り組むとなってしまう。必要な問いは、資本主義のパラダイムでは、企業は儲ける必要があるという現実を踏まえた、「サステナビリティを儲かるようにするには、どうすれば良いか?」だ。サステナビリティにNOという答えはない。


 
 
 

最新記事

すべて表示
収支トントンで社会にインパクトを生み出すソーシャルビジネスをどう考えるか?財務+非財務のリターンが資本コストを超えることを目指すべきか?

先日、サステナブルブランド国際会議でLIXILのソーシャルビジネスの話を聞いた。 LIXILは2011年、INAXやトステムなど主要メーカー5社が統合して誕生したが、LIXILとしての求心力として「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」というパーパスを策定した。このパーパスを体現するものとして生まれたのが、LIXILのソーシャルビジネスである簡易式トイレ「SATO Pan」だ。 世界では、

 
 
 
コーポレートガバナンス・コードの改訂を機に、サステナビリティ方針を見直すべきではないか。

先般金融庁が提示したコーポレートガバナンス・コード(CGC)改訂案では、サステナビリティに関する記述を「第2章 株主以外のステークホルダーとの適切な協働」から「第4章 取締役会等の責務」に移管し、原則で「取締役会は、中長期的な企業価値の向上の観点から、サステナビリティを巡る課題に積極的・能動的に取り組むべき」と規定している。これまでの「上場会社は、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る

 
 
 
IPBES報告書がビジネス環境のCSVを提唱

「生物多様性と自然」に関わる科学的評価を実施するIPBES(気候変動におけるIPCCに該当)が、初めてビジネスに焦点を当ててまとめた「ビジネスと生物多様性評価報告書」の政策決定者向け要約が発表された。 2026年10月にはCOP17が開催され、昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)の中間レビューが行われる。2030年目標に向けた折り返し地点となるこのタイミングで発表された報告書は、企業や政府

 
 
 

コメント


Copyright(c) 2019 Takehiko Mizukami All Rights Reserved.

bottom of page