top of page

あるべきパーパスとその価値

  • takehikomizukami
  • 2019年12月22日
  • 読了時間: 3分

パーパスは、経営の重要概念としてかなり浸透し、パーパス・ステートメントを掲げる企業は増えています。しかし、ほとんどの場合、それらしいパーパス・ステートメントを掲げるだけで、戦略や企業文化に落とし込めていません。それでは、社員や顧客の期待に応えることができず、社会にインパクトを与えることもできません。


多くの企業のパーパスは、言葉だけのものとなっており、①社会における意義、②信憑性、③利益とのつながり、④真剣さ、が不足しています。


社会への意義を示すためには、パーパスは、企業が本質的に貢献すべき社会への価値、解決する社会課題を明示する必要があります。ダノンが「すべての年齢の人々に健康な生活を届け、幸せを拡げる」を掲げ、戦略をSDGsと関連付け、乳児に栄養を提供するための専門部署を設置し、「最初の100日の健康と栄養」にコミットしているのは、好例です。


信憑性に関して、パーパスは、企業文化や歴史に根差している必要があります。また、企業のオペレーションに落とし込まれ、重要な経営の意思決定をする上でのガイドとなる必要があります。パーパスに反する戦略や行動はとってはなりません。パタゴニアは、環境問題を解決することをパーパスに掲げ、無駄な服を買わないようキャンペーンしています。パタゴニアの一貫したメッセージ、行動は、パーパスの信憑性を高めています。


また、パーパスは、企業の収益につながるものである必要があります。そうでなければ、パーパス実現に向けて企業が投資し続けることができず、社会に大きなインパクトを与えることもできません。短期的には、パーパスに基づいて利益を犠牲する意思決定をすることもあるかも知れませんが、長期的により大きな利益につながる必要があります。ディスカバリー・ヘルスは、「人々をより健康にし、人々の生活を守る」というパーパスを掲げ、人々の健康への意識を高め、健康的な活動を促進し、それが健康保険の収益を高めるというビジネスモデルを構築しています。これにより、パーパスと収益が完全に一致し、ディスカバリー・ヘルスは、ビジネスモデルに再投資してさらに進化させています。


そして、パーパスに真剣に取り組むには、企業のすべてのリーダーおよびマネージャーが、パーパスの実現に責任を持つ必要があります。エネルは、2018-2020の戦略計画において、CO2排出削減と安価なクリーンエネルギーをアフリカ、アジア、南米を中心に300万人に届けるというコミットメントを掲げていますが、この実現をパフォーマンス評価とインセンティブの仕組みに組み込んでいます。すべてのリーダーおよびマネージャーが役割に応じて、パーパスに貢献するようにしています。


パーパスは、形式的なものでは意味がありません。これからパーパスを設定しようという企業もあるかと思いますが、この4つの視点をしっかり持って、パーパスを設計する必要があります。


(参考)この記事は、FSGのブログ記事を参考としています。

 
 
 

最新記事

すべて表示
サステナビリティとサステナビリティ経営の変遷。1990年代の環境経営、2000年代のCSR経営、2010年代のESG経営を経て、反ESGの動きもある中2020年代のサステナビリティ経営はどう進化するか?

サステナビリティおよびサステナビリティ経営が歴史的にどう進化してきたか、改めておさらいする。 サステナビリティは経済成長の負の側面としての環境問題への対応からはじまった。1962年にはレイチェルカーソンが「沈黙の春」で化学物質の汚染問題を提起している。日本でも1950年代後半から1970年代の高度経済成長期において、工場などから発生した有害物質によって公害病が引き起こされた。WWFやグリーンピース

 
 
 
「生産性と人間性をどう両立するか」「成功できるかではなく、役に立てるかを人生の軸とせよ」サステナビリティ経営や生き方に重要な示唆を与えるP.F.ドラッカーとジム・コリンズの対話

経営にサステナビリティを統合するうえでの理論的支柱となっている代表的経営思想家として、P.F.ドラッカー、ジム・コリンズがあげられる。 ドラッカーは、 「マネジメントには、自らの組織をして社会に貢献させる上で三つの役割がある。①自らの組織に特有の使命を果たす、②仕事を通じて働く人たちを生かす、③自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献することだ」 というサステナビリティ経営

 
 
 
サステナビリティリーダーは2026年に何をすべきか?

2025年の初頭、チーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSO)に主な役割を尋ねた場合、「変革を推進し続け、経営陣の理解を得て、サステナビリティを企業経営に統合するためのビジネスケースを構築すること」だった。今後の数年間は、こうした路線が維持される見通しだった。 この見通しは正しく、企業によるサステナビリティへの取り組みは、金融・政治・社会面で大きな逆風に見舞われながらも、ほぼ変わらない水準を維持

 
 
 

コメント


Copyright(c) 2019 Takehiko Mizukami All Rights Reserved.

bottom of page