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「真摯なパーパスの追求がイノベーションを実現する」エネルの事例

  • takehikomizukami
  • 2019年6月23日
  • 読了時間: 3分

今年のShared Value Leadership Summitのビデオを視ていますが、例年通り、エネルのセッションは、面白いですね。エネルは、世界最大クラスの電力会社でありながら、将来的に電力を100%再生可能エネルギーで供給することにコミットし、その実現に向けて、サステナビリティとイノベーションの同時推進(Innovability)を推進しています。今年のSummtでは、Innovabilityの責任者であるChief Innovability OfficerのErnesto Ciorra氏が登壇しています。


Ernesto氏は、エネルがInnovabilityを推進する理由として、「企業はイノベーションがなければ生きていけない。しかし、サステナビリティがなければ生きていく資格がない」というフィリップ・マーロウのようなことを言っています。実際には、「企業が存続していくためには、イノベーションが不可欠であり、社会・環境のサステナビリティに貢献するだけでは生きていけない。しかし、社会・環境のサステナビリティに貢献することは、企業が存在する前提条件であり、それに貢献しないイノベーションには意味がない」と言っています。


そして、「イノベーション実現のためには、優秀な人材が必要だが、最も才能ある人材は、お金では動かない。実際、過去に社会を変えてきた人々は、お金のために動いてきたわけではない。優秀な人材を惹きつけるには『パーパス』が必要である」としています。さらには、才能ある人材が自社に所属してくれるとは限らないため、『パーパス』に基づく協働、エコシステムの構築が重要としています。


エネルのパーパスは、SDG7「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」そのものであり、再生可能エネルギーの普及だけでなく、安価で信頼できるエネルギーアクセスを追求しています。不安定な電力グリッドが原因で、途上国の病院で多くの人が無くなっており、こうした課題を解決しなければならないと考えています。


エネルのInnovabiltyの取り組みで重要なのがOpen Innovabilityで、Webを通じて世界中の様々なステークホルダーの協力を得て、オープンイノベーションで、エネルのパーパス実現に必要な課題の解決を進めています。こうしたパーパスに基づくオープンイノベーションに重要なのは、エネルが信頼できる企業であることです。自社のパーパスを真摯に実践し、社会における信頼を高めることが必要です。以前、Ernesto氏がCEOのFrancesco氏と化石燃料への投資について議論したとき、15分で投資しないという結論となったとのことですが、それもパーパスに真摯であるからこそでしょう。


「パーパス」の企業経営上の重要性は、広く認識されるようになっていますが、パーパスを真摯に実践し、信頼を確保し、優秀な人材を惹きつけて、イノベーションを実現する。そうしたサイクルが回ってこそ、パーパスは意味を持つものです。

 
 
 

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