サステナビリティに関して、情報開示やESG評価に加え、気候変動、自然資本、人権などに関し、様々なルールやイニシアチブが立ち上がり、企業でサステナビリティを担当されている方は、「すべてを理解してすべてに対応しようと思うと大変だ」、「何にどう対応すれば良いのか」と、悩んでおられるかもしれません。
しかし、サステナビリティの本質的な原則を理解していれば、「自社はこのような考え方で、こういう対応を行っている」と、自信を持って、ステークホルダーなどに伝えることができます。すべてのルールやイニチアチブは、基本的に共通の原則のもとに策定・設置されていますので、本質を理解していれば、右往左往することはありません。
まずは、世界がどこに向かっているのか、ルールやイニシアチブは何を目指しているのかを理解する必要があります。世界が目指しているのは、基本的に前回のブログで「世界のパーパス」として書いた、「すべての人々が平和と一定の豊かさのもと潜在能力を発揮でき、地球への負荷が再生可能な範囲に収まっている」という、ドーナツ経済のような世界です。
この世界が目指す方向性を理解した上で、企業が取り組むべきは、以下3つのことです。これを「企業がサステナビリティに取り組む3つの原則」といっても良いでしょう。
原則1:自社事業、バリューチェーンが及ぼしている負の影響に対して、責任をもって対応する。
原則2:世界の重要な課題に対して、何ができるかを考え、貢献できることがあれば実践する。
原則3:自社事業、バリューチェーンに影響を及ぼす課題に対して、戦略的に対応する。
原則1と2は、企業の社会的責任として、普遍的に対応が求められるものです。原則3は、最近のESGの文脈において、企業価値を持続的に高めるために要請されているものです。
企業がサステナビリティに取り組むということは、この3つの原則に対応することです。これがしっかりできていれば、どのようなルール、イニシアチブが立ち上がっても、惑わされることなく、自信を持って、自社の考え、取り組みを伝えることができます。
そのためには、マテリアリティ特定で、自社において3つの原則に対応するために、具体的にどのような取り組みが必要かを理解し、それをもとに、サステナビリティ経営を進めることが必要です。そのためには、一定のリテラシー、インテリジェンスが必要かもしれませんが、本質を理解していれば、方向性を誤ることはありません。
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