サステナビリティ経営の基本は、3つの基本原則を理解・共有したうえで以下に取り組むことです。
1.主要なサステナビリティ動向とその影響を継続的に把握する。
2.自社事業、バリューチェーンと主要なサステナビリティ課題との関係性(正の影響、負の影響、依存)を把握しマテリアリティ(重要課題)を特定する。
3.マテリアリティを特定した理由(WHY)にもとづきサステナビリティに関わる戦略を策定する。
4.サステナビリティ戦略実行のためにKPI/目標を設定しPDCAを回す。
5.自社の取り組み、進捗をステークホルダーに伝え信頼を獲得する。
6.上記を支える組織体制を構築する。
今回は、「1.主要なサステナビリティ動向とその影響を継続的に理解する」について簡単にご説明します。
サステナビリティ動向については、サステナビリティ部門など、サステナビリティを推進する部門が先行的に理解し、次に、経営・事業の意思決定を行うマネジメント層、その後、現場の社員に知識を広げることが必要です。
サステナビリティの知識を組織内で広げるには、まずは世界がどう変化しているのか、世界が何故、どこに向かっているのかを理解してもらい、その上で、気候変動、生物多様性、サーキュラーエコノミー、人権など、どのようなグローバル課題があり、どのような動きがあるのか、さらには、自社経営とどう関係しているのかを理解する必要があります。その際には、自社事業・バリューチェーンがどのような負の影響を与えているのか、正の影響を与えるポテンシャルがあるのか、自社の事業基盤にどう影響しているのかといった視点が必要です。
サステナビリティを推進する部門では、先行的にサステナビリティの動向をキャッチし、その経営への意味合いを洞察することが期待されます。サステナビリティ課題が顕在化するまでの流れは、以下のような形を取ることが多いので、こうした基本的流れを共有しておくべきです。
①CO2の温室効果、海洋でのマイクロプラスチックの増加などの現象を研究者などが発見し、サステナビリティ課題について警鐘を鳴らす。
②サステナビリティ課題の重要性を理解したNGOなどが、課題に対する啓発活動を推進
③課題の重要性を理解した感度の高い企業、投資家などを巻き込んだイニシアチブが立ち上がる。
④課題の重要性の理解が広がり、国際合意、政策、ソフトローなどに反映される。
⑤直接的な政策やソフトローの影響、投資家からの要請、先行的に対応する顧客を通じた影響などにより、企業がサステナビリティ課題への対応を求められる。
こうした流れの中で、②のNGOの動向や③イニチアチブの動向を感度高くキャッチし、政策などに反映される前に、経営への影響を把握し、社内理解を進めることで、先行的対応が可能となります。
サステナビリティ推進部門では、早期にサステナビリティ動向をキャッチする能力とともに、その経営的意味合いを洞察し、経営の言葉で、マネジメントや事業部門に伝える能力が必要です。
サステナビリティ推進部門以外でも、サステナビリティに関するマクロ的動向を理解し、新しい動向について、その意味合いを受け止められる一定のリテラシーを持つことが望ましく、そうすることで、サステナビリティ推進部門と連動した、早期の対応が可能となります。
詳細については、「サステナビリティ-SDGs以後の最重要生存戦略」をご参照ください。
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