top of page

自社の強みを生かしたCSVビジネス創出に向け、社会課題の解決策が生み出す次の課題を考える。EVの事例から。

  • takehikomizukami
  • 2024年5月19日
  • 読了時間: 2分

CSVは、未解決の社会課題にビジネスを通じて解決策を提示するものです。社会課題に関する課題と解決策の新しい組み合わせを提示するものでもあります。


企業が社会課題と解決策の組み合わせを考えるにあたっては、社会課題に自社の強みを当て嵌めて製品・サービスを生み出すことがまずは基本となります。自社の強みをもって差別化できるものでなければ、製品・サービスのCSVが、新規事業として成功する可能性は小さいでしょう。


社会課題と自社の強みを組み合わせるには、課題を構造的に広くとらえる視点を持つことが重要です。そうした視点の一つが「課題の解決策が生み出す課題」です。課題の解決策は、必ず次の課題を生み出します。


例えば、モビリティの脱炭素という社会課題に対して、有望な解決策としてEVが提示されています。EVという解決策に関連する課題としては、「EVを広げるための課題」として、航続距離、充電時間などがまず提示されました。これらについては、バッテリーの高性能化や充電ステーションの整備が進められています。運輸・物流領域を中心にバッテリーの交換システムなども検討されています。EVが普及しはじめると、中古車に影響するバッテリー寿命にも関心が集まるようになりました。バッテリー部材などの地政学リスクも注目されています。


こうした「解決策を広げるための課題」も重要ですが、「解決策が生み出す次の課題」の視点も重要です。EVに関しては、LCAの低減、電池部材のリサイクルなどの課題がまず挙げられますが、EVの重量やそれが生み出す課題も次の課題と言えるでしょう。


EVの重量は航続距離に比例して重くなっており、航続距離の長いEVではガソリン車の倍近い重さとなっています。車が重くなると事故の際の被害が大きくなる傾向にあります。また、重い車体はタイヤに負担をかけ、摩耗で生じる粉塵が増加します。OECDによれば、摩耗により生じる粒子状物質「PM10」や「PM2.5」は、ガソリン車からEVへの移行で3割程度増えるとのことです。これ以外にもEVが生み出す「次の課題」はたくさんあるでしょう。


今回はEVの例を示しましたが、すべての社会課題の解決策は、必ず次の課題を生み出します。様々な社会課題の解決策が生み出す次の課題の視点を持つことで、自社が強みを生かして差別化できるビジネス機会を見つけることができるでしょう。

 
 
 

最新記事

すべて表示
アップルのサステナビリティはけん引役がいなくなっても進んでいる。経営合理性の観点からオペレーションに埋め込まれたとも言えるが、サステナビリティのリーダーで居続けられるかは不透明だ。

アップルが環境進捗報告書を公開した。2013年にEPA(米国環境保護局)長官からアップルに転じてアップルのサステナビリティを牽引してきたリサ・ジャクソン氏が本年1月に退任し「アップルがサステナビリティから撤退した」と言われていたが、報告書の内容はその見方に反するものだ。 「製品全体のリサイクル素材比率が史上最高の30%に達した。」「全製品パッケージからプラスチックを完全に排除した。」「2015年比

 
 
 
シナリオ分析は特定のシナリオに掛けるものではなく、すべてのシナリオに備えたうえで、変化の兆しを感度良く捉えて対応すべきもの

地政学リスク、AIの進化や気候変動の影響など、世界の不確実性は高まる一方です。こうした不確実性の高い状況において、意思決定のツールとして有効なのが、長期シナリオ分析です。未来を確実に予測することは不可能としつつ、自社に影響を及ぼす要因の変化を想定しつつ、起こりうる可能性のある複数の未来(シナリオ)を策定し、意思決定のガイドとします。 シナリオ策定の基本的流れは、以下の通りです。 ① 社会の変化動向

 
 
 
マイクロソフトが炭素除去クレジット購入を一次停止したのは何故か?十分なクレジットを契約済という試算もあるが、データセンターの急拡大に対応できるだろうか?

マイクロソフトはカーボンクレジットを積極的に購入している企業として有名だ。以前調査したときは、世界でシェルに次いで多くのカーボンクレジットを購入していた。シェルが低価格のクレジットを大量に購入していたのに対し、マイクロソフトは、炭素除去クレジットなど高品質・高価格のクレジットを購入していた。2030年までにカーボンネガティブを実現するという目標に真摯に取り組んでいる印象だ。 そのマイクロソフトが炭

 
 
 

コメント


Copyright(c) 2019 Takehiko Mizukami All Rights Reserved.

bottom of page