top of page

次の黒船「タクソノミー」に備える

  • takehikomizukami
  • 2019年12月7日
  • 読了時間: 3分

現在多くの企業のサステナビリティ部門は、TCFDの対応に追われています。気候変動は、企業経営に大きなインパクトをもたらすイシューであり、その長期的影響を把握し、備え、そのことを投資家などへ開示することが求められています。


TCFDもそうですが、サステナビリティの世界では、海外の専門家が中心となって作成するグローバルスタンダードがある日黒船のようにやってきて、日本企業はその対応に追われるという構図が基本となってしまっています。


そして、次の黒船と目されているのが、「タクソノミー」です。タクソノミーは、もともとは生物学の用語で、分類学を意味しますが、今回新たな黒船になりそうなタクソノミーは、EUが進めているサステナビリティに貢献する活動の分類学です。


EUタクソノミーは、EUにおけるサステナビリティ投資を促進する政策の中心にあり、投資対象としてどのような活動がサステナビリティに貢献するのかを定義するものです。しかし、その影響はEUを超えて、投資の世界を超えて広がる可能性が十分にあります。


欧州委員会は、タクソノミーに関して、昨年、各国の国内法なしに直接効力を有する規則となる法案を提出しており、欧州議会を通過しています。今後、欧州連合理事会の承認を得て、成立する見込みです。


タクソノミーの法案においては、タクソノミーが前提とする環境目的として、1.気候変動の緩和、2.気候変動の適応、3.水及び海洋資源の持続可能な利用と保全、4.サーキュラーエコノミーへの転換、廃棄物の防止、リサイクル、5.汚染防止と管理、6.健全な生態系の保護の6つを挙げています。


また、特定の活動がタクソノミーと認められる条件として、①1つまたはそれ以上の環境目的に大きく貢献すること、②他の環境目的に重大な害を与えないこと、③最低限の社会的なセーフガード措置に準拠していること、④欧州委員会が定める基準に準拠していること、を挙げています。


上記のうち、②は、気候変動の緩和に貢献しても、健全な生態系の保護に悪影響を与えるものは、サステナブルな活動とは認めないということです。また、③では、ILO原則、OECD多国籍企業ガイドライン、国連人権指導原則などの遵守が求められており、環境面で貢献していても人権への対応が不十分なものは、サステナブルな活動とは認めないということです。


④の基準については、欧州委員会の設置した専門家グループが議論しており、今年6月にテクニカルレポートを発表しています。テクニカルレポートでは、環境目的ごとに、産業、産業ごとの活動、活動に関する具体的な判定基準が示されています。例えば、気候変動の緩和という環境目的に貢献する産業として「輸送」があり、「輸送」の活動として「乗用車及び商用車(による輸送)」があり、具体的な判定基準として、電気自動車、水素自動車、燃料電池車などの「排気管のない車」であるか、「排気管のある車」の場合は、CO2排出量が2025年までは50gCO2/km以下、2026年以降は0gCO2/kmでなければならないとされています。


このようにタクソノミーでは、かなり具体的な内容が示されます。これが、グローバルスタンダードとして大きな影響力を持つようになる可能性があります。これまでのように黒船が来てから慌てて対応するということのないようにしておく必要があります。


では、企業としてどう準備するか。日本企業では、環境配慮製品、SDGs貢献製品など、自社の製品・サービスを認定する制度を持っているところがあります。これをタクソノミーに合わせてみではどうでしょうか。タクソノミーの理解促進にもなりますし、将来の黒船来航の備えにもなります。こうした制度のない企業では、新たに導入を検討しても良いでしょう。何事も準備が大切です。

 
 
 

最新記事

すべて表示
コーポレートガバナンス・コードの改訂を機に、サステナビリティ方針を見直すべきではないか。

先般金融庁が提示したコーポレートガバナンス・コード(CGC)改訂案では、サステナビリティに関する記述を「第2章 株主以外のステークホルダーとの適切な協働」から「第4章 取締役会等の責務」に移管し、原則で「取締役会は、中長期的な企業価値の向上の観点から、サステナビリティを巡る課題に積極的・能動的に取り組むべき」と規定している。これまでの「上場会社は、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る

 
 
 
IPBES報告書がビジネス環境のCSVを提唱

「生物多様性と自然」に関わる科学的評価を実施するIPBES(気候変動におけるIPCCに該当)が、初めてビジネスに焦点を当ててまとめた「ビジネスと生物多様性評価報告書」の政策決定者向け要約が発表された。 2026年10月にはCOP17が開催され、昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)の中間レビューが行われる。2030年目標に向けた折り返し地点となるこのタイミングで発表された報告書は、企業や政府

 
 
 
「京浜工業地帯の父」浅野総一郎は、サーキュラーエコノミーの先駆者でもあった

私の故郷である富山県氷見市出身の偉人として真っ先に名前があがるのは浅野総一郎です。明治維新から日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦という激動の時代に、この先日本にとって必要となる事業は何か考え、石炭、セメント、海運、造船などの事業を次々と立ち上げ、京浜工業地帯の礎を築き、「京浜工業地帯の父」と呼ばれています。 浅野総一郎は、「九転十起の人」とも呼ばれ、失敗してもくじけない、不屈の精神でも知られていま

 
 
 

コメント


Copyright(c) 2019 Takehiko Mizukami All Rights Reserved.

bottom of page