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本物のサステナビリティ経営の5つの要諦

  • takehikomizukami
  • 2025年1月2日
  • 読了時間: 5分

 2025年は、トランプ政権誕生などもあり、ESGに逆風が吹くと考えられている。しかし、世界のサステナビリティに向けた動きは長期的に不可逆的なものだ。短期的に逆風が吹くときこそ、本物のサステナビリティ経営を着実に進めることが、長期的な企業価値の創造という観点からも重要となる。2025年のはじめに、本物のサステナビリティ経営の5つの要諦をおさらいしておく。


①「サステナビリティは、「先導」してこそ価値がある」

 もし社内に、「競合より先に取り組むと損をする」という考えがあるとすると、基本的にサステナビリティをコストと考えているという証左ではないか。確かに、サステナビリティの取組みは、短期的には利益を生まないことも多い。しかし、これは未来に向けた投資と考えるべきだ。サステナビリティの取組みが自社にとって将来的にどのような価値を生み出すかを理解した上で投資をすることが大事だ。長期的にサステナビリティに向けて世界が動く中で、CSVとして価値を生み出せれば、先導した企業が先行者利益を獲得できる。

 また、サステナビリティを推進するための取組みは、業界をあげて、場合によっては業界や企業という枠組みを超えて実施することが有効な場合もある。サステナビリティを促進するためのルールやインフラを整備するような場合だ。こうした場合は、自社だけで対応するのではなく、「他者を巻き込む」ことが必要となる。この場合も、他者との協働を先導するほうが、優位性を確保できることが多い。

 本物のサステナビリティ経営とは、サステナビリティの動きを先導して、社会にとっても、自社にとっても価値を生み出すことだ。


②「サステナビリティは、「スケール」が前提」

 日本でもCSVの考え方は一定の認知を得ている。CSVの基本コンセプトは、ビジネスによる社会課題の解決、企業価値と社会価値の両立だ。ただ問題なのは、「ビジネスによる社会課題の解決」と言った場合、目の前にある社会課題、目の前で困っている人を助けることにフォーカスしがちなことだ。自社のリソースで、目の前で困っている人を助けることは素晴らしいことだ。さらに、それで一定の利益が上げられれば、ビジネスの観点からも素晴らしい。しかし、本物のサステナビリティ経営で求められるのは、それをスケールしていくことだ。数人、数十人を助けることも素晴らしいが、数百万人、数千万人を助けることを目指すのが、本物のサステナビリティ経営だ。CSVの本質は、資本主義のメカニズムを生かすことにある。資本主義のメカニズムとは、拡大再生産だ。CSVにおいても、社会価値創造の再生産によりスケールすることが重要だ。本物のサステナビリティ経営を目指すなら、「スケール」にこだわって欲しい。


③「サステナビリティは、『トータルの価値』を考える」

 事業活動には、必ずプラスの側面とマイナスの側面がある。自動車を例にとると、移動に関する大きな利便性を提供するが、交通事故の原因となり、原料調達・生産・使用段階などで環境負荷をもたらす。また、原料調達・生産段階での劣悪な労働環境が人権問題となることがある。本物のサステナビリティ経営では、こうしたマイナス面にもしっかり対応し、製品・サービスのライフサイクル全体、事業全体のトータルの価値を考える必要がある。プラスの価値を増大しつつ、マイナス面を軽減、できればゼロにしていくことが求められる。


④「サステナビリティは、『経営マター』である」

 サステナビリティに向けた動きは、すべての企業に大きな機会・リスクをもたらす。資本主義がサステナビリティを統合して進化しようとしている今、政策、技術、消費者・市民の意識や行動が変化しており、それを見据えた投資家の行動も変化している。こうした変化は、経営に大きな影響をもたらすものであり、経営レベルでの意思決定が重要となる。CSRの時代は、担当部門に任せて情報開示を中心とした活動をしていれば良かったかも知れないが、これからはそうはいかない。経営レベルでの意識決定は、本物のサステナビリティ経営に向けた第一歩だ。


⑤「サステナビリティは、『ビジネスと統合』しなければならない」

 経営レベルの意思決定が必要なサステナビリティだが、ビジネスと統合された意思決定が必要だ。日本企業の多くでは、中期経営計画にサステナビリティを記載するとしても、事業戦略とは別に、「サステナビリティにも積極的に取り組みます」と記述するといった感じで、事業とサステナビリティが切り離されていることも多い。サステナビリティは、社会・環境の変化が政策、技術、ステークホルダーの意識・行動にどう影響し、それが事業にどう影響するかを考え、事業戦略に組み込んでこそ本当の意味がある。本物のサステナビリティ経営では、「ビジネスとサステナビリティの統合」は、基本である。


 日本の大企業では、サステナビリティについて、その重要性は理解しているが、事業そのもののあり方を大きく変えることはなく、サステナビリティレポートの発行など、コミュニケーションを中心にサステナビリティの取組みを行っている企業が多いのではないだろうか。しかし、サステナビリティは、事業そのものに大きな影響を与えるものだ。サステナビリティのトレンドが投資家、顧客、社員、さらには政府、NGO/NPOといったステークホルダーの意識や行動を変えている。その動きに適切に対応できなければ、企業にとってのリスクとなる。また、ステークホルダーの変化は、新たなビジネス機会を生み出している。

 本物のサステナビリティ企業は、サステナビリティを経営の中心的課題ととらえ、経営と統合して推進している。本物のサステナビリティ経営とは、単に社会・環境にとって良いことをするのではなく、事業基盤である環境・社会とともに企業を持続的に成長させ、それにより、社会・環境へのインパクトをスケールしていくものだ。本物のサステナビリティ経営とは、社会・環境課題と自社経営・戦略との関係を統合思考に基づき把握し、社会・環境と自社のWIN-WIN、スパイラルアップを実現する経営だ。

 
 
 

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