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レアアースリスクがサーキュラーエコノミーを加速し、イラン戦争がカーボンニュートラルを加速する。地政学とサステナビリティが絡み合う時代には、サステナビリティ経営にもより高度なインテリジェンスが求められる。

  • takehikomizukami
  • 9 時間前
  • 読了時間: 3分

サステナビリティ経営においては、“フォーカシング・イベント(Focusing Event)”への感度の高さが重要だ。


フォーカシング・イベントとは、マスコミや市民、政策担当者が急速に社会課題に注目し、対策を進めるきっかけとなる出来事のことで、日米の政権交代なども含む。


サステナビリティを促進することにつながるこれまでのフォーカシング・イベントとしては、以下のようなものがあった。


2018年、鼻にストローが突き刺さったウミガメの動画、餓死したクジラの胃の中から大量のプラスチックごみが出てきた画像などがSNSで広く共有されたことで、海洋プラスチック問題が急速に注目されるようになった。


2017年、フォルクスワーゲンのディーゼル不正問題を受けて、欧州自動車メーカーが、ディーゼル車でCO2規制に対応する戦略が狂い、EVシフトを進めざるを得ない状況になったため、欧州で、2035年までにガソリン車・ディーゼル車の販売を禁止する合意がなされるなど、急速に自動車の脱化石燃料化、EVの化の動きが進んだ。


2013年、バングラデシュのラナ・プラザ崩落事故で、アパレル業界のサプライチェーンにおける劣悪な労働環境が明らかになったことで、アパレル業界を中心に、サプライチェーンの人権問題対応への要請が強まり、取組みが急速に進んだ。


2010年、グリーンピースのネスレに対する、キットカットを子供が食べると血が滴るオランウータンの指になるショッキングなビデオを活用したキャンペーンがきっかけで、インドネシアやマレーシアの森林破壊につながるパーム油の問題に注目が集まるようになった。


最近で言えば、トランプ関税に対抗して中国がレアアースの輸出規制を強化したことなどで、中国へのレアアース依存のリスクが注目されるようになった。これにより、レアアースを含む資源のリサイクルなど、サーキュラーエコノミーの取り組みが加速する可能性がある。


また、イラン戦争によるナフサの供給不安もプラスチックなど石油製品の使用削減、リサイクル促進など、サーキュラーエコノミーを加速する要因となっている。


イラン戦争は、改めて中東の化石燃料依存のリスクを顕在化させており、再エネやEVの需要を増加させている。これは電化、再エネ化によるGHG排出削減を促進する動きだ。ただこれについては、中国にレアアース覇権を許した中、中国が「新・三種の神器(新三様)」と位置づける太陽光発電設備、EV、リチウムイオン電池でも覇権を握らせたくないという政治的な動きも絡むため、単純に方向性は見通せない。ただ、化石資源の調達リスクや価格高騰は、カーボンニュートラルを促進するだろう。


サステナビリティ担当は、地政学とサステナビリティの動向が絡む状況において、フォーカシング・イベントとその影響に感度を高めておく必要がある。サステナビリティ経営には、より高度なインテリジェンスが必要な時代となった。

 
 
 

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