top of page

アップルのサステナビリティはけん引役がいなくなっても進んでいる。経営合理性の観点からオペレーションに埋め込まれたとも言えるが、サステナビリティのリーダーで居続けられるかは不透明だ。

takehikomizukami
4月30日
読了時間: 2分

アップルが環境進捗報告書を公開した。2013年にEPA(米国環境保護局)長官からアップルに転じてアップルのサステナビリティを牽引してきたリサ・ジャクソン氏が本年1月に退任し「アップルがサステナビリティから撤退した」と言われていたが、報告書の内容はその見方に反するものだ。


「製品全体のリサイクル素材比率が史上最高の30%に達した。」「全製品パッケージからプラスチックを完全に排除した。」「2015年比で温室効果ガス排出量を60%超削減しながら、同期間に売上が78%成長した。」など、アップルのサステナビリティは着実に進んでいる。


米国の反ESGのトレンドの中で、アップルは役員報酬のESG指標連動部分を廃止し、リサ・ジャクソン氏も退任した。ESGの政治リスクを避けているようにも見える。一方で、これまでにオペレーションに埋め込んだサステナビリティは進んでいる。


アップルはサステナビリティを推進することで、資源使用量を削減しコストを低減している。バージョン素材の使用量を減らしたことで地政学リスクの影響も受けにくくなっている。サステナビリティが経営的にも合理性があることが示されている。


アップルは、「ESG」「気候変動」「サステナビリティ」という言葉を「コスト削減」「調達リスクの低減」「製品競争力の強化」という言葉に変換し、サステナビリティをオペレーションに埋め込んでいる。


サステナビリティが経営合理性の観点から自律的に進んでいくのであれば素晴らしいことだ。


一方で、サステナビリティは常に変化し新しいイシューが顕在化してくる。そうした新しいイシューに、リサ・ジャクソン氏のようなけん引役なしで感度高く対応できるか、次はそれが問われるだろう。


スティーブ・ジョブス氏亡き後もアップルは着実に成長してきた。しかし画期的なイノベーションは生まれなくなったという意見もある。AI競争に後れを取っているという見方もある。


リサ・ジャクソン氏が去った後のアップルはどうだろうか?現在のサステナビリティの取組みは進めていくだろうが。今後の変化や新たなサステナビリティイシューに対応できるか、サステナビリティの先進企業であり続けられるかは不透明だ。


(参考)

 
 
 

最新記事

すべて表示
CGコード改訂が示すサステナビリティ経営の新機軸

2026年に改訂されたコーポレートガバナンス・コード(CGコード)は、形式的な順守から実効性のあるガバナンスへの転換を強く打ち出しました。サステナビリティに関する規定が「株主以外のステークホルダーとの適切な協働」から「取締役会等の責務」へ移されたことは、その象徴です。サステナビリティは、もはや社会への配慮にとどまらず、取締役会が中長期的な企業価値の向上に向けて担うべき経営課題として位置付けられたの

 
 
 
「サステナビリティ2.0」の必要性-サステナビリティは、会計モデルなどの現在の5つの主要モデルを超えて、新しいビジョンを構想する必要がある。

TRELLISの記事より。 サステナビリティは転換点を迎えている。現在主流となっている5つのモデル―会計的アプローチ、ロールバック、権力政治、反企業的アプローチ、キャリア志向型―には、それぞれ重大な限界がある。「サステナビリティ2.0」では、基本原則を再確認し、インセンティブを創出し、サステナビリティを事業戦略や業務に統合すべきである。 サステナビリティの5つの主要モデル 「会計モデル」 このモデ

 
 
 
幸福感を高めるお金の使い方とCSVの機会

幸福感を得るためのお金の使い方について纏めた「Happy Money: The Science of Smarter Spending」という書籍があります。 この本では、幸福感を上げるためのお金の使い方として、①「物ではなく体験を購入しよう(Buy Experiences)」、②「特別なご褒美にしよう(Make it a Treat)」、③「心に余裕を持てるよう時間を買おう(Buy Time)」

 
 
 

コメント


Copyright(c) 2019 Takehiko Mizukami All Rights Reserved.

bottom of page