top of page

新型コロナと生物多様性

  • takehikomizukami
  • 2020年7月12日
  • 読了時間: 2分

サステナビリティ業界では、新型コロナウイルスのパンデミックを受けて、生物多様性の重要性が再認識されています。人間活動による生態系の破壊が野生生物と人との距離を縮め、それが感染症の原因であると考えられるからです。

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2020年8月号の「人類の進歩が招いた人類の危機」という論文によれば、1970年以降に発生した新規感染症の約半数は、野生生物由来とされ、その数は増加傾向にあるとのことです。

具体的には、HIVは、霊長類固有の感染症であるサル免疫不全ウイルスに感染したチンパンジーを人間が食べて感染したと考えられています。エボラ出血熱、SARSおよびMARSは、コウモリが保有していたウイルスが中間宿主を介して、人間に感染したと考えられています。新型コロナウイルスについては、コウモリ由来のコロナウイルスの遺伝子の一部にセンザンコウ由来のウイルスの遺伝子が組み合わさったウイルスが起源と推測されています。

こうした野生生物由来の感染症の原因となっているのが、生態系の破壊です。熱帯雨林をはじめとする生態系には、人間が触れたことがないウイルスが多数存在し、一部は野生生物を宿主としています。急速な生態系の破壊は、そうしたウイルスと人間あるいは家畜が接触する可能性を高めています。

「人類の進歩が招いた人類の危機」によれば、ウイルスは、古来、生態系の中で生物多様性の一員として進化を繰り返しており、ある種の生物集団が増えすぎて生態系のバランスを崩すようなことがあれば、その集団に寄生して感染症を起こし、集団密度を低下させ数の調整を図ってきたとのことです。すなわち、ウイルスは、地球上の生態系のバランスを維持するために存在するとのことです。

これは人類にとっては恐ろしいことで、増えすぎた人類は、ウイルスからすると絶好の獲物となっています。人類は、今回の新型コロナウイルスをきっかけとして、生物多様性保全の重要性を真剣に認識すべきです。新型コロナからのグリーンリカバリーにおいては、気候変動が特に注目されていますが、今回のウイルスの原因と考えられる生物多様性保全にもより注意を向ける必要があります。

今年10月に開催される予定だった生物多様性のCOP15は、延期になりましたが、COVID-19を受けてより重要性を増しています。世界が注目して真剣な議論を行うことを期待します。

 
 
 

最新記事

すべて表示
収支トントンで社会にインパクトを生み出すソーシャルビジネスをどう考えるか?財務+非財務のリターンが資本コストを超えることを目指すべきか?

先日、サステナブルブランド国際会議でLIXILのソーシャルビジネスの話を聞いた。 LIXILは2011年、INAXやトステムなど主要メーカー5社が統合して誕生したが、LIXILとしての求心力として「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」というパーパスを策定した。このパーパスを体現するものとして生まれたのが、LIXILのソーシャルビジネスである簡易式トイレ「SATO Pan」だ。 世界では、

 
 
 
コーポレートガバナンス・コードの改訂を機に、サステナビリティ方針を見直すべきではないか。

先般金融庁が提示したコーポレートガバナンス・コード(CGC)改訂案では、サステナビリティに関する記述を「第2章 株主以外のステークホルダーとの適切な協働」から「第4章 取締役会等の責務」に移管し、原則で「取締役会は、中長期的な企業価値の向上の観点から、サステナビリティを巡る課題に積極的・能動的に取り組むべき」と規定している。これまでの「上場会社は、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る

 
 
 
IPBES報告書がビジネス環境のCSVを提唱

「生物多様性と自然」に関わる科学的評価を実施するIPBES(気候変動におけるIPCCに該当)が、初めてビジネスに焦点を当ててまとめた「ビジネスと生物多様性評価報告書」の政策決定者向け要約が発表された。 2026年10月にはCOP17が開催され、昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)の中間レビューが行われる。2030年目標に向けた折り返し地点となるこのタイミングで発表された報告書は、企業や政府

 
 
 

コメント


Copyright(c) 2019 Takehiko Mizukami All Rights Reserved.

bottom of page