top of page

天ぷらバスとネステの話 -SXで成功するには、洞察力と意思決定の速さが必要-

takehikomizukami
2023年6月24日
読了時間: 2分

2011年3月の東日本大震災の発生直後、いてもたってもいられず、当時の勤務先で何か支援すべきと話し合い、1月後に、クライアント企業のCSR担当者などに参加してもらい、ボランティアツアーを実施しました。ツアーは、被災地支援のノウハウを持つピースボートの元メンバーが会社いたこともあり、ピースボートの支援も受けて、効率的な支援ができたと思います。


そのボランティアツアーでは、リボーンが運行する天ぷらバスを使用しました。天ぷらバスは、家庭で使用された廃食油を回収・リサイクルしたバイオディーゼルフューエル100%で走る、環境に配慮したバスです。


当時は、こんなバスもあるのか、廃食油の回収は大変そうだなというくらいの認識で、廃食油が持続可能な航空燃料(SAF)として、広く使われるようになるとは認識していませんでした。サステナビリティ・コンサルタントとしては、当時の洞察力の鈍さを恥じる次第です。


現在、SAF市場を席捲しているのは、フィンランドのネステです。フィンランドの石油精製会社として創業したネステは、1990年代に再生燃料の技術を開発し、東日本大震災が起こったころに、生産規模を大きく拡大しています。そして、航空業界で国際合意に基づきカーボン排出削減の流れが確定的となった2018年には、廃食油を用いたSAFを本格的に強化しています。天ぷらバスのように、地域ごとに行われていた廃食油の回収・活用をグローバルレベルで産業化しています。


日本の廃食油もネステの回収網にのって、ネステのシンガポール工場に運ばれ、SAFとなって日本に再度輸入され、JALやANAで使われています。


日本でも天ぷらバスのような取り組みが以前からあったところで、2016年の国際民間航空のためのカーボン・オフセット及び削減スキーム(CORSIA)採択以降、世界的なSAF需要が顕在化しました。このときに、ネステに先んじて、廃食油の回収をスケールし、SAF生産の取り組みができていれば、とは思います。


ネステのような海外のSX企業は、動きが早く、大胆な投資の意思決定も素早く行います。変化が加速しているサステナビリティ市場では、洞察力・感度を高めるとともに、投資やコラボレーションの意思決定も早くできないと、成功できません。私もそうですが、日本企業も、危機感を持たないといけないですね。



 
 
 

最新記事

すべて表示
CGコード改訂が示すサステナビリティ経営の新機軸

2026年に改訂されたコーポレートガバナンス・コード(CGコード)は、形式的な順守から実効性のあるガバナンスへの転換を強く打ち出しました。サステナビリティに関する規定が「株主以外のステークホルダーとの適切な協働」から「取締役会等の責務」へ移されたことは、その象徴です。サステナビリティは、もはや社会への配慮にとどまらず、取締役会が中長期的な企業価値の向上に向けて担うべき経営課題として位置付けられたの

 
 
 
「サステナビリティ2.0」の必要性-サステナビリティは、会計モデルなどの現在の5つの主要モデルを超えて、新しいビジョンを構想する必要がある。

TRELLISの記事より。 サステナビリティは転換点を迎えている。現在主流となっている5つのモデル―会計的アプローチ、ロールバック、権力政治、反企業的アプローチ、キャリア志向型―には、それぞれ重大な限界がある。「サステナビリティ2.0」では、基本原則を再確認し、インセンティブを創出し、サステナビリティを事業戦略や業務に統合すべきである。 サステナビリティの5つの主要モデル 「会計モデル」 このモデ

 
 
 
幸福感を高めるお金の使い方とCSVの機会

幸福感を得るためのお金の使い方について纏めた「Happy Money: The Science of Smarter Spending」という書籍があります。 この本では、幸福感を上げるためのお金の使い方として、①「物ではなく体験を購入しよう(Buy Experiences)」、②「特別なご褒美にしよう(Make it a Treat)」、③「心に余裕を持てるよう時間を買おう(Buy Time)」

 
 
 

コメント


Copyright(c) 2019 Takehiko Mizukami All Rights Reserved.

bottom of page