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企業が緊急および長期の被災地支援を行うための5つの検討ポイント

能登半島地震では甚大な被害があり、多くの企業でも被災地支援を検討していると思います。義援金も重要ですが、現時点では、行政や市民セクターと協力しながら、自社の強みを活かして、被災者の様々なニーズに適切に対応する直接的支援を迅速かつ効果的に実施することが、最優先でしょう。また、本業を通じて、被災者の不安を取り除くことも大事です。


2016年の情報ですが、以下に企業による災害支援に関するグローバルでのリサーチ結果とそれを踏まえた企業としての検討ポイントを共有します。少しでも参考になれば幸いです。


グローバルでのリサーチによれば、消費者の87%が企業は自然災害への支援を行うべきと考えており、69%は企業こそが効果的な支援ができると考えている。市民は、企業に対して政府以上に、緊急なニーズに対する地に足の着いた解決策の提供を期待している。89%の市民は、企業は支援にあたって、(寄付だけでなく)製品や社員のスキルなど、ユニークな資源を有効に活用すべきと考えている。また、87%は、企業に対して、一時的な支援だけでなく、長期的な被災地支援を望んでいる。そして、90%以上の市民は、被災地支援を行う企業に対して、より好意的な印象を持つ。


企業が緊急および長期の被災地支援を行うための5つの検討ポイント


【寄付以上のことを考える】義援金や被災地で活動するNPOなどに対する支援金は重要です。しかし、企業としては、それだけでなく、製品、技術、ネットーワークなど、自社の強みを活かした支援を検討すべきでしょう。


【支援先のデューデリジェンス】オンラインなども含め、支援先の選択肢も増えています。支援を共に行うNPOパートナーを選ぶときには、長期的なコミットメント、活動成果の透明性などを考慮し、賢明な選択をすべきでしょう。


【ステークホルダーとともに活動する】社員、消費者など、企業のステークホルダーも被災地を支援したいという思いを持っています。企業は、ステークホルダーが寄付をするためのチャネルを提供するだけでなく、短期および長期のボランティアその他の支援の機会を提供することを検討すべきでしょう。


【積極的にコミュニケーションする】企業としては、下手なコミュニケーションにより非難されることを恐れがちですが、事実に基づくシンプルなニュースリリースなどで、活動についてコミュニケーションする必要はあるでしょう。また、ソーシャルメディアも活用して、寄付を募ったり、被災地の情報を伝えたりして、支援の輪を広げることも検討すべきでしょう。


【長期的に取り組む】緊急支援は極めて重要ですが、長期に亘る復旧・復興も重要です。企業としては、メディアでの報道如何に関わらず、地域のための長期的支援を検討すべきでしょう。


(参考)2016年のSustainable Brandsの記事

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