top of page

世界を現在良い方向に変えている企業とは? - Change the World List 2022

  • takehikomizukami
  • 2022年10月30日
  • 読了時間: 4分

米フォーチュン誌が毎年発表している「世界を変える企業リスト(Change the World List)」の2022年版が発表されました。社会課題解決に及ぼす社会インパクト、それがもたらす財務的成果、それが如何にイノベーティブか、の視点で企業を選定・評価し、ビジネスを通じて、社会にポジティブなインパクトを及ぼしている企業をリストアップしているものです。新興国なども含め、毎年、新しい企業がリストアップされるので、CSV企業の新しい情報が得られます。


今年は、どのような企業が選定され、上位に来ているでしょうか。1位から10位の企業を見てみましょう。


1位は、PayPalです。ロシアのウクライナ侵攻に伴う多くの難民の身元を証明し、迅速に資金を提供しました。危機に対応した迅速な行動とリーダーシップが評価されています。


2位は、アリババ、JD.com、美団の中国ECプラットフォーム3社です。上海が新型コロナ対応でロックダウンした際に、多数の住民に生活必需品を提供するために、特別なサービスプラットフォームを構築する、従業員を他の地域から上海に集中させるなどの取り組みを実施しました。ここでも、危機への対応が評価されています。


3位は、ウォルマート。米国では、120万人の糖尿病患者が、米国で特に高額な治療薬インシュリンの費用が負担できず、生きるための薬が十分に得られない状況にあります。政府がこの問題を解決できない中、ウォルマートは、ノボノルディスクと協働し、プライベートラベルの安価なインシュリンを提供しています。


4位は、南アフリカの保険会社ディスカバリー。ディスカバリーは、住友生命が提供する健康増進応援保険Vitalityのオリジナルを提供していますが、銀行サービスも提供し、生活態度に応じた金利優遇などで、身体と金融の健康を支援しています。


5位は、クアルコム。自動車の電動化が進む中、エレクトロニクスとの連動で、内燃機関の燃料効率を向上させるプラットフォームを提供しています。このプラットフォームは、自動運転の促進にも貢献しています。


6位は、フランスのアイウェア大手エシオールルックスオティカ。世界では、3人に1人が、安価で簡単に矯正できるはずの視力低下に苦しんでいます。この原因となっているのは、低所得国で、診断、矯正のリソースが得られないことです。エシオールルックスオティカは、この問題を解決するため、低所得国で20,000人以上に対する視覚ケアサービスを提供するためのトレーニングや診断ツールを提供し、5-10ドル程度の安価な眼鏡を提供しています。毎年1,000万人が、このサービスの恩恵を受けていますが、さらにこの活動を拡大しようと働きかかけています。


7位は、ブラジルのフィンテック企業ヌーバンク。南米では、低所得層を中心に、金融へのアクセスが不足しています。ヌーバンクは、クレジットカードの料金や過度な書類手続きといった障壁をなくす“アンチ銀行”として、ブラジル、メキシコ、コロンビアの7,000万人に金融サービスを提供しています。


8位は、元テスラの調達担当幹部らが創業したスウェーデンの電池メーカー、ノースボルト。80億ドル程度の資金を調達し、BMWやトラックメーカーのスカニアなどから、550億ドル程度の契約を獲得しています。ノースボルトは、原材料を持続可能に調達し、再エネを利用し、電池のリサイクルシステムを開発するなど、サステナブルなバリューチェーンを構築することで、CATLやパナソニックと差別化しています。木質材料のリグニンを電池の陽極に利用することも検討しています。


9位は、中国・香港の保険会社AIAグループ。中国、日本、韓国などでは、脱石炭が大きな課題となっています。アジア最大の保険グループであるAIAは、2021年3月に、2028年までにすべての石炭関連ビジネスからダイベストすると宣言しました。しかし、その年末までに、7年前倒しで、石炭関連の株式、債券をすべて売却したと発表し、世界を驚かせました。


10位は、インドの金融サービス企業Shubham Housing Development Finance。Shubhamは、2011年に、収入を書面で証明できないという理由だけで人々のローンを断るのにうんざりしていた、2人の消費者金融マンにより創業されました。インドでは、人口の60%以上が非公式な業務に携わっていることにより、安定的な収入があっても、金融アクセスが容易ではない状況にあります。Shubhamは、この問題を解決するため、従来の画一的な書面審査ではなく、インタビューなどで個々の顧客の状況を理解し、カスタマイズしたローンを提供しています。現在、Shubhamは、65,000以上の家庭に金融サービスを提供し、手の届く住宅ローンのサービスの提供者として、成長しています。


このリストを見ていると、世界の企業のCSV関連の最新動向が分かります。11以下にも、興味深い企業や取り組みが多数ありますので、今後、このブログで紹介していきたいと思います。


 
 
 

最新記事

すべて表示
IPBES報告書がビジネス環境のCSVを提唱

「生物多様性と自然」に関わる科学的評価を実施するIPBES(気候変動におけるIPCCに該当)が、初めてビジネスに焦点を当ててまとめた「ビジネスと生物多様性評価報告書」の政策決定者向け要約が発表された。 2026年10月にはCOP17が開催され、昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)の中間レビューが行われる。2030年目標に向けた折り返し地点となるこのタイミングで発表された報告書は、企業や政府

 
 
 
「京浜工業地帯の父」浅野総一郎は、サーキュラーエコノミーの先駆者でもあった

私の故郷である富山県氷見市出身の偉人として真っ先に名前があがるのは浅野総一郎です。明治維新から日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦という激動の時代に、この先日本にとって必要となる事業は何か考え、石炭、セメント、海運、造船などの事業を次々と立ち上げ、京浜工業地帯の礎を築き、「京浜工業地帯の父」と呼ばれています。 浅野総一郎は、「九転十起の人」とも呼ばれ、失敗してもくじけない、不屈の精神でも知られていま

 
 
 
2026年のサステナビリティ戦略。サステナビリティが企業価値につながる事例が増える一方で逆風も吹く時代、企業は全力疾走すべき時、減速すべき時、小さな一歩を踏み出すべき時を見極めて柔軟に対応することも必要

サステナビリティが企業価値につながる事例は増えているが、一方で反ESGの動きもある。こうした時代において、企業はどのようにサステナビリティ戦略を舵取りすべきか。TRELLISの記事を紹介する。 2025年が明らかにし、2026年がすでにサステナビリティに関して再確認していることは、「緊張とトレードオフ」が常にサステナビリティ経営の核心であり、そして近い将来もそうあり続けるだろうことだ。 サステナビ

 
 
 

コメント


Copyright(c) 2019 Takehiko Mizukami All Rights Reserved.

bottom of page