top of page

マテリアリティ特定で、「自社にとっての重要度」をどのように評価するか

  • takehikomizukami
  • 2022年8月6日
  • 読了時間: 3分

前回、マテリアリティ特定において、「自社にとっての重要度」の精査は、サステナビリティ経営の一丁目一番地と言えるほど重要だが、ほとんどの企業のマテリアリティ特定においては、この精査が出来ていないと述べました。


多くの企業のマテリアリティ特定において、「自社にとっての重要度」は、自社の経営層や社員の議論やアンケートなどで評価しています。その際には、自社のパーパス、ビジョン、戦略との整合性などの観点から評価がなされます。しかし、サステナビリティ経営やサステナビリティ課題に対する十分な理解、リテラシーがない人々の議論で、適切なマテリアリティが選定できるでしょうか?通常は、それほど議論が深まらず、多数の意見や声の大きい人の意見が反映されて、既存の取り組みを追認するような評価結果となります。そこからは、何ら新しい取り組みは、生まれません。


こうした場合、議論の準備、ファシリテーター役を担うコンサルティング会社の役割が重要なのですが、サステナビリティ系のコンサルタント会社は、事業に対する理解が十分でなく、戦略系のコンサルティング会社は、事業に対する理解があったとしても、サステナビリティに対する理解が十分でなく、適切な議論の設計、ファシリテーションができていません。


マテリアリティ特定の「自社にとっての重要度」評価にあたっては、評価者への事前のインプットと評価の枠組みなどの設計が重要です。


マテリアリティ特定では、アウトプットだけでなく、そのプロセスを通じて、経営層や事業部門長などサステナビリティ経営推進のキープレーヤーに、サステナビリティ課題の自社経営にとっての意味合いを理解してもらうことが大事です。そのためには、サステナビリティ推進のキープレーヤーを評価者とし、事前インプットとして、それぞれのサステナビリティ課題について、その背景、政策やイニシアチブ、先進企業などの取り組み、自社のバリューチェーンとの関係性などを理解してもらいます。最初はレクチャーなどでインプットしますが、その後のマテリアリティ特定の議論を通じて、理解を深めてもらいます。


また、マテリアリティ特定にあたっては、評価の枠組みの適切な設計・共有も欠かせません。サステナビリティ課題の自社にとっての意味合いとしては、機会、リスクに加え、課題に取り組むことが、ブランド価値、優秀な人材獲得、原材料の安定調達などの資本強化につながるということがあります。この機会、リスク、資本強化の観点を考慮して、評価の枠組みを設計する必要があります。


サステナビリティ課題を理解し、評価の枠組みを適切に設計・共有し、「サステナビリティ課題がもたらす重要な機会とリスクは何か?」「サステナビリティ課題は、自社ならではの強み、自社ならではのビジネスモデルに長期的にどのような影響を及ぼすか?」を議論することで、サステナビリティ課題の自社経営・ビジネスへの意味合いについての理解が深まり、適切なマテリアリティが特定できます。


事前のインプット、評価の枠組みの適切な設計、そして議論を深めるファシリテーション、それらを意識して、マテリアリティ特定の「自社にとっての重要度評価」を行っていただければと思います。

 
 
 

最新記事

すべて表示
収支トントンで社会にインパクトを生み出すソーシャルビジネスをどう考えるか?財務+非財務のリターンが資本コストを超えることを目指すべきか?

先日、サステナブルブランド国際会議でLIXILのソーシャルビジネスの話を聞いた。 LIXILは2011年、INAXやトステムなど主要メーカー5社が統合して誕生したが、LIXILとしての求心力として「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」というパーパスを策定した。このパーパスを体現するものとして生まれたのが、LIXILのソーシャルビジネスである簡易式トイレ「SATO Pan」だ。 世界では、

 
 
 
コーポレートガバナンス・コードの改訂を機に、サステナビリティ方針を見直すべきではないか。

先般金融庁が提示したコーポレートガバナンス・コード(CGC)改訂案では、サステナビリティに関する記述を「第2章 株主以外のステークホルダーとの適切な協働」から「第4章 取締役会等の責務」に移管し、原則で「取締役会は、中長期的な企業価値の向上の観点から、サステナビリティを巡る課題に積極的・能動的に取り組むべき」と規定している。これまでの「上場会社は、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る

 
 
 
IPBES報告書がビジネス環境のCSVを提唱

「生物多様性と自然」に関わる科学的評価を実施するIPBES(気候変動におけるIPCCに該当)が、初めてビジネスに焦点を当ててまとめた「ビジネスと生物多様性評価報告書」の政策決定者向け要約が発表された。 2026年10月にはCOP17が開催され、昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)の中間レビューが行われる。2030年目標に向けた折り返し地点となるこのタイミングで発表された報告書は、企業や政府

 
 
 

コメント


Copyright(c) 2019 Takehiko Mizukami All Rights Reserved.

bottom of page