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サステナビリティ経営を進めるために組織に必要な7つの役割

  • takehikomizukami
  • 5月1日
  • 読了時間: 3分

サステナビリティ経営を進めていくためには、そのための組織体制がいる。サステナビリティ委員会やサステナビリティ推進部などを設置して、サステナビリティ推進の役割を与えることが多いと思うが、重要なのは、組織として必要な役割が果たせるかどうかだ。Carola Wiidoogen著”7 Roles to Create Sustainable Success”は、サステナビリティ推進のためには、組織に以下の7つの役割が求められるとしている。


1.ネットワーカー

サステナビリティ推進のためには、2つのネットワーキング、ステークホルダー・エンゲージメントと社内のネットワークが求められる。この2つのネットワーキングで、ステークホルダーの期待・要請を社内に浸透させ、サステナビリティでフォーカスすべき領域を特定する。また、ネットワーカーは、社会の動きを早期にキャッチし、企業にとっての機会とリスクを把握する。


2.ストラテジスト

企業にとってサステナビリティがどのような意味を持つのか、財務的利益をもたらすのか、リスクを軽減するのか、評判を高めるのか、イノベーションを促進するのかといった問いに答え、サステナビリティの経営にとっての意味合いを理解した上で、サステナビリティビジョンや戦略を策定する。


3.コーディネーター/イニシエーター

サステナビリティのミッション、戦略、計画、そして、企業の組織構造やプロセスにサステナビリティをどう組み込むべきかを良く理解し、組織におけるサステナビリティの実践をサポートし、促進する。


4.スティミュレーター/コネクター

コーディネーターがサステナビリティ推進の組織やプロセスを整備してお膳立てをした後、スティミュレーターは、社内の人材をサステナビリティの活動に巻き込む。サステナビリティのアンバサダーとして、組織文化に影響を与え、望ましい行動を浸透させる。


5.メンター

メンターは、社内の人材をエンパワーする。サステナビリティが各組織にどう関係するのか、各個人の役割やキャリアにどう関係するのかを理解させ、人財を行動に駆り立てる。


6.イノベーター

サステナビリティの観点を組み込むことで、新たな製品・サービス、設計プロセス、新たなビジネスモデルなどでイノベーションを生み出すことができる。イノベーターは、サステナビリティが如何に企業に機会を生み出すかについて、社内の理解を促進する。


7.モニター

サステナビリティの成果を測定し、報告し、分析し、企業のサステナビリティの取り組みが成功しているのか、失敗しているのかを示す。そのために、サステナビリティのフレームワークを活用する。


サステナビリティ推進のためには、確かにこれらの役割が必要だ。1人で複数の役割を担うことができる人もいるだろうが、基本的には、サステナビリティ推進チームでこれらの役割を担うことになる。サステナビリティ推進に向けた組織体制の構築にあたって、こうした役割を果たせる組織となるよう役割を定義し、適切な人材を配置・育成する必要があるだろう。


(出所)「サステナビリティ -SDGs以後の最重要生存戦略」水上武彦著

 
 
 

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