top of page

サステナビリティ人材には、世界の持続可能性への貢献と自社の長期的企業価値向上という2つの目的が混ざった曖昧な概念を受け入れて、状況に応じて使い分ける「ネガティブ・ケイパビリティ」が必要だ。

  • takehikomizukami
  • 9 時間前
  • 読了時間: 2分

以前、サステナビリティ経営の目的は2つあると書いた。「世界の持続可能性に貢献すること」と「長期的に企業価値を向上すること』だ。本質的には、企業がサステナビリティに取り組む目的は「世界あるいは人類の持続可能性に貢献するため」だ。しかし、多くの企業を巻き込むには「サステナビリティは企業価値を長期的に高める」という認識を広げることが必要ということから始まり、政策や市場の変化も相俟ってサステナビリティ経営を通じた企業価値向上の可能性も以前より高まっていることから、サステナビリティ経営の目的を「長期的に企業価値を高めること」と考える人も増えているだろう。


実際のサステナビリティの取組みは、2つの目的が混ざった曖昧なものとなっている。サステナビリティ経営により企業価値を高めると言いつつ、社会的要請に対応して必ずしも企業価値に直結しないCO2排出削減や人権対応などを進めている。


以前のブログでは、サステナビリティ経営の目的は明確にしたほうが良いと書いたが、実際のサステナビリティ経営は2つの目的が混ざった状態で進められていくとすると、曖昧な状況を受け入れつつ両方の目的を着実に前に進めていくことが必要となる。


そう考えると、サステナビリティ人材のコンピテンシーとして、曖昧な状況を受け入れて状況に応じて使い分ける「ネガティブ・ケイパビリティ」が重要なのかもしれない。


サステナビリティ人材のコンピテンシーとしては、「システム思考」「外部コラボレーション」「ソーシャル・イノベーション」の3つのスキルと「サステナビリティ・リテラシー」「アクティブ・バリュー」の2つの知識の5つがあげられている。


全体像を捉える「システム思考」、様々なステークホルダーと協働する「外部コラボレーション」、サステナビリティを成長機会と捉える「ソーシャル・イノベーション」、社会・環境のトレンドとビジネスとの接点に関する知識「サステナビリティ・リテラシー」、大きな目的に向けて多様性を受容する「アクティブ・バリュー」。


「ネガティブ・ケイパビリティ」をこれに追加しても良いだろう。


 
 
 

最新記事

すべて表示
長期的に世界に本質的な影響を及ぼすのは、人口動態、気候変動、AI。人口が増加から減少に転じ、気温が高止まりする世界に向けて早めに社会のあり方を構想し、AIの良い面を活かして準備すべきだ。

今後世界はどう変化していくか?マクロ環境分析のフレームワークとして、社会(Society)、技術(Technology)、経済(Economics)、環境(Environment)、政治(Politics)の切り口で分析するSTEEPなどがある。この中で長期的かつ本質的な変化をもたらすものとして、Sに含まれる「人口動態」がある。 ドラッカーは、「未来について言えることは、二つしかない。第一に未来は

 
 
 
ESGに代わる概念として提唱されるRational Sustainabilityとは?

「社会に価値を生み出すことで利益を創出する」「社会価値というパイを拡大することを通じて利益というパイの一部の恩恵を得る」経営のあり方を提唱する書籍”GLOW THE PIE”でフィナンシャル・タイムズのブックス・オブ・ザ・イヤーを獲得しているアレックス・エドマンズ氏が、ESGに代替する概念として「Rational Sustainability(合理的なサステナビリティ)」を提唱している。以下エドマ

 
 
 
ドラッカーの「5つの質問」で考える、サステナビリティ経営におけるステークホルダー・エンゲージメントのあり方

ドラッカーが開発した組織の自己評価ツールとして「5つの質問」がある。社会が組織で構成され、人々が必要とするもののほとんどが組織により提供される組織社会において、組織が正しい成果を上げるための思考を促す、シンプルですが非常に有効なツールだ。 ドラッカー曰く、「組織はすべて、人と社会をより良いものにするために存在する。すなわちミッションがある。目的があり、存在理由がある。」 正にそのとおりだ。組織と社

 
 
 

コメント


Copyright(c) 2019 Takehiko Mizukami All Rights Reserved.

bottom of page