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コトラーとサステナビリティ

  • takehikomizukami
  • 2020年3月7日
  • 読了時間: 3分

マーケティングの大家フィリップ・コトラーは、企業がマーケティングを通じて社会価値を創造するためのコンセプトを提唱しています。その一つは、「社会的責任のマーケティング」で、社会貢献活動にマーケティングを応用するコンセプトを示しています。具体的には、コーズ・プロモーション、コーズ・リレーテッド・マーケティング、ソーシャル・マーケティングです。


コーズ・プロモーションは、特定の社会的課題(=コーズ)に対する社会や消費者の関心を高めるために宣伝などを行なうものです。コーズ・リレーテッド・マーケティングは、商品やサービスの販売などと社会的課題への対応を関連付けるもので、商品やサービスの売上の一部を特定の社会的課題に対応するNPOに寄付するなどが典型的な活動です。コーズ・マーケティングは、社会的課題への対応に向けた行動変化に焦点を当て、特定の社会的課題に関する行動変化のキャンペーンの企画や実施を支援するものです。


また、コトラーは、製品志向のマーケティング1.0、顧客志向のマーケティング2.0に対し、社会志向のマーケティング3.0、自己実現志向のマーケティング4.0を提唱しています。このうち、マーケティング3.0がサステナビリティ経営にとって重要な考え方です。

経済が成長し、需要が拡大し、競争が限定的な中では、製品志向のマーケティング1.0で十分市場を創り出すことができます。製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)の4Pを考えれば十分事業が成り立ちます。ここでのキークエスチョンは、「如何に製品を販売するか?」です。


しかし、市場が成熟し、競争が激しくなってくると、顧客ニーズにしっかり応え自社の製品を選択し、継続的に購入してもらうことが必要になります。市場創造のためには、顧客志向のマーケティング2.0が求められます。市場をセグメント化し(Segmentation)、ターゲット顧客を選定し(Targeting)、顧客ニーズに対応して自社製品のポジションを定める(Positioning)、STPなどが求められます。ここでのキークエスチョンは、「如何に顧客を満足させ、つなぎとめるか?」です。


現在は、市場がさらに進化し、消費者が製品に対する知識や経験を持つようになり、それがソーシャルメディアなどを通じ幅広く共有されるようになっています。こうした消費者が力を持つ時代には、製品・サービスの開発や販売において、消費者の共感を得て協力してもらい、その力を活用することが求められます。


また、グローバル経済が発展する一方で、人々が人間的なつながりを求めたり、自己実現などの精神的充足を求めたり、環境や社会の持続性に不安を覚えたりしています。こうした人々の欲求に応えるには、人々を単に消費者とみなすのではなく、マインドとハートと精神を持つ全人的な存在と見なすことが必要です。


このように消費者の知識や意識が高度化した時代には、企業のほうも一段高い視座を持って、自社が如何に社会に価値を提供しているかを伝える必要があります。企業はパーパスを掲げて自社の社会的価値を明確にすることが求められます。また、社会に価値を生み出す製品・サービス、CSR/社会貢献活動、消費者との対話を通じ、消費者のハートに訴えかけ、感情的な結びつきと長期的な信頼を獲得し、協力者となってもらうことが求められます。これを実践するのが社会志向のマーケティング3.0です。キークエスチョンは、「如何に社会(人々)の共感を得るか?」です。


サステナビリティ経営の実践には、マーケティング3.0が必要です。社会にとっての価値と消費者にとっての価値を明らかにする。自社が生み出す社会価値をストーリーにして消費者の問題意識、貢献意識、感情に訴えかける。共感してくれる消費者との協働で社会に価値を広げていく。「世界をよりよい場所にする」ことを目的とするマーケティング3.0を通じてサステナビリティ経営を実践することが企業の成功をもたらす時代になっていると思います。

 
 
 

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