「生産性と人間性をどう両立するか」「成功できるかではなく、役に立てるかを人生の軸とせよ」サステナビリティ経営や生き方に重要な示唆を与えるP.F.ドラッカーとジム・コリンズの対話
- takehikomizukami
- 13 分前
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経営にサステナビリティを統合するうえでの理論的支柱となっている代表的経営思想家として、P.F.ドラッカー、ジム・コリンズがあげられる。
ドラッカーは、「マネジメントには、自らの組織をして社会に貢献させる上で三つの役割がある。①自らの組織に特有の使命を果たす、②仕事を通じて働く人たちを生かす、③自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献することだ」というサステナビリティ経営の基本となる考え方を提示している。
コリンズは、「ORの重圧をはねのけ、ANDの才能を活かす」「基本理念を維持し、進歩を促す」「社運をかけた大胆な目標(BHAG)」「針鼠の概念」「10X型リーダー」「20マイル行進」「銃撃に続いて大大砲発射」というサステナビリティ経営を進めるうえで重要なコンセプトを提示している。
その2人の対話についてコリンズが語っている。「ビジョナリー・カンパニー」を出版したばかりのころ、コリンズはドラッカーと会う機会があった。実際に会ったのはその1日だけだが、その1日がコリンズの生き方を決定づけたという。
ドラッカーの家は質素で、小さな部屋で古びたタイプライターで仕事をしていながら、その思考と洞察で世界に巨大な影響を与えていた。コリンズは、ドラッカーがささやかな規模のオペレーションであれほど大きな影響を世界に与えていることを感じとり、その後の生き方に大きな影響を受けた。人はインパクトを出すためにはオペレーションを大きくしなければいけないと勘違いいがちだが、そうではないということだ。
「ビジョナリー・カンパニー」がベストセラーになった後、コリンズにはコンサルティング会社や研修会社をつくらないかという提案があったようだが、コリンズはそうした組織を作らなかった。その真意はドラッカーとの会話によって明らかとなった。ドラッカーは「あなたがつくりたいのは組織ですか、それともアイデアですか」と問い、ジム・コリンズは「アイデアをつくりたい」と答えた。ドラッカーは「もしアイデアをつくりたいのなら、組織をつくってはいけません」と言った。
サステナビリティ経営において重要なのは「生産性と人間性の両立」だ。コリンズは、ドラッカーが人類最大の問いの1つである「どうしたら社会をより生産的に、そして同時により人間的にすることができるか」を生涯通じて探求していたと考えている。ドラッカーは非効率なマネジメントを嫌ったが、人を道具として扱うという非人間性も嫌った。
「生産性と人間性の両立」に関してコリンズは、ビジョナリー・カンパニーの土台には、企業のパーパスは利益最大化ではなく、社会に対し役立つことだという深い確信がある。世界に何らかの貢献をすることこそが企業の存在目的であり、経済的燃料である利益によって、そうした貢献を継続して行うことが可能となる。
リーダーシップの本質とは「やらなければならないことを、人々がみずからやりたいと思うようにさせる技術(アート)」だという。本当に何が大切なのかを理解してみずから実践し、それを人にも分かってもらうことでのみ、人はみずからやるべきことをやりたいと思うようになるということだ。これも経営における「人間性」の重要さに関連する。
サステナビリティ経営というよりは生き方に関係する「成功できるかではなく、役に立てるかを人生の軸とせよ」というドラッカーの言葉もあった。ジム・コリンズがアカデミアから離れるか、それで成功できるかに悩んでいることを見抜き、「あなたは成功できるかどうかについて心配していますね。それは間違った質問です。正しい問いは、いかに役に立てるかですよ。」と言った。この言葉はコリンズの人生の指針となり、あらゆる意思決定にあたって「これをすることで、自分はどのような貢献ができるか」を問うようになった。この問いの美しさは永遠に更新され続ける点にあるという。「成功するかどうか」を人生の判断軸に置いているとキャリアにはピークや終わりがあるが、「役に立てるか」を軸に持つとそこには終わりがない。「いかに役に立てるか」という問いは人にやるべきことをやる力を与え続ける。ドラッカーはそれを体現し、著作の3分の2を65歳以降に執筆している。
ドラッカーとコリンズの対話は、サステナビリティ経営、そして生き方に重要な示唆を与える。
(参考)「成功できるかではなく、役に立てるかを人生の軸とせよ」DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2025年12月号


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