top of page

「SDGsフラッグシップ活動」のすすめ

  • takehikomizukami
  • 2019年7月27日
  • 読了時間: 3分

SDGsに取り組むとは、どういうことでしょうか?自社事業とSDGsの関係性を理解し、機会・リスクの観点を中心に優先課題を特定し、目標・KPIを設定して、継続的にマネジメントするというのが、基本的なSDGsへの取り組みの考え方です。しかし、サステナビリティに携わっている方なら分かりますが、これはこれまで行ってきている、マテリアリティのマネジメントと何ら変わりません。これまでCSRに関するスタンダードなどを活用しながら整理してきたマテリアリティ評価の対象としての社会課題がSDGsに変わっただけで、実質的な違いはありません。


また、SDGsはビジネス機会となると良く言われますが、社会課題がビジネス機会となるという考えはこれまでもあり、SDGsに関連する大きなビジネス機会とされる「エネルギー」「健康・福祉」「都市」「食料・農業」などは、SDGs以前から注目されている市場です。


では、SDGsに意味がないのかと言われるとそうではなく、SDGsに取り組みことが社会要請となり、政府、経団連などがSDGsの推進を掲げることで、経営者を中心に意識が高まります。それにより、SDGs以前も本来取り組むべきであったサステナビリティへの取り組みについて、新たに取り組む企業が増える、これまでCSR部門などに任せていたサステナビリティの取り組みに対して経営層が関心を持ち、経営の中心で取り組むようになるといった効果があります。また、これまでグローバルに事業展開する大企業を中心に進められてきたサステナビリティの取り組みが中小企業へも広がるといった効果も期待されます。その他、地方自治体や市民セクターでの意識や取り組みの広がりもあります。


また、SDGsがマルチセクターに共通言語として広がり、SDG17にあるように、SDGsはパートナーシップで取り組むものという認識が広がれば、コレクティブ・インパクト非競争分野の協働などの取り組みが促進されます。


しかし個人的に期待したいのは、1社1つの「SDGsフラッグシップ活動」を進めることです。冒頭に書いたように、SDGsの優先課題を特定してマネジメントを進める企業は増えていますが、本質的にこれまでとは異なる特別なことをしているかというと、ほとんどの企業においてはそうではありません。すでに行っている活動をSDGsという枠組みで整理しているだけか、少し取り組みを積極化しているだけです。SDGsで本来期待される「アウトサイドイン」の考えでビジョン・目標を掲げて取り組みを進めている企業は、一部の企業に限られます。(気候変動のSBTはアウトサイドインといっても良いかも知れません。)


そこで、1つで良いので、長期視点・アウトサイドイン視点で、SDGsに対する「フラッグシップ活動」に取り組んではどうでしょうか。これは企業のパーパスを体現する象徴となる取り組みで、社会貢献活動として行うこともできますが、本業で推進したほうが望ましいでしょう。東レの炭素繊維などがイメージに近いものです。SDGsに貢献する自社の象徴となる取り組みを、トップマネジメントのコミットメントのもと、長期視点で取り組むのです。政府や経団連も「SDGsフラッグシップ活動」をプロモーションすべきです。閉塞感のある日本企業のポテンシャルを開放することにもなると思います。

 
 
 

最新記事

すべて表示
サステナビリティとサステナビリティ経営の変遷。1990年代の環境経営、2000年代のCSR経営、2010年代のESG経営を経て、反ESGの動きもある中2020年代のサステナビリティ経営はどう進化するか?

サステナビリティおよびサステナビリティ経営が歴史的にどう進化してきたか、改めておさらいする。 サステナビリティは経済成長の負の側面としての環境問題への対応からはじまった。1962年にはレイチェルカーソンが「沈黙の春」で化学物質の汚染問題を提起している。日本でも1950年代後半から1970年代の高度経済成長期において、工場などから発生した有害物質によって公害病が引き起こされた。WWFやグリーンピース

 
 
 
「生産性と人間性をどう両立するか」「成功できるかではなく、役に立てるかを人生の軸とせよ」サステナビリティ経営や生き方に重要な示唆を与えるP.F.ドラッカーとジム・コリンズの対話

経営にサステナビリティを統合するうえでの理論的支柱となっている代表的経営思想家として、P.F.ドラッカー、ジム・コリンズがあげられる。 ドラッカーは、 「マネジメントには、自らの組織をして社会に貢献させる上で三つの役割がある。①自らの組織に特有の使命を果たす、②仕事を通じて働く人たちを生かす、③自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献することだ」 というサステナビリティ経営

 
 
 
サステナビリティリーダーは2026年に何をすべきか?

2025年の初頭、チーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSO)に主な役割を尋ねた場合、「変革を推進し続け、経営陣の理解を得て、サステナビリティを企業経営に統合するためのビジネスケースを構築すること」だった。今後の数年間は、こうした路線が維持される見通しだった。 この見通しは正しく、企業によるサステナビリティへの取り組みは、金融・政治・社会面で大きな逆風に見舞われながらも、ほぼ変わらない水準を維持

 
 
 

コメント


Copyright(c) 2019 Takehiko Mizukami All Rights Reserved.

bottom of page