top of page
検索
  • takehikomizukami

CSV企業のフレームワーク

CSV(Creating Shared Value)の基本コンセプトは、マイケル・ポーター教授のポジショニング、バリューチェーン、クラスター理論をベースとした、製品・サービス、バリューチェーン、クラスター/エコシステムのCSVです。


製品・サービスのCSVは、未解決の社会課題を解決するという価値により差別化する戦略です。バリューチェーンのCSVは、バリューチェーンに関わる社会課題を解決することで、バリューチェーンの生産性、競争力を向上するものです。クラスター/エコシステムのCSVは、企業活動を支える人材、インフラ、サプライヤー、規制や事業慣行、自然資源などの強化(これが社会課題解決につながる)を通じて、競争力を高めるものです。(具体的内容は、日経BizGate記事など参照)


これらのCSVの基本アプローチは、主に事業戦略に関わるものですが、コーポレートレベルでCSVを進めるには、コーポレート戦略としてのCSVが必要となります。CSVを推進するFSGが、コーポレート戦略としてのCSV推進に関する「CSV企業のフレームワーク」を提示しています。


CSV企業のフレームワークは、「パーパス(Purpose)」、「活動(Practice)」、「組織・人材(People)」の3つの柱と、それに基づく12の成功要因から構成されます。


パーパスに関する成功要因としては、以下の3つが挙げられています。

「統合されたパーパス(Corporate Purpose)」:組織の社会的目的が明確に定義され、ビジネスの目的に関連し、長期の企業・事業部門の成長目標と統合されている。

「マネジメントの理解(The C-Suite Leadership Engagement)」:マネジメントが、CSVのコンセプトや企業の長期的成功にパーパスに基づく成長の役割が重要であることを深く理解している。

「CSV戦略(Long-Term Strategy)」:ビジネスにとって最も重要な課題(マテリアリティ)に対してCSV戦略が定義されており、成長とイノベーションを促進するという観点で、他のビジネス機会と合わせて優先順位付けされている。


活動に関する成功要因としては、以下の5つが挙げられています。

「計画と実績の統合(Planning and Performance Accountability)」:年次の経営計画策定、目標設定、目標の実行が、CSV戦略と統合されている。

「CSVに適した組織構造(Organizational Structure)」:CSVの検討と実践を促進するよう組織構造が設計され機能している。

「CSVの評価(Measuring Shared Value)」:重点領域において、CSVの実践に関するビジネス価値と社会インパクトが評価されるようになっている。

「CSVの報告とコミュニケーション(Reporting and Communication)」:CSVのコミットメントを社内外に明示し、進捗を定期的に報告している。

「外部とのパートナーシップ(External Partnership)」:優先度の高いCSV課題に関して、リーダーが外部ステークホルダーと協働し、共に学び、エンゲージし、長期的で持続可能な関係を構築している。


組織・人材に関する成功要因としては、以下の4つが挙げられています。

「CSVを促進する企業文化(Corporate Culture)」:企業文化がパーパスと整合し、CSVを支援し、長期的なCSV目標に向けたイノベーションを促進している。

「次世代CSV人財(Next Generation Talent)」:CSV戦略実践に必要なコミットメント、関心、求められるコンピテンシーを持つ人財を惹きつけ、雇用・維持している。

「CSVの知識とスキルの蓄積(Knowledge and Skills-Building)」:CSVに関する知識と従業員のコンピテンシーを積極的に蓄積している。

「CSVへの報酬(Performance and Pay)」:合意して設定されたCSV目標への貢献について、従業員を評価し報酬を与えている。


このフレームワークは網羅性があり、これをもとに自社の現状を整理すると、何が足りないか、コーポレート戦略において何をすべきかが明らかとなります。コーポレートレベルでのCSV戦略構築に有益なフレームワークだと思います。

閲覧数:129回0件のコメント

最新記事

すべて表示

サステナビリティ推進にあたっての基本の1つは、バリューチェーン全体で考えることです。企業が新たな取り組みを進める場合は、グローバルの3大サステナビリティ課題である気候変動、生物多様性/自然資本、人権を中心に、バリューチェーン全体の環境・社会的影響を考慮する必要があります。 企業の取組みもそうですが、政策においても、バリューチェーン全体の影響を考慮する必要があります。特に、脱炭素の取組みにおいては、

徳島の高校でコオロギパウダーを使った給食を試食で出したことをきっかけに、昆虫食が大きな話題となっています。Twitterなどでは反対意見が圧倒的に多く、理由としては、生乳廃棄や人口減少などの国内事情を踏まえてたんぱく質不足対策としての昆虫食は必要ない、アレルギーなどのリスクがあるといったことがあげられています。 昆虫食開発の背景にあるのは、世界の人口増加および途上国の経済発展に伴い食肉需要が増加す

サステナビリティと経営、非財務と財務を統合して情報開示するツールとして、統合報告がある。統合報告は、サステナビリティ経営に取り組む原則3「自社事業、バリューチェーンに影響を及ぼす課題に対して、戦略的に対応する」を中心に、社内外のステークホルダーにサステナビリティに取り組む経営的意味合いを伝えるために活用すべきものだ。 統合報告の作成プロセスも、経営層をはじめ、社内の様々なステークホルダーとコミュニ

bottom of page