top of page

Change the World list 21位〜30位

  • takehikomizukami
  • 2019年9月7日
  • 読了時間: 4分

今回は、Fortune Change the World Listの21位から30位を紹介します。


21位は、アクセンチュア。貧困国では、健康格差を減らすためにモバイル機器が重要となっています。アクセンチュアは、アフリカで2035年までにヘルスケアの専門家が1,290万人不足すると予測し、低所得地域でもアクセスできる旧式の携帯電話とSNSテキスト・メッセージを用いて、多くのヘルスワーカーを教育しています。これらのヘルスワーカーは、薬剤師や看護師ではありませんが、初期診断としてコミュニティに適切な情報を提供します。NPOと協働したケニアのモバイルラーニングのプラットフォームでは、35,000人のヘルスワーカーを教育しています。アクセンチュアは、こうした取り組みが自社の新しい市場と成長につながると考えています。


22位は、IBM。WHOの推計によれば、毎年世界の人口の8%の6億人が飲食に起因する病気になっており、42万人が亡くなっています。原因の1つは消化器系疾患ですが、どの食物が原因となっているか特定するのは容易ではありません。IBMは、ブロックチェーン技術を用いて食品をトレースし、汚染された食物が広がる前に特定することで、被害者を減らそうとしています。2017年に始まった”food trust”の取り組みは、ウォルマートの野菜、ネスレブランドのさつまいもやリンゴ、かぼちゃなどをトレースしており、100以上の生産者、販売者を巻き込んでいます。このテクノロジーは、生命を救うとともに、腐敗やリコールを削減して利益を生み出すと期待されています。


23位は、米国の水技術大手のザイレム。ザイレムは、インテリジェントな圧力センサーを用いて水道管の流れを把握し漏れを素早く検知し、その健全性を保っています。ザイレムのデータ分析は、都市のインフラの再構築を支援しています。インディアナ州のサウス・ベンドでは、下水の溢れを70%削減し、汚染された10億ガロンの水が河川に流れ出すことを防いでいます。


24位は、インテル。インテルは、ダイバーシティを促進しており、2018年にはスキルのある社員の14.6%がアフリカ系、ヒスパニック、ネイティブアメリカンなどのマイノリティとなっています。サプライチェーンのダイバーシティも促進しており、2020年には、女性、マイノリティ、退役軍人、LGBTQまたは障がい者が経営するサプライヤーから10億ドル以上を調達する予定です。


25位は、南アフリカの携帯電話会社ボーダコム。南アフリカでは、医薬品の在庫切れが日常茶飯事です。2015年には、国民の約82%の4,500万人が加入する公的保険で、25%の期間で結核やHIVの治療薬が不足していました。南アフリカでNo.1の携帯電話企業ボーダコムは、政府と協力し、サプライチェーンを透明にして薬剤師が医薬品の在庫を確認し注文できるアプリを開発しました。最初は社会貢献として始まりましたが、広く使われビジネスとしても成功しています。


26位は、ダウ。プラスチックを大量に生産しているダウは、リサイクルされたプラスチックをアスファルトに混ぜ、通常の高速道路より安価で環境に配慮し、耐久性のあるものにして道路を舗装しています。まだハイブリッドの道路は60マイルしか作っていませんが、それでも200トンのプラスチック廃棄を削減しています。今後、ベトナム、メキシコ、ブラジル、フィリピンでこのプロジェクトを進める予定です。


27位は、米国で医薬品に関わる問題を解決するGoodRx。GoodRxは、価格の不透明さに困った自らの経験に基づき、米国の人々が購入できる価格の処方薬を探すのを支援するためにビジネスを始めました。GoodRxのウェブサイトでは、消費者が全国7万以上の薬局の処方薬の価格を比較できます。そして、GoodRxはテクノロジー販売、定額サービスなどで収益をあげています。このサービスで、1億人の米国人が100億ドル以上を節約できたとのことです。また、3,000億ドルの薬が処方されても使用されないという問題も解決しています。


28位は、MOD Pizza。MOD Pizzaは、2008年に不況期にオープンして以降、米国と英国の450店舗に拡大し3.98億ドルの売上となっています。MODで働く約8,000人の38%以上が、通常はジョブマーケットからはじき出されている“オポチュニティ”雇用の人たちです。MODは地域の組織と協力して、低所得の若者、障がい者、前科者などを雇用しています。犯罪者は仕事がないことで常習犯となるため、雇用することは非常に重要です。


29位は、ロレアル。世界最大の化粧品ブランドであるロレアルは、サステナブルな原材料の調達と途上国の女性活躍支援という2つの目的があるイニシアチブを進めています。モイスチャークリームの原材料シアバターの生産地ブルキナファソでは、37,000人の女性を教育し、森林破壊をしない方法でシアバターを収穫するようにしています。また、仲介業者を廃して農家の収入を増やしています。スキンケアの原材料生産地マダカスカルおよびヘアケアの原材料生産地インドでも同様な取組みを進めています。


30位は、プルデンシャル・ファイナンシャル。プルデンシャルは、住宅の入手が困難な地域で人々に住宅を提供することを支援しており、これまでに30以上の都市で50-60億ドルの支援にコミットしています。ニューヨークの住宅危機の影響が波及しているニューアークでは、低所得層借主の40%が住むビルについて、プルデンシャルが資金的支援を行っています。

 
 
 

最新記事

すべて表示
ドラッカーの「5つの質問」で考える、サステナビリティ経営におけるステークホルダー・エンゲージメントのあり方

ドラッカーが開発した組織の自己評価ツールとして「5つの質問」がある。社会が組織で構成され、人々が必要とするもののほとんどが組織により提供される組織社会において、組織が正しい成果を上げるための思考を促す、シンプルですが非常に有効なツールだ。 ドラッカー曰く、「組織はすべて、人と社会をより良いものにするために存在する。すなわちミッションがある。目的があり、存在理由がある。」 正にそのとおりだ。組織と社

 
 
 
サステナビリティに関してもはや成り立たない5つの前提:グローバル目標や合意、ESG情報開示、ステークホルダー資本主義などはサステナビリティに向けた変革につながらない。

主なポイント: 多くの企業が依存してきたサステナビリティの前提条件は、気候変動対策を前進させるどころか、むしろ阻害している可能性がある。 それは、グローバル目標への依存や、市民がサステナビリティについて共通認識を持っているという前提が成り立たないからだ。 代わりに、サステナビリティの専門家は新たなアプローチに注力する必要がある。例えば、自らがコントロールできる領域に注力し、影響力を行使できない領域

 
 
 
「サステナビリティを適切に実践することで、収益性が21%向上する。」サステナビリティのビジネスケースに関する最新のレポート

サステナビリティのビジネスケースに関する議論は終わった。過去10年間の研究は、サステナビリティが優れた財務パフォーマンスにつながることを示している。 主なポイント: ・新たなデータによると、サステナビリティを適切に実践することで、収益性を21%向上させるなど、優れた財務実績につながることが示されている。 ・企業は顧客向けに価値提案を定義することが多いが、取締役会、経営幹部、事業部門リーダー向けには

 
 
 

コメント


Copyright(c) 2019 Takehiko Mizukami All Rights Reserved.

bottom of page