top of page

自社ならではの社会価値創造の象徴的プログラムを考えては?

  • takehikomizukami
  • 2020年8月15日
  • 読了時間: 3分

セールスフォースCEOマーク・ベニオフ氏らの著書「トレイルブレイザー(開拓者)」を読みました。セールスフォースは、クラウドビジネスを開拓し、CRMのトップ企業となっています。一方で、ステークホルダーや社会に価値を生み出すという観点の開拓者でもあります。

セールスフォースは、信頼、カスタマーサクセス、イノベーション、平等という4つのコアバリューを経営の指針とし、意思決定の礎としています。マーク・ベニオフ氏らは、2004年の上場時に10億ドルだったセールスフォースの時価総額が1200億ドルを超えるまでに成長した最大の要因は、ソフトウェアやビジネスモデルではなく、「バリューに基づいた企業文化」であるとしています。テクノロジーをはじめとした競争の熾烈な業界では、優秀な人材を獲得できるかどうかが損益の分かれ目となり、トップ人材を獲得するためには、「バリューを重視する企業文化」が重要だということです。

「トレイルブレイザー」では、州政府がLGBTQ差別につながる法案を可決した際の対応など、具体的例を挙げて、如何にセールスフォースがバリューを重視し、それが本物となる企業文化を育んでいるかを示しています。また、トヨタがリコール問題で非難されているときに、どう信頼回復をサポートしたかなど、具体的な顧客との関係を通じて、バリューを重視することがビジネスにもつながっていることを示しています。

バリューに基づき企業文化がセールスフォースの強みであることは間違いありませんが、それと同時に、「1-1-1モデル」という象徴的な取り組みを行っていることも、極めて重要だと思います。「1-1-1モデル」とは、株式の1%、製品の1%、従業員の就業時間の1%を非営利団体、非政府組織、教育機関の慈善活動に捧げるプログラムです。

「1-1-1モデル」は、シンプルで分かりやすく、セールスフォースが社会に価値を生み出すことを重視している会社であることを示す、象徴的なプログラムとなっています。ステークホルダーへの訴求力もあり、セールスフォースが優秀な社員を確保・維持する大きな要因となっているのではないでしょうか。

セールスフォースは、テクノロジー企業として、STEM教育での貢献を重視しています。自社や社員の強みのある領域であるとともに、デジタルテクノロジーで働き方に変化を起こしている企業、今後、AIなどでさらに働き方に変化を起こそうとしている企業としては、子供たちを含む多くの人々が新しい働き方に適応するスキルを身に付けることを支援するのは重要です。これは、社会の変革を促進し、長期的にセールスフォースの市場を創ることにもつながります。

「1-1-1モデル」のような象徴的プログラムを持つことは、社会に価値を生み出すことを強みとする企業にとっては、重要です。SDGs/ESGの時代には、社会に価値を生み出すことを強みとしようとする企業も増えるでしょうが、それを体現する自社ならではの象徴的プログラムを考えてみては、如何でしょうか。

 
 
 

最新記事

すべて表示
IPBES報告書がビジネス環境のCSVを提唱

「生物多様性と自然」に関わる科学的評価を実施するIPBES(気候変動におけるIPCCに該当)が、初めてビジネスに焦点を当ててまとめた「ビジネスと生物多様性評価報告書」の政策決定者向け要約が発表された。 2026年10月にはCOP17が開催され、昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)の中間レビューが行われる。2030年目標に向けた折り返し地点となるこのタイミングで発表された報告書は、企業や政府

 
 
 
「京浜工業地帯の父」浅野総一郎は、サーキュラーエコノミーの先駆者でもあった

私の故郷である富山県氷見市出身の偉人として真っ先に名前があがるのは浅野総一郎です。明治維新から日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦という激動の時代に、この先日本にとって必要となる事業は何か考え、石炭、セメント、海運、造船などの事業を次々と立ち上げ、京浜工業地帯の礎を築き、「京浜工業地帯の父」と呼ばれています。 浅野総一郎は、「九転十起の人」とも呼ばれ、失敗してもくじけない、不屈の精神でも知られていま

 
 
 
2026年のサステナビリティ戦略。サステナビリティが企業価値につながる事例が増える一方で逆風も吹く時代、企業は全力疾走すべき時、減速すべき時、小さな一歩を踏み出すべき時を見極めて柔軟に対応することも必要

サステナビリティが企業価値につながる事例は増えているが、一方で反ESGの動きもある。こうした時代において、企業はどのようにサステナビリティ戦略を舵取りすべきか。TRELLISの記事を紹介する。 2025年が明らかにし、2026年がすでにサステナビリティに関して再確認していることは、「緊張とトレードオフ」が常にサステナビリティ経営の核心であり、そして近い将来もそうあり続けるだろうことだ。 サステナビ

 
 
 

コメント


Copyright(c) 2019 Takehiko Mizukami All Rights Reserved.

bottom of page