top of page
検索
  • takehikomizukami

サステナブルな製品のマーケティング戦略はどうあるべきか?

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビューの2024年7月号に掲載されている「サステナブルな製品はどのように売り込むべきか」という論文は、サステナブルな製品のマーケティングに関する基本的な視点を提供している。


この論文では、サステナブルな製品と顧客・消費者をシンプルに3つに分類している。


【サステナブルな製品】

「独立型」:サステナビリティ特性が既存ベネフィットにまったく影響を及ぼさない製品。天然成分を配合しているが洗浄力は従来製品と同じ洗剤のイメージ。価格はやや高いケースが多い。

「不協和型」:サステナビリティ特性を付加することで既存ベネフィットが低下する製品。天然成分を付加したために洗浄力が低下している洗剤のイメージ

「共鳴型」:サステナビリティ特定による既存ベネフィットが向上する製品。洗浄力を高める機能を持つ天然成分を配合する洗剤のイメージ


【顧客・消費者】

「グリーン」:サステナビリティに高い価値を置き、購買時に積極的に求め、それを得るためには少々性能や経済性を犠牲にしても良いと考える顧客・消費者

「ブルー」:サステナビリティをそれなりに重視し、価格や性能を犠牲にしなくて済むならサステナブルな製品を選択する顧客・消費者

「グレー」:サステナビリティに関心がなく、懐疑的な見方をすることもある顧客・消費者


独立型の製品の対象は、グリーン顧客とブルー顧客だ。マーケティングにあたっては、安心して購入してもらうために、サステナビリティ特性が既存ベネフィットに影響しないことを強調すべきだ。ブルー顧客を狙う場合は、顧客のサステナビリティの優先順位を理解して適切に訴求するとともに、サステナビリティにプレミアムを支払わないため、価格設定は控えめにする必要がある。


不協和型の製品の対象は、基本的にグリーン顧客に限られる。グリーン顧客以外に市場を広げるためには、政策的サポートなどによる市場創造の取り組みが必要となる。


共鳴型の製品は、グリーン、ブルー、グレーのすべての顧客が対象となる。グレー顧客はサステナビリティには懐疑的であるため、グレー顧客が多い市場では、サステナビリティ特性は訴求せず既存ベネフィットの向上を強調すべきだ。


実際のケースでは、より多様な組み合わせや時間軸による変化が想定されるが、上記の考え方は、サステナブルな製品のマーケティングにあたっての基本的な枠組みを提供してくれており参考になる。

閲覧数:40回0件のコメント

最新記事

すべて表示

「危機に瀕する氷見を持続的に発展させていくためにどうすべきか。」短中長期の取り組み

私は、「故郷の氷見に貢献したい」と思い続けているが、この思いはどこから生まれているのか?氷見が本当に良いところだということもあるが、氷見で過ごした少年時代の日々が楽しかったことも大きいだろう。氷見の象徴である海越しの立山連峰を見るたびに、郷愁の念に駆られるとともに、また頑張...

「経営マテリアリティ」とは何か?それを特定することにどんな意味があるのか?

いつも「マテリアリティ特定はサステナビリティ経営において最も重要な取り組み」と言っている。それは間違いない。 サステナビリティ経営におけるマテリアリティとは、以下のいずれかだ。 ① 自社が大きな負の影響を及ぼしており責任をもって対応すべきイシュー...

コメント


bottom of page