プラスチックは、気候変動と並ぶ2大グローバル課題の1つとなりました。気候変動もプラスチックも、まずは排出・廃棄を減らすというのが最優先課題です。次は、リサイクルです。気候変動については、CCUSが検討されていますが、モノであるプラスチックはサーキュラー・エコノミーとして、多様な取り組みが考えられます。その次は、すでに排出・廃棄されたものの回収・活用です。これはハードルが高いですが、取り組みは進められています。
CO2に関しては、Direct Air Capture(DAC)と言われ、大気中からCO2を直接回収し、炭酸飲料、プラスチックの原料とする取り組みが進められています。プラスチックについても、海洋プラスチックを回収して原材料とする様々な取り組みがあります。最近では、P&Gが、台所用洗剤ジョイの容器に海洋プラスチックを使いことを発表しています。
今後は、海洋プラスチックを資源とするバリューチェーンを構築することが課題になるでしょう。海洋プラスチックのバリューチェーン構築の動きについては、以前ブログで書きました。その中で、海洋プラスチック回収船のことも紹介しました。5年以内に太平洋ごみベルトのプラスチックごみの50%を回収するという野心的なビジョンを掲げ、大規模な回収船を建造・出航しました。
結果として、この海洋プラスチック回収船は、途中で壊れ、ミッションは達成できませんでした。しかし、このプラスチック回収船は機能を向上させ、アジアの河川で復活しています。現在2隻がインドネシアとマレーシアで航行しており、さらに1隻がベトナムのメコン川で航行の準備中です。(参考)
回収船を運航するNPOオーシャン・クリーンアップが、河川に目を付けたのは、科学者が以前から主張していた「プラスチックごみの回収に最適な場所は、ごみが海にちょうど流れ込むところよりも前、つまり河口の少し上流」という声に耳を傾けたからです。今では、オーシャン・クリーンアップは、「地球上のプラスチックごみの80パーセントは、1,000あまりの河川から排出されています」「海へのプラスチックごみの排出を大幅に減らしたいのであれば、こうした河川でごみの回収に取り組まなければなりません」と主張しています。
この河川でのプラスチックごみの回収には、先輩がいます。数年前からボルティモアで、「ミスター・トラッシュ・ホイール(Mr. Trash Wheel)」という船が、河川のプラスチックを回収しています。大きな目玉がついたかわいげのあるこの回収船は、ボルディモア港で年間200トンのごみを回収しています。
河口の上流で、大きな目玉をつけて活躍するミスター・トラッシュ・ホイールは、人々のごみ廃棄削減の啓発にもなっているようです。日本でも、アニメのキャラクターなどを模したプラスチック回収船の設置を考えても良いですね。
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