top of page
検索
  • takehikomizukami

世界を現在良い方向に変えている企業とは? - Change the World List 2022 11-20位

前回、米フォーチュン誌が毎年発表している「世界を変える企業リスト(Change the World List)」2022年版の1-10位の企業を紹介しました。今回は、11-20位の企業を見てみましょう。


11位は、米国ドラッグストアのCVSヘルス。以前、健康というパーパスに基づき収益源だったタバコの販売を止め、ポートフォリオ転換したことを紹介しています。今回は、子会社での自殺者を減少させるための取り組みが評価されています。自傷行為などのリスクが顕在化している人だけでなく、大部分の会員に対してメンタルヘルスに関する質問をするなどして、ケアしています。これにより、1630万人の会員の自殺者が18%減少したとのことです。


12位は、デンマークに本社を置く海運コングロマリット、マースク。世界最大のコンテナ船会社として、そのカーボンフットプリントは国家に匹敵します。マースクは、カーボンフットプリント削減のため、エネルギー企業と協働し、燃料を重油からグリーンメタノール、バイオ燃料に転換すべく、13のグリーン燃料船舶と建造しており、2023年にも運航を開始する予定です。


13位は、インドネシアの配車・配送サービス・Eコマース大手GoTo。GoToは、今年IPOを実施し、110億ドルを調達していますが、2,000万ドル分の株式を、自社のサービスを担う60万人の食料品などを配送するドライバーに配分しています。このプログラムは、ドライバーのロイヤルティを高めるとともに、金融アクセスが不十分なインドネシアで、ドライバーが初めて金融サービスを享受することを可能としました。


14位は、米国の金融スタートアップのPropel。Propelは、食料補助対象の低所得層が、収支をチェックし利益を管理できるスマートフォンアプリを、無料で提供しています。今では、500万人の米国家計が、Propelのアプリを使用し、多様な政府補助を享受しています。Peopleは、広告、媒体使用料、金融サービス仲介料などで収益をあげています。


15位は、アイルランドに本社を構えるビルテクノロジー会社、ジョンソンコントロールズ。世界のCO2排出の40%は、ビルディングに関連するとされますが、ジョンソンコントロールズは、2020年にOpenBlueという、証明、空調、冷暖房などのビルオペレーションのデータを管理し、省エネ化するソフトウェアプラットフォームを立ち上げました。これにより、顧客のエネルギー効率は、20-25%向上しています。


16位は、米国の製薬企業、GenBioPro。米国で人工妊娠中絶の権利を合憲としたロー対ウェイド判決が覆される前から、米国の中絶の半分以上は、手術ではなくピルを飲んで行われていました。ロー対ウェイド判決が覆され、各州で中絶禁止が法制化される中、GenBioProは、女性の性と生殖に関する権利を守るため、薬を用いた妊娠中絶が認められるよう、法廷闘争をしかけています。


17位は、スウェーデンの航空会社Braathens。Braathensは、今年6月、持続可能な航空燃料(SAF)のみによる商業フライトを実施しました。Braathensは、2025年までに、航空機メーカーATR、持続可能な航空燃料を提供するネステと協働し、100%SAFで運航する航空機を就航させ、2030年までにすべての国内フライトをSAFで運航し、2045年には、国際線もSAFによる運航とする目標を掲げています。


18位は、米国の教育関連企業、GuildとInstride。企業による従業員教育は、従業員にとっては、借金なしで大卒レベルの収入を得ることを可能とし、企業にとっては、人材獲得に貢献します。GuildとInstride は、雇用主と適切な教育プログラムをマッチングするリーダー企業です。Guildは、ウォルマート、ディズニーなどの大手雇用主と協働し、従業員のキャリア支援、コーチングなどを行うCareer Opportunity Platformを提供しています。Guildのプログラムは、これまで教育を受ける機会の少なかった人々を支援しています。InStrideは、高校レベルから大学院レベルまでの教育、英語力、職業スキルなど幅広く従業員の教育訓練を実施しています。InStrideのサービスで、40の企業の52,000人の従業員が教育を受け、5億7,000万ドルの学生ローンによる借金をしなくて済むようにしているとのことです。


19位は、米国のクラウドファンディングプラットフォーム、GoFundMe。家を火災などでなくした人、医療費が支払えない人、愛する人を銃乱射で亡くした人など、困難な状況に陥っている人々を支援しています。2010年の創業以来、GoFundMeは、19か国で170億ドルを困難な人々に提供しています。ウクライナがロシアの侵攻を受けた際には、“Ukraine Crisis Hub” を立ち上げ、140か国から725,000の寄付者からの支援を得ています。


20位は、ファイザーのアニマルヘルス事業が分離した、Zoetis。100か国以上で、家畜やペット向けのワクチンや治療薬を開発し、獣医向けのサービスを提供しています。2017年には、ビル&メリンダゲイツ財団の支援を得て、アフリカで家畜の生産性と健康を促進するイニチアチブを立ち上げ、サブサハラアフリカで、獣医や農家を技術や教育で支援しています。このイニチアチブは、26,000の農家および獣医に家畜ケアの教育を実施し、トレーナー育成プログラムにより130万人に教育が広がっています。



閲覧数:25回0件のコメント

最新記事

すべて表示

トライセクター型人財がより求められる時代になっている

拙著「サステナビリティ -SDGs以後の最重要生存戦略」で、民間、公共、市民社会の3つのセクターの垣根を越えて活躍、協働するリーダーである「トライセクター・リーダー」を紹介しています。 具体的な人物としては、アップルでサプライヤーを巻き込んだ再生可能エネルギー100%推進などを推進するなどサステナビリティの取り組みを先導するリサ・ジャクソン氏などを紹介しています。ジャクソン氏は、2009 年から2

SXとは何か?どう実践するか?

日本人は「X」が好きなようだ。古くはCX、UXが広く使われ、最近はDXから派生して、サステナビリティの領域で日本オリジナルのSX、GXが広く使われている。CX、UXはExperienceだったが、DX以降はTransformationだ。変革が苦手な日本政府、日本企業が言葉だけでも景気のいいものをということで広めているのだろうか。言葉だけ景気がいいのは、最近の政治家にも言えることだが。 それとも日

せめてセルフレジでは、紙レシートを発行しなくても良いようにして欲しい

皆さん、紙レシートはどう扱っていますでしょうか? 私はそのままゴミ箱に捨てています。手間をかけて環境に負荷を与えるLOSE-LOSE、共有損失の創造、シェアードロスになっています。 一枚一枚のレシートは小さなものですが、大量に生産・廃棄されているため環境負荷も馬鹿になりません。日本全国で年間に消費されるレシート用紙は約5.4万トンとされ、A4サイズのコピー用紙約135億枚に相当するとのことです。

bottom of page