top of page

マテリアリティ特定の要諦は「”WHY”をつきつめる」こと

  • takehikomizukami
  • 2024年7月24日
  • 読了時間: 3分

このブログでも何度もお伝えしていますが、サステナビリティ経営で最も重要な取り組みは、マテリアリティ特定です。


社会・環境課題のトレンドを理解し、自社事業・バリューチェーンが社会・環境課題とどう関係しているか、どのような負の影響を及ぼしているか、どのような正の影響を及ぼせるポテンシャルがあるか、自社の競争力や企業価値にどう影響するかなどの観点から、自社のサステナビリティ経営において重点的にリソースを投入すべき領域を特定します。


しかし、多くの企業では、サステナビリティ経営の中心となるマテリアリティ特定が形式的なものとなっているか、間違ったやり方で特定してしまっています。これは、マテリアリティ特定を支援するコンサルティング会社側がサステナビリティ経営の知見を持っていないことも原因です。


マテリアリティ特定で良く見られる課題としては、以下があります。

・経営レベルの課題を羅列して、経営戦略との違いが分からなくなっている。

・経営レベルの課題が中心となり、本来評価すべき社会・環境課題との関わりを評価できていない。

・「環境」といったほぼ意味のない粒度でマテリアリティを特定している。

・形式的なプロセス、開示上の見せ方にこだわり中身が伴っていない。


こうした課題も踏まえつつ、マテリアリティ特定で最も重要なことは、「何故それがマテリアリティなのか、納得性高く説明できる」ことです。サステナビリティ担当者が腹落ちし、経営層が腹落ちし、投資家などステークホルダーに納得性高く説明できる必要があります。


サステナビリティ経営においては、マテリアリティ特定はダブルマテリアリティが基本ですが、社会・環境・ステークホルダーのインパクトの観点から、何故それがマテリアリティなのか、どのような負のインパクトを及ぼしているか、どのような正のインパクトを及ぼすポテンシャルがあるかをしっかり理解する必要があります。そのためには、ステークホルダーやサステナビリティ専門家とのエンゲージメントも重要でしょう。ただ、ここで留意すべきは、ステークホルダーや専門家にスコアをつけてもらい、それをインパクト評価に反映するといった目的でエンゲージメントするのではなく、「何故それが重要なのか」を理解するためにエンゲージメントすることです。ステークホルダーや専門家のつけるスコアは結構いい加減なもので、それをインパクト評価にそのまま活用するのはお勧めできません。


自社への影響、財務影響についても「何故それが重要なのか」をファクト、ロジックをもとに、機会・リスク、自社の重要資本への影響などの観点からしっかり理解する必要があります。多くの場合は、現在の中計に書いてあるからなど、現状追認になってしまっています。それではマテリアリティ評価の意味がありません。


この「“WHY”を理解する」というのがマテリアリティ特定プロセスで最も重要です。


その他、マテリアリティは、長期的なゴールを目指して戦略的に取り組むべきもの、社会的要請が高まり取り組みが求められているもの、過去も未来も基本として取り組むべきものなど、それぞれ位置付けが異なります。マテリアリティ特定を戦略につなげるためにも、位置付けを明確にして共有すべきです。


マテリアリティ特定に100点満点はないかと思いますが、本質的な部分をしっかり理解し、共有できる形にすべきです。そうすれば、組織としてのサステナビリティのリテラシーも向上し、サステナビリティ経営の質も上がるでしょう。

 
 
 

最新記事

すべて表示
サステナビリティとサステナビリティ経営の変遷。1990年代の環境経営、2000年代のCSR経営、2010年代のESG経営を経て、反ESGの動きもある中2020年代のサステナビリティ経営はどう進化するか?

サステナビリティおよびサステナビリティ経営が歴史的にどう進化してきたか、改めておさらいする。 サステナビリティは経済成長の負の側面としての環境問題への対応からはじまった。1962年にはレイチェルカーソンが「沈黙の春」で化学物質の汚染問題を提起している。日本でも1950年代後半から1970年代の高度経済成長期において、工場などから発生した有害物質によって公害病が引き起こされた。WWFやグリーンピース

 
 
 
「生産性と人間性をどう両立するか」「成功できるかではなく、役に立てるかを人生の軸とせよ」サステナビリティ経営や生き方に重要な示唆を与えるP.F.ドラッカーとジム・コリンズの対話

経営にサステナビリティを統合するうえでの理論的支柱となっている代表的経営思想家として、P.F.ドラッカー、ジム・コリンズがあげられる。 ドラッカーは、 「マネジメントには、自らの組織をして社会に貢献させる上で三つの役割がある。①自らの組織に特有の使命を果たす、②仕事を通じて働く人たちを生かす、③自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献することだ」 というサステナビリティ経営

 
 
 
サステナビリティリーダーは2026年に何をすべきか?

2025年の初頭、チーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSO)に主な役割を尋ねた場合、「変革を推進し続け、経営陣の理解を得て、サステナビリティを企業経営に統合するためのビジネスケースを構築すること」だった。今後の数年間は、こうした路線が維持される見通しだった。 この見通しは正しく、企業によるサステナビリティへの取り組みは、金融・政治・社会面で大きな逆風に見舞われながらも、ほぼ変わらない水準を維持

 
 
 

コメント


Copyright(c) 2019 Takehiko Mizukami All Rights Reserved.

bottom of page