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CSRD対応を膨大なムダ作業とせず、本質的なサステナビリティ経営に活かすべき

  • takehikomizukami
  • 2024年12月1日
  • 読了時間: 3分

現在、サステナビリティ界隈で、グローバルに事業展開している大企業が対応に追われているのがCSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive、企業サステナビリティ報告指令)です。サステナビリティの詳細な情報開示を求める規則で、EU子会社が従業員250名、売上4000万ユーロ以上などの条件を満たす場合、2025年度から情報開示が義務化されます。約800の日系子会社が対象になるとされています。日本企業本体も、EU域内で1億5000万ユーロ以上の売上があれば2028年度から情報開示が義務化されます。


CSRDは、幅広いESGイシューについて、自社が社会・環境やステークホルダーにおよぼす「インパクト」および自社にとってのリスク・機会の観点からの「財務影響」を評価(IRO(Impact/Risk/Opportunity)評価という)し、マテリアルなイシューを特定して情報開示することを求めています。CSRDが大変とされるのは、ダブルマテリアリティ観点でのIRO評価の具体的方法や1,000を超える細かい開示項目が規定されているうえ、第三者保証を求めているところです。


最近の日経ビジネスの記事で、ダイキンの担当者は、「来年からの規制への対応は、1桁億円の費用では済まないだろう」と語っています。確かに、全面的に大手監査法人などに対応を依頼すると、そのくらいの費用はかかるかもしれません。CSRD対応のやり方によっては、多額な費用に加えて、その対応に割かれる人的リソースも膨大となる可能性があります。


正直なところ、監査法人などの支援側もIRO評価や開示内容をどうするか、第三者保証をどうするかについては試行錯誤の段階で、企業側にあまり意味がない膨大な作業を求めているケースも見受けられます。自社でサステナビリティの知見を持ってCSRD対応を主導するか、サステナビリティの深い知見を持ち効率的・効果的に対応してくれるアドバイザーに依頼することが重要でしょう。


CSRDではESGイシューとして、環境について5つ、社会について4つ、ガバナンスは1つのTopicsを定め、その下にSub-topics、Sub-sub-topicsを定めています。さらにそれぞれのTopicsごとに合計1,000を超える開示項目を規定しています。IRO評価をする場合でも、Topics/Sub-topics/Sub-sub-topicsなどについて細かくインパクト・リスク・機会を洗い出し、それを1つ1つ評価していると膨大な作業になります。さらに、それだけ評価対象が多くなると、1つ1つをしっかり精査することは不可能で、機械的な作業となり評価もいい加減となります。そうしたいい加減な評価は、形式だけを整えるもので、実質的なサステナビリティ経営推進には役立たない膨大なムダ作業となります。


CSRD対応にあたっては、ESGイシューと自社との関係性をインパクト、リスク、機会の観点で精査し、それを社内で共有して重要課題(マテリアリティ)を特定することで、情報開示だけでなく、サステナビリティ戦略や社内浸透につなげていくことが大事です。それが実質的なサステナビリティ経営の推進、他社との差別化につながります。単なる法令対応、形式的な開示をするだけにならないようにしなければなりません。長期投資家なども、形式的な対応をしているだけの企業か、本質的なサステナビリティ経営を行っている企業かを見極めて企業を評価・選定するでしょう。


日経ビジネスの記事で、KPMGドイツのパートナーが「1,000種類以上の情報すべてに事細かな注意を払うのはナンセンス。集中するのは、25項目など少数でもいい。自社の事業を展開する上で、真に重要な項目を選別することを先進企業は行っている。その上でこれらの業績指標を事業変革に連動させれば、投資家からの理解につなげていけるだろう。」と言っています。私も同意見で、CSRD対応にあたっては、細かい作業、形式的な開示に追われるのではなく、真に重要な項目を特定して事業変革につながるサステナビリティ経営に役立てるべきだと思います。


(参考)日経ビジネス2024.11.18号「EUサステナ開示、企業に迫る試練」

 
 
 

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