top of page
検索
  • takehikomizukami

新型コロナ禍でのCSV企業のあり方

ジョニー。ウォーカー、I.W.ハーパー、ギネスなど、幅広いブランドを有する酒類大手英ディアジオは、サステナビリティの取り組みにも積極的です。新型コロナ禍においても、3月にいち早く、世界の医療機関や地域コミュニティ向け手指消毒剤製造のため、アルコールを寄付しています。

今般、ディアジオは、新型コロナ禍におけるロックダウン解除後のバーやパブの再開を支援するプログラム「Raising the Bar」を開始すると発表しました。1億ドルを用意し、世界中のバーやパブに対し、感染防止のための消毒剤、マスク等の準備、キャッシュレスシステム等のIT対応、換気機能改善などの費用を支援します。また、プログラムに参加すると、新型コロナ対策の最新情報やベストプラクティスを共有でき、トレーニングも受けられるようです。

酒類メーカーとバー・パブは、共存関係にあります。新型コロナ禍を乗り越えるために、感染対策と事業継続を両立させるための取り組みは、CSVの観点からも優れていると言えます。

米化学メーカーのダウは、途上国など廃棄物処理のインフラが整備されていない地域で、廃棄物の山から有価物を収集するウエスト・ピッカーの生産性向上、生活向上を支援しています。ウエスト・ピッカーは、世界の廃棄物回収の15-20%を担っているとされていますが、ダウは、2050年までにプラスチック廃棄をゼロにする目標を掲げ、ウエスト・ピッカーと協働したサーキュラー・エコノミーのシステムを創ろうとしています。

しかし、新型コロナ禍において、ウエスト・ピッカーは、感染のリスクに晒されています。そこで、ダウは、ウエスト・ピッカー支援のファンドを設立しました。ウエスト・ピッカーがパンデミックを乗り越え、今後も廃棄物の回収ができるようにする、ウエスト・ピッカーと協働したサーキュラー・エコノミーの実現というCSVを継続するための取り組みです。

新型コロナにより、バリューチェーン上に困った人がいれば、共存共栄のパートナーとして、それを助け、CSV推進のパートナーが困っていれば、それを助ける。そういった考えが、新型コロナ禍でのCSV企業のあり方だと思います。

閲覧数:34回0件のコメント

最新記事

すべて表示

サステナビリティ推進にあたっての基本の1つは、バリューチェーン全体で考えることです。企業が新たな取り組みを進める場合は、グローバルの3大サステナビリティ課題である気候変動、生物多様性/自然資本、人権を中心に、バリューチェーン全体の環境・社会的影響を考慮する必要があります。 企業の取組みもそうですが、政策においても、バリューチェーン全体の影響を考慮する必要があります。特に、脱炭素の取組みにおいては、

徳島の高校でコオロギパウダーを使った給食を試食で出したことをきっかけに、昆虫食が大きな話題となっています。Twitterなどでは反対意見が圧倒的に多く、理由としては、生乳廃棄や人口減少などの国内事情を踏まえてたんぱく質不足対策としての昆虫食は必要ない、アレルギーなどのリスクがあるといったことがあげられています。 昆虫食開発の背景にあるのは、世界の人口増加および途上国の経済発展に伴い食肉需要が増加す

サステナビリティと経営、非財務と財務を統合して情報開示するツールとして、統合報告がある。統合報告は、サステナビリティ経営に取り組む原則3「自社事業、バリューチェーンに影響を及ぼす課題に対して、戦略的に対応する」を中心に、社内外のステークホルダーにサステナビリティに取り組む経営的意味合いを伝えるために活用すべきものだ。 統合報告の作成プロセスも、経営層をはじめ、社内の様々なステークホルダーとコミュニ

bottom of page