top of page

反ESGの嵐が吹き荒れるときこそ、本物のサステナビリティ企業かどうかが問われる

  • takehikomizukami
  • 2023年8月27日
  • 読了時間: 2分

最近は、米国を中心にESGに逆風が強まっているようだ。フロリダ州では、反ESGの急先鋒であるデサンティス知事主導で、州関連の年金基金の運用や地方債の発行、州政府の物品やサービスの調達などでESGを考慮することを事実上禁じる「反ESG法」が成立した。テキサス州では、化石燃料にかかわる企業への投資を抑制している金融機関のリストを公表し、名前が載った米資産運用最大手ブラックロックなどに対し、年金基金との取引停止をちらつかせて投資方針の撤回を迫った。石油・天然ガス産業の保護が背景にあるが、ESGの考え方が民主党寄りとされていることもあるとみられる。


一方で左派は脱炭素などへのより積極的な取り組みの重要性を訴えており、ESGを巡る対立は大きくなっている。


こうした動きを受けて、これまで気候変動対応などの重要性を説いてきたブラックロックCEOのラリー・フィンクは、「ESGという用語をもう使わない」と言っている。環境・社会・ガバナンスなどを企業に要請する姿勢は変わらないとしているが、政治論争からは距離を置きたいようだ。「ネットゼロ保険同盟」から離脱する企業なども相次いでいる。


ESGを巡る対立は、来年の大統領選でも争点になりそうだ。大統領選の結果は、ESGや脱炭素の国際的な動きにも大きく影響するだろう。


しかし、米シティグループの市場部門ESGグローバル責任者、エルリー・ワイネット・シーリグ氏が「逆風下こそ、ESGを進化させるときだ」と言っているように、逆風が吹いているときこそ、本物が問われる。


「サステナビリティ -SDGs以後の最重要戦略」のあとがきにも書いたが、企業は、気候変動、生物多様性、海洋プラスチックなど、グローバルな問題の解決に向けて、「予防原則」に基づき長期的かつ継続的な取り組みにコミットすべきだ。そして「20マイル行進」のように、規律を持って、何があっても着実に前進していかなければならない。


逆風が吹き荒れているときこそ、本物が問われるのだ。


(参考)

「米国発の逆風、ESGマネー奔流 脱炭素のあり方探る」日本経済新聞(2023年8月21日)

「米国で先鋭化する「反ESG」の動き 日本企業などにも波及」毎日新聞(2023年6月7日)


 
 
 

最新記事

すべて表示
サステナビリティとサステナビリティ経営の変遷。1990年代の環境経営、2000年代のCSR経営、2010年代のESG経営を経て、反ESGの動きもある中2020年代のサステナビリティ経営はどう進化するか?

サステナビリティおよびサステナビリティ経営が歴史的にどう進化してきたか、改めておさらいする。 サステナビリティは経済成長の負の側面としての環境問題への対応からはじまった。1962年にはレイチェルカーソンが「沈黙の春」で化学物質の汚染問題を提起している。日本でも1950年代後半から1970年代の高度経済成長期において、工場などから発生した有害物質によって公害病が引き起こされた。WWFやグリーンピース

 
 
 
「生産性と人間性をどう両立するか」「成功できるかではなく、役に立てるかを人生の軸とせよ」サステナビリティ経営や生き方に重要な示唆を与えるP.F.ドラッカーとジム・コリンズの対話

経営にサステナビリティを統合するうえでの理論的支柱となっている代表的経営思想家として、P.F.ドラッカー、ジム・コリンズがあげられる。 ドラッカーは、 「マネジメントには、自らの組織をして社会に貢献させる上で三つの役割がある。①自らの組織に特有の使命を果たす、②仕事を通じて働く人たちを生かす、③自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献することだ」 というサステナビリティ経営

 
 
 
サステナビリティリーダーは2026年に何をすべきか?

2025年の初頭、チーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSO)に主な役割を尋ねた場合、「変革を推進し続け、経営陣の理解を得て、サステナビリティを企業経営に統合するためのビジネスケースを構築すること」だった。今後の数年間は、こうした路線が維持される見通しだった。 この見通しは正しく、企業によるサステナビリティへの取り組みは、金融・政治・社会面で大きな逆風に見舞われながらも、ほぼ変わらない水準を維持

 
 
 

コメント


Copyright(c) 2019 Takehiko Mizukami All Rights Reserved.

bottom of page