top of page

衆院選、各政党は、目指す社会のビジョンと、希望が持てるメッセージを伝えて欲しい

  • takehikomizukami
  • 2021年10月25日
  • 読了時間: 3分

衆院選挙戦の真っ只中ですが、今回の選挙では、「分配」が一つのキーワードとなっています。世界的に格差の是正、新しい資本主義を目指す動きがある中で、日本でも格差問題を是正するために適正な分配は、必要でしょう。


しかし、分配するには、まず成長が必要という意見も根強くあります。特に、ビジネス界を中心として、影響力のある人々の間に成長重視の意見が根強くあります。曰く、「海外経済が大きく成長する中、日本経済は過去30年成長していない、そのため収入が上がっていない、ここが問題だ。分配の前にパイを拡大するための成長が必要。成長のためには、競争促進、規制緩和、雇用流動性などが必要だ。」


現在のパイの中で、高所得所者層から低所得者層への分配をシフトするための金融所得課税などには、富裕層の反発が強く、岸田首相も総裁選のときに導入について言及していましたが、株価下落や周囲の反対を受けてあっさり引っ込めています。


「まずは成長」というときには、人口が減少する日本では、「生産性向上が必要」となります。そして、生産性向上のために、前述の「競争促進、規制緩和、雇用流動性」が必要となります。しかし、生産性向上、競争促進と言われると、「もっと働け」「日本人は既存組織に胡坐をかいて怠けているやつが多すぎる」などと言われているようで、それが人々を幸せにするのか?多くの国民の共感が得られるのか?疑問があります。


「成長」にしろ「分配」にしろ、目指すべきは、国民の幸福のはずです。衆院選に向けて、各党が政策を掲げていますが、その考え方の根っこにはどんなビジョンがあるのか、どんな社会を目指しているのか、そこが見えないのは残念です。


目指すべきは、「国民一人一人が幸せを感じられる社会」で、そのためには、人それぞれに様々な選択肢があるはずです。そうした社会を築くためには、経済のパイは大きいほうが良いとは思いますが、そのために「もっと競争せよ」「もっと働け」は、メッセージとしては適切でないと思います。


幸福学を研究する前野隆司氏は、金、モノ、地位などの地位財による幸せは長続きせず、環境、健康、心の要因による非地位財による幸せが長続きするとしています。そして、心の要因による幸せを4つの因子に整理しています。


1つ目が、「自己実現と成長」の因子。夢や目標ややりがいをもち、それらを実現しようと成長していくことが幸せをもたらします。2つ目が「つながりと感謝」の因子。人を喜ばせること、愛情に満ちた関係、親切な行為などが幸せを呼びます。3つ目は、「前向きと楽観」の因子。自己肯定感が高く、いつも楽しく笑顔でいられることは、幸せなのです。4つ目に、「独立とマイペース」。他人と比較せずに自分らしくやっていける人は、そうでない人よりも幸福です。


個人的に簡単に整理すると、「自分で選択できる」「安心できるコミュニティがある」ということが重要なのかなと思います。


今後の政権に期待することは、国民の幸せを実現する社会のあり方についてのビジョンを示すとともに、「個人の意思に基づき選択できる自由度を増やす」、そしてその土台となる「安心できるコミュニティを築く」ということです。同じ、規制緩和、雇用流動性を追求するにしても、そのメッセージは、「人々の選択肢を増やす、可能性を広げる」ということであるできです。衆院選でも、そうした未来に希望が持てるメッセージを発信して欲しいと思います。


 
 
 

最新記事

すべて表示
サステナビリティとサステナビリティ経営の変遷。1990年代の環境経営、2000年代のCSR経営、2010年代のESG経営を経て、反ESGの動きもある中2020年代のサステナビリティ経営はどう進化するか?

サステナビリティおよびサステナビリティ経営が歴史的にどう進化してきたか、改めておさらいする。 サステナビリティは経済成長の負の側面としての環境問題への対応からはじまった。1962年にはレイチェルカーソンが「沈黙の春」で化学物質の汚染問題を提起している。日本でも1950年代後半から1970年代の高度経済成長期において、工場などから発生した有害物質によって公害病が引き起こされた。WWFやグリーンピース

 
 
 
「生産性と人間性をどう両立するか」「成功できるかではなく、役に立てるかを人生の軸とせよ」サステナビリティ経営や生き方に重要な示唆を与えるP.F.ドラッカーとジム・コリンズの対話

経営にサステナビリティを統合するうえでの理論的支柱となっている代表的経営思想家として、P.F.ドラッカー、ジム・コリンズがあげられる。 ドラッカーは、 「マネジメントには、自らの組織をして社会に貢献させる上で三つの役割がある。①自らの組織に特有の使命を果たす、②仕事を通じて働く人たちを生かす、③自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献することだ」 というサステナビリティ経営

 
 
 
サステナビリティリーダーは2026年に何をすべきか?

2025年の初頭、チーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSO)に主な役割を尋ねた場合、「変革を推進し続け、経営陣の理解を得て、サステナビリティを企業経営に統合するためのビジネスケースを構築すること」だった。今後の数年間は、こうした路線が維持される見通しだった。 この見通しは正しく、企業によるサステナビリティへの取り組みは、金融・政治・社会面で大きな逆風に見舞われながらも、ほぼ変わらない水準を維持

 
 
 

コメント


Copyright(c) 2019 Takehiko Mizukami All Rights Reserved.

bottom of page