top of page

サステナビリティが目指すドーナツ経済的世界観         WBCSDビジョン2050

  • takehikomizukami
  • 2023年7月8日
  • 読了時間: 2分

今般出版した書籍でも述べていますが、「サステナビリティ」が目指す世界は、「すべての人々が平和と一定の豊かさのもと潜在能力を発揮でき、地球への負荷が再生可能な範囲に収まっている世界」といった感じのものです。これは、一定の豊かさを満たしつつ(基本的なニーズが満たされない内側の円を超え)、環境の上限(外側の円)を超えない範囲内で生活していこうという、ドーナツ経済のようなイメージの世界です。


このサステナビリティが目指す、ドーナツ経済的な世界観を具体的に示しているものとして、WBCSDの「ビジョン2050」があります。


ビジョン2050は、サステナビリティの加速を目指す世界の主要企業200社のCEOが主導する組織であるWBCSDが、人類が直面する課題の緊急性を踏まえ、サステナブルな世界

とはどのようなものか、どのようにしてそのような世界を創り出すことができるのか、そしてそれを実現するための企業の役割とは何かについて検討・整理したものです。2010年に最初のビジョンが発表され、2021年に更新されています。


WBCSDがビジョン2050で掲げる目指す世界とは、「2050年までに90億人以上がプラネタリーバウンダリーの範囲内で真に豊かに生きられる」というものです。


ここで、「真に豊かに生きられる」とは、すべての人の尊厳と権利が尊重され、基本的なニーズが満たされ、すべての人に平等な機会が存在することを意味します。「プラネタリーバウンダリーの範囲内」で生きるとは、地球の気温上昇が+1.5℃未満で安定し、自然が保護・復元され、サステナブルな方法で利用されることを意味します。また、健全で再生力をもつ

地球システムにおいて、社会がレジリエンスを構築し、かつ維持するための十分な適応能力を身に付けていることも意味します。これは、基本的にドーナツ経済と同じ世界観です。


WBCSDのビジョン2050報告書では、この2050年に向けて目指す世界は、企業活動、経済、社会を早急かつ大幅に変革して初めて達成できるとしています。そして、企業活動が中心的な役割を果たすべき領域として、エネルギー、交通・輸送とモビリティ、生活空間、製品と物質・材料、金融商品・サービス、コネクティビティ、健康とウェルビーイング(安心で健やかな暮らし)、水と衛生、食料の9つをあげ、変革の道筋を示しています。


サステナビリティが目指すべきドーナツ経済のような世界観と、その実現に向けた道筋を示した、WBCSDのビジョン2050は、広く共有されるべきものです。


 
 
 

最新記事

すべて表示
コーポレートガバナンス・コードの改訂を機に、サステナビリティ方針を見直すべきではないか。

先般金融庁が提示したコーポレートガバナンス・コード(CGC)改訂案では、サステナビリティに関する記述を「第2章 株主以外のステークホルダーとの適切な協働」から「第4章 取締役会等の責務」に移管し、原則で「取締役会は、中長期的な企業価値の向上の観点から、サステナビリティを巡る課題に積極的・能動的に取り組むべき」と規定している。これまでの「上場会社は、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る

 
 
 
IPBES報告書がビジネス環境のCSVを提唱

「生物多様性と自然」に関わる科学的評価を実施するIPBES(気候変動におけるIPCCに該当)が、初めてビジネスに焦点を当ててまとめた「ビジネスと生物多様性評価報告書」の政策決定者向け要約が発表された。 2026年10月にはCOP17が開催され、昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)の中間レビューが行われる。2030年目標に向けた折り返し地点となるこのタイミングで発表された報告書は、企業や政府

 
 
 
「京浜工業地帯の父」浅野総一郎は、サーキュラーエコノミーの先駆者でもあった

私の故郷である富山県氷見市出身の偉人として真っ先に名前があがるのは浅野総一郎です。明治維新から日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦という激動の時代に、この先日本にとって必要となる事業は何か考え、石炭、セメント、海運、造船などの事業を次々と立ち上げ、京浜工業地帯の礎を築き、「京浜工業地帯の父」と呼ばれています。 浅野総一郎は、「九転十起の人」とも呼ばれ、失敗してもくじけない、不屈の精神でも知られていま

 
 
 

コメント


Copyright(c) 2019 Takehiko Mizukami All Rights Reserved.

bottom of page