top of page

GHG排出削減。CO2の次のターゲットメタンに注目。

  • takehikomizukami
  • 2021年12月18日
  • 読了時間: 3分

COP26で、グラスゴー気候合意が採択されました。1.5℃が共通目標となったこと、表現が弱められたとは言え石炭火力の段階的削減が明記されたこと、懸案であったパリ協定第6条の温室効果ガス排出削減量取り引きルールが合意されたことなどから、COP26は概ね成功だったと考えられています。


また、グラスゴー気候合意には、新しい内容が2つ盛り込まれました。1つは、温暖化ガスを吸収する森林などの自然と生態系の保護・回復の重要性が強調されたこと、もう1つは、メタンなどのCO2以外の温室効果ガスの2030年までの排出削減が盛り込まれたことです。


COP26では、これらの内容を促進するイニシアチブも立ち上がっています。


森林については、2030年までに森林破壊・劣化を食い止めることを目標とする「森林と土地利用に関するグラスゴー首脳宣言」に134ヶ国・地域が署名し、森林保護・回復への資金動員にコミットする「グローバル・フォレスト・ファイナンス・プレッジ」には、日本を含む先進国12ヶ国・地域が署名しました。来春の生物多様性のCOP15で、2030年までに各国が陸域と海域の30%を生物保護区にするなどの目標が合意されれば、森林保護・回復に向けた動きは、加速するでしょう。


メタンについては、2030年までに2020年比でメタンを30%以上削減することを約束する「グローバル・メタン・プレッジ(Global Methane Pledge)」が正式発足し、105カ国が発足時加盟国となりました。米国が同時に「メタン排出量削減アクションプラン」を発表し、石油・ガス産業でのメタン漏出削減を強化する規制を打ち出すことなどを表明しています。今後、メタン排出削減も加速するでしょう。


メタンは、CO2の25倍の温暖化能力があり、CO2に換算すると人為起源の温室効果ガスの17%程度を占めています。メタンの発生源としては、石油の製造時漏出、天然ガスの製造や転送・貯蔵時漏出などのエネルギー分野が50%程度を占め、家畜のげっぷや排泄物、稲作などの農業分野が30%強、埋立廃棄物、排水処理などの廃棄物分野が20%弱となっています。


今後、こうしたメタン排出対策の要請が強まるでしょう。日本国内では、メタンは温室効果ガスの2.4%程度と少ないですが、稲作が40%強、牛のげっぷが30%弱など、農業分野が大部分を占めます。今後、こうした分野での取り組みの要請が強まるでしょう。


牛のげっぷについては、海藻を配合したものなどげっぷのメタンを抑える飼料開発が世界的に進められています。稲作に関しては、日本が水田から一時的に水を抜くことで土壌内に存在するメタン生成菌の活動を抑制する「中干し」技術に強みを持っています。エネルギー分野のメタン漏洩防止、廃棄物分野のメタンのエネルギーとしての活用なども含め、メタン排出削減に関連する様々な事業機会があります。


メタン対策が加速することが明らかとなった今、自社の技術などを生かしたメタン削減・活用の機会を探索してみてはどうでしょうか。

 
 
 

最新記事

すべて表示
アップルのサステナビリティはけん引役がいなくなっても進んでいる。経営合理性の観点からオペレーションに埋め込まれたとも言えるが、サステナビリティのリーダーで居続けられるかは不透明だ。

アップルが環境進捗報告書を公開した。2013年にEPA(米国環境保護局)長官からアップルに転じてアップルのサステナビリティを牽引してきたリサ・ジャクソン氏が本年1月に退任し「アップルがサステナビリティから撤退した」と言われていたが、報告書の内容はその見方に反するものだ。 「製品全体のリサイクル素材比率が史上最高の30%に達した。」「全製品パッケージからプラスチックを完全に排除した。」「2015年比

 
 
 
シナリオ分析は特定のシナリオに掛けるものではなく、すべてのシナリオに備えたうえで、変化の兆しを感度良く捉えて対応すべきもの

地政学リスク、AIの進化や気候変動の影響など、世界の不確実性は高まる一方です。こうした不確実性の高い状況において、意思決定のツールとして有効なのが、長期シナリオ分析です。未来を確実に予測することは不可能としつつ、自社に影響を及ぼす要因の変化を想定しつつ、起こりうる可能性のある複数の未来(シナリオ)を策定し、意思決定のガイドとします。 シナリオ策定の基本的流れは、以下の通りです。 ① 社会の変化動向

 
 
 
マイクロソフトが炭素除去クレジット購入を一次停止したのは何故か?十分なクレジットを契約済という試算もあるが、データセンターの急拡大に対応できるだろうか?

マイクロソフトはカーボンクレジットを積極的に購入している企業として有名だ。以前調査したときは、世界でシェルに次いで多くのカーボンクレジットを購入していた。シェルが低価格のクレジットを大量に購入していたのに対し、マイクロソフトは、炭素除去クレジットなど高品質・高価格のクレジットを購入していた。2030年までにカーボンネガティブを実現するという目標に真摯に取り組んでいる印象だ。 そのマイクロソフトが炭

 
 
 

コメント


Copyright(c) 2019 Takehiko Mizukami All Rights Reserved.

bottom of page