top of page

DRAWDOWNドローダウン― 地球温暖化を逆転させる100の方法

  • takehikomizukami
  • 2020年11月14日
  • 読了時間: 3分

「DRAWDOWNドローダウン―地球温暖化を逆転させる100の方法」が来月出版されます。原書は、サステナビリティ関係の名著「自然資本の経済」の著者ポール・ホーケン氏により2017年に発行されています。気候変動に対する80のソリューションについて、概要に加え、2050年までのCO2排出削減貢献量、費用対効果を定量的に示しています。さらに、今後の有望な20のソリューションも紹介されており、併せて「地球を逆転させる100の方法」となっています。書籍に関連するウェブサイトでも各ソリューションを紹介しています。

80のソリューションは、エネルギー、食料、女性、建物と都市、土地利用、輸送、材料の7つのカテゴリー分けされ、CO2の排出削減貢献量でランク付けされています。

ランクのNo.1は、「冷媒マネジメント」です。冷蔵庫やエアコンの冷媒として使用されている代替フロンのHFCが、CO2よりも1,000~9,000倍もの温室効果があるとして、これを削減すること、大気に放出させないことは、89.74ギガトンのCO2排出削減効果があるとしています。HFCの使用を2020年代後半までに段階的に削減することは、昨年国際的に合意されているのですが、現在既に使用されているHFCを大気に放出させないことも重要です。冷媒を回収して、再利用または温室効果のない化学物質に変質させることは、温暖化を防ぐとともに事業機会としても大きなポテンシャルがあります。

No.2のソリューションとしては、「陸上風力発電」が挙げられています。陸上風力発電は、地域によっては既に化石燃料よりもコスト競争力があり、今後もコストが継続的に低下して近いうちに最もコスト競争力のある電力源になると考えられています。また、土地利用も少なくて済み、設置までに必要な期間が短いことも、高い評価につながっています。源力源としての比率が現在2.9%から2050年までに21.6%まで拡大することで、84.6ギガトンものCO2排出が削減されると予測しています。

80のソリューションを評価する”Project Drawdown”では、一般に良く話題になるソリューションを含め幅広く検討を行いましたが、その中では、EVやバイオマスのように当初思ったよりも評価が低かったもの、逆に食料や再生農業のように当初考えていたよりも高い評価となったものがあったようです。特に女性の教育や家族計画は、CO2排出削減貢献量がそれぞれNo.6およびNo.7と評価されるなど、その影響が大きいことが分かりました。今回、網羅的に幅広いソリューションを定量的に評価する意味があったと言えるでしょう。

「DRAWDOWN」は、気候変動のソリューションを包括的にまとめており、その効果も示している素晴らしい書籍です。菅総理が2050年までに温室効果ガスを実質ゼロとすることを宣言し、改めて気候変動対策に注目が集まる中、日本語版が出版されることになったのは、ベストタイミングでした。企業関係者、政策担当者などにも大いに参考になるでしょう。出版に携わった方々に感謝です。

 
 
 

最新記事

すべて表示
サステナビリティとサステナビリティ経営の変遷。1990年代の環境経営、2000年代のCSR経営、2010年代のESG経営を経て、反ESGの動きもある中2020年代のサステナビリティ経営はどう進化するか?

サステナビリティおよびサステナビリティ経営が歴史的にどう進化してきたか、改めておさらいする。 サステナビリティは経済成長の負の側面としての環境問題への対応からはじまった。1962年にはレイチェルカーソンが「沈黙の春」で化学物質の汚染問題を提起している。日本でも1950年代後半から1970年代の高度経済成長期において、工場などから発生した有害物質によって公害病が引き起こされた。WWFやグリーンピース

 
 
 
「生産性と人間性をどう両立するか」「成功できるかではなく、役に立てるかを人生の軸とせよ」サステナビリティ経営や生き方に重要な示唆を与えるP.F.ドラッカーとジム・コリンズの対話

経営にサステナビリティを統合するうえでの理論的支柱となっている代表的経営思想家として、P.F.ドラッカー、ジム・コリンズがあげられる。 ドラッカーは、 「マネジメントには、自らの組織をして社会に貢献させる上で三つの役割がある。①自らの組織に特有の使命を果たす、②仕事を通じて働く人たちを生かす、③自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献することだ」 というサステナビリティ経営

 
 
 
サステナビリティリーダーは2026年に何をすべきか?

2025年の初頭、チーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSO)に主な役割を尋ねた場合、「変革を推進し続け、経営陣の理解を得て、サステナビリティを企業経営に統合するためのビジネスケースを構築すること」だった。今後の数年間は、こうした路線が維持される見通しだった。 この見通しは正しく、企業によるサステナビリティへの取り組みは、金融・政治・社会面で大きな逆風に見舞われながらも、ほぼ変わらない水準を維持

 
 
 

コメント


Copyright(c) 2019 Takehiko Mizukami All Rights Reserved.

bottom of page