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脱炭素政策においてポーター仮説は機能するか?

  • takehikomizukami
  • 2021年1月23日
  • 読了時間: 3分

ポーター仮説というものがあります。「適切に設計された環境規制は、費用低減・品質向上につながる技術革新を刺激し、その結果国内企業は国際市場において競争上の優位を獲得し、他方で産業の生産性も向上する可能性がある」というものです。


ポーター仮説については、いろいろ議論があるようですが、個人的には全く違和感ありません。イノベーションは、課題と解決策の新しい組み合わせです。具体的に新しい課題が提示され、しかも対応が義務付けられる規制であれば、解決策を生み出すインセンティブ、プレッシャーも強くなります。“適切に設計された規制”は、イノベーションを生み出す“可能性がある”のは、その通りだと思います。


良い例が、ホンダのCVCCエンジン開発です。ホンダが2輪車から4輪車に参入して間もない1970年代、米国でマスキー法と呼ばれる自動車の排ガス規制が導入されようとしていました。常日頃「会社のことより、先に日本のため、人類進化のため」と語っていた本田宗一郎は、「マスキー法への対応は、企業本位の問題ではなく、自動車産業の社会的責任上なすべきである」とし、同時に「これこそ神が与えてくれたビジネス・チャンス」と考え、ホンダの総力を結集して法案に適合するエンジンの開発を推進し、1973年にマスキー法をクリアするCVCCエンジンを実用化しました。結果的にマスキー法は廃案となりましたが、燃費の良いCVCCエンジンは高い評価を得て、ホンダは4輪車メーカーとして、確固たる地位を築きました。


新しい課題の提示は、イノベーションの機会なのです。企業は、新しい課題を提示されることに反発する傾向もありますが、イノベーションの観点から言えば、新しい課題をポジティブに捉え、積極的に受け入れるという姿勢が重要です。


現在、脱炭素政策が世界的に進められ、かってない大きなイノベーションの機会を提示しています。1970年代は、変化を積極的に受け入れたホンダなど日本の自動車企業が勝者となり、変化に反発した米国自動車企業は衰退しました。当時新興企業だったホンダは、変化を大きなチャンス捉えました。脱炭素の時代はどうでしょうか。ガソリン車の世界で成功を収めた日本企業は、新しい変化を積極的に受け入れ、成功することができるでしょうか。日本企業は、過去の米国企業のように政策に強く反発することはないと思いますが、十分なスピードと積極性を持って変化を受け入れられるかが問われます。


脱炭素政策においてもポーター仮説は機能すると思います。今後、様々なイノベーションが生まれるでしょう。現在、自動車産業でその流れに乗っているのは、テスラなど新興企業です。日本からも新しい企業が生まれることを期待しますが、一方で、日本経済の発展のためには、既存企業が変化に適応することも不可欠です。

 
 
 

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