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SDGsをビジネス機会とするためには、思考の広がりが必要だ。

takehikomizukami
2023年4月25日
読了時間: 4分

SDGsはビジネス機会になると言われるが、それは、世界がSDGsを達成しようとした場合、政策転換、大規模投資がなされ、新しく大きな市場が生み出されるという、希望に基づく仮定にすぎない。そもそもSDGsは、既存の社会・経済システム、ビジネスにおいて未解決の問題の集合体だ。基本的に外部不経済であるSDGsが掲げる課題をビジネスで解決するのは容易ではなく、従来とは異なる視点が必要だ。


SDGsビジネスは、課題としてのSDGsと自社強み(機能)の組み合わせだ。ここで、機能が重要なのは、あくまで課題を解決するのは、技術であれば、技術そのものではなく、技術が持つ機能だからだ。また、自社の強みを生かすものでなければ、差別化できず、ビジネスとしての持続性が担保できない。


SDGsと自社の強み(機能)を組み合わせるにあたって、課題の捉え方に、思考の広がりがあると、組み合わせのオプションが増え、より多様な製品・サービスの創発につながる。課題に対する思考の広がりを持つためには、バリューチェーン、ビジネスエコシステムの視点で考えてみるのも有効だ。


バリューチェーンについては、例えば、気候変動の緩和に向けた再生可能エネルギーの普及という課題に直接的に対応する風力発電の市場が広がるためには、資源採掘、素材・部材生産、輸送、製品生産、使用、廃棄などのバリューチェーンにおいても、新たな課題が生まれ、そこに新たな市場が生み出される。風力発電については、発電効率を上げるために必要な部材・素材、洋上での建設、メンテナンス、リサイクル、生態系や景観との共生など、様々な課題があり、そこに新たな製品・サービスのポテンシャルがある。


ビジネスエコシステムは、広義のバリューチェーンと言っても良いかも知れないが、主たる製品・サービスの市場を支える様々な製品・サービスがある。例えば、自動車のビジネスエコシステムとしては、ガソリンの給油、保険やローンなどの金融サービス、車検やメンテナンスなどの安全に関わるサービス、タイヤをはじめとする部品や素材、生産における評価サービス、運転者を教育する自動車教習所、さらには道路やロードサービスなどがある。主たる製品である自動車がEV化されると、それに伴い新たなビジネスエコシステムが構築され、そこに新たな市場が生まれる。自動車のEV化に伴う新たなエコシステムが構築されるにあたり、現在のエコシステム市場がどう変わるのか、どのような新しい市場が創造されるのか、そうした視点で考えることで、製品・サービスの創発力が高まる。


課題解決の思考の広がりを持つ視点として、「課題の解決策が生み出す課題」、「サブ機能」に着目することも考えられる。SDGsなどの課題に直接的に対応する主たる機能を持つ製品・サービスの市場は、注目されやすく、市場が立ち上がった後の競争も激しくなりやすい。そうした主たる市場ではなく、自社の強み(機能)が生かせるニッチ市場を狙うやり方だ。


課題の解決策は、必ず次なる課題を生み出す。これは、必定だ。世の中は、次々と生まれる課題を解決し続けることで、進歩している。社会課題解決の動向を先読みして、「課題の解決策が生み出す課題」に着目することで、ユニークな価値を創造し、競合の先手を打つことができる。


太陽光や風力発電の例で言えば、急速にこれらの設備が普及すると、今後必ず、廃棄物の問題が生まれる。太陽光パネルや風力のタービンブレードをどうリサイクルするか、耐用年数を超えた設備をどう有効利用するか、といった問題が必ず生まれる。再生可能エネルギーが普及し始める段階から、こうした次の課題を見据えて、自社の強みを生かして解決策が提供できるかを検討してみても良いだろう。


ニッチ市場を獲得するには、主機能の提供に必要なサブ機能を先んじて提供するという考えもある。気候変動の緩和に向けた解決策として、畜産からの大量の温室効果ガス(メタン)排出を削減するために、代替肉を普及させるというものがある。しかし、代替肉は、安価で美味しくなければ、普及しない。この場合、代替たんぱくが主機能だとして、その食感を高める添加物などがサブ機能となる。信越化学が、代替肉の食感を高める接着剤を提供しているが、これは温室効果ガス排出削減に貢献する代替肉の開発において必要なサブ機能を提供している例だ。


このように、バリューチェーン、ビジネスエコシステム、課題が生み出す課題、サブ機能などの多様な視点を持って、SDGsに自社の強みを掛け合わせることで、SDGsビジネス創出の可能性も高まるだろう。

 
 
 

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