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SDGsを実現するためのパートナーシップ「コレクティブ・インパクト」

SDGsの目標17は、「持続可能な開発のための実施手段」であるパートナーシップ」です。

目標16までが、経済、環境、社会に関する具体的な課題を示しているのに対して、目標17は、SDGs全体を推進するための手段を示しています。


パートナーシップによるSDGsなどの社会課題解決のコンセプトとして、「コレクティブ・インパクト」があります。コレクティブ・インパクトは、政府、企業、市民セクター、財団などが、互いの強みを活かして取り組むことで社会課題を解決しようという考え方です。


コレクティブ・インパクトの事例として、ノルウェーの世界最大の無機肥料メーカーヤラが、タンザニアの食糧生産性を高めるために、多様なパートナーとともに、農業インフラを整備しています。ヤラは、多国籍企業、市民組織、国際支援団体、タンザニア政府など68組織を巻き込み、農業発展のための回廊地帯(インフラ等整備による都市間を結ぶ細長い人口密集地帯)をつくるための団体SAGCOT(Southern Agricultural Growth Corridor of Tanzania)を立ち上げました。世界経済フォーラム・アフリカで立ち上げられたSAGCOTは、34億ドルをかけて、港湾・道路・鉄道・電力等を整備、農業協同組合の機能化、関係業者・金融機関の誘致などを行っています。ヤラも6,000万ドルを投資しましたが、売上は50%、EBITDAは42%増加しています。


また、ウォルマートは、ステークホルダーとの対話を通じて、プラスチックなどのリサイクルが進まないのは、リサイクルのインフラが不足しているためだと理解しました。そのため、リサイクルインフラへの投資を促進するために、コカ・コーラ、P&G、ユニリーバといった消費財企業などとパートナーシップを組んで、リサイクルインフラ投資のためのファンドを設立しています。こうしたインフラ整備は、従来は政府が行うべきものと考えられていましたが、「コレクティブ・インパクト」で、企業主導で進める事例も増えてきています。


コレクティブ・インパクトの一形態として、企業が経営リソース、技術・ノウハウや資金調達力、NGOが社会的なネットワークや知見、低コストオペレーションを提供して、相互補完的なバリューチェーンを構築し、途上国に適したビジネスモデルを確立するハイブリッド・バリューチェーンというコンセプトもあります。低所得者向けの医療市場、食品市場、エネルギー市場などにポテンシャルがあると考えられています。


社会課題解決のための資金調達において、不確実性が高く、民間企業だけでは十分な投資が行われないケースがあります。そうした場合に、公的資金をまず投入して実現性を検証した上で、民間資金の投入を促そうという「ブレンデッド・ファイナンス」もコレクティブ・インパクトの一形態と言えるでしょう。


なお、コレクティブ・インパクトを成功させるためには、共通の社会課題を解決しょうと認識を共有する「共通アジェンダ」、何を成功とするかを合意する「評価システムの共有」、各自がそれぞれの活動をしつつ連動して互いに補完し合う「相互の活動補強」、それぞれ異なる活動をしつつも共通のモチベーションを確認する「継続的コミュニケーション」、全体の活動を支える専任スタッフがいる組織「活動を支えるバックボーン組織」の5つの要素が必要とされます。


社会課題解決に向けたパートナーシップとして、オープン・イノベーションも重要です。社会課題解決に向けたアイデア創出やその実現は、自社だけで対応するには限界があり、社外のアイデアや技術・ノウハウをうまく取り入れることが効果的です。特に、社会課題解決は、単なる利益創出よりも、幅広いパートナーの共感や協力を得られやすいものです。イタリアの電力大手エネルは、世界中の38万の研究者、スタートアップなどと協働できるクラウドプラットフォームのイノセンティブを用いて、社会課題解決のために自社が必要とする50の技術的チャレンジを特定して、広く解決策を募っています。


最近は、競合同士が社会課題解決のためにパートナーシップを組む例も増えています。例えば、事業では厳しい競争をしているキリンビールとアサヒビール、花王とライオンなどが、物流における共同配送やリサイクルの促進などを協働で行い、コスト削減、環境負荷軽減などWIN-WINの関係を構築しています。競合同士が競争する分野、社会課題解決や業界全体の価値を高めるために協働する分野を分けるという考え方です。これを「非競争分野における協働」と言います。


競合同士、他業種、政府・国際機関、NGOなどの市民セクター、国内外など、SDGs実現に向けた様々なパートナーシップが生まれています。そうしたパートナーシップは、SDGsを実現しようと世界が動く中で、新しいパラダイムにおける競争力を培うことにもなります。従来の競争環境や、ステークホルダー間の役割分担を柔軟に見直す思考が必要です。


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