検索
  • takehikomizukami

SDGsへの取り組みの段階論と政策への期待

更新日:2019年5月6日

日本企業によるSDGsの取り組みの現在位置は、どこにあるでしょうか。自社の活動とSDGsを紐づけて、Webやサステナビリティレポートなどでコミュニケーションする。加えて、社内研修などにSDGsを組み込み、社内浸透を図る。これを企業SDGs1.0としましょう。日本の大企業の多くは、この段階にあるでしょう。


次に、SDGsの優先課題を中心に、社会貢献活動、希望者によるプロジェクト提案など、本業外においてSDGsへの貢献に向けたプログラムを新たに立ち上げる。SDGs貢献製品・活動などを評価する制度を新たに設けるなど、本業はそのままで、SDGsに関する取り組みを新たに始める。これを企業SDGs2.0としましょう。日本でSDGs先進企業とされている企業は、この段階でしょうか。


その次の段階は、SDGs貢献に向けて事業ポートフォリオを組み替えるなど、本業を変える。これを企業SDGs3.0としましょう。ネスレやダノンなどが健康や栄養を軸に事業ポートフォリオを組み替えるなど、SDGsへの貢献を目的としているわけでは必ずしもありませんが、サステナビリティの観点で本業を変える企業はあります(参考事例)。こうした企業は、企業SDGs3.0に進んでいるとしても良いでしょう。また、社会的企業と言われる、社会課題解決をミッションとして創業し、それを忠実に実践し続けている企業も企業SDGs3.0の段階にあるとします。


そして、政府、他企業、市民セクターなどを巻き込んで、SDGs貢献に向けて社会を変えるエコシステムを構築する。これを企業SDGs4.0とします(参考事例)。企業SDGs3.0までが基本的に単独の企業の取り組みであるのに対し、複数の組織が協働でSDGsに貢献しようとするものです。SDG17にも関係しますが、コラボレーションはSDGs実現のカギを握っています。


以上、企業の視点でSDGsへの取り組みの段階を示しましたが、コミュニケーションや啓発を中心とするSDGs1.0、一部で新たな取り組みを始めるSDGs2.0、組織の在り方自体を変えるSDGs3.0、マルチステークホルダーでの取り組みを進める(大きく言えば、社会の在り方自体を変える)SDGs4.0は、すべての組織に当てはまるものです。


SDGs実現に向けては、特に企業と政策との連携によるイノベーションの創出が重要です。以前、企業の食品ロス対策を促進する税控除などの政策について書きましたが、政策の影響は大きいものです。。外務省や環境省が中心となっている日本政府のSDGsの取り組みは、SDGs1.0と2.0の間くらいの印象です。日本が優先的に取り組むべき課題を中心に、企業のイノベーションを促進する政策をもっと打ち出してもらいたいと思います。

閲覧数:71回0件のコメント

最新記事

すべて表示

サステナビリティに関して、情報開示やESG評価に加え、気候変動、自然資本、人権などに関し、様々なルールやイニシアチブが立ち上がり、企業でサステナビリティを担当されている方は、「すべてを理解してすべてに対応しようと思うと大変だ」、「何にどう対応すれば良いのか」と、悩んでおられるかもしれません。 しかし、サステナビリティの本質的な原則を理解していれば、「自社はこのような考え方で、こういう対応を行ってい

企業経営において、「パーパス」が注目されています。職業や企業の選択において、「パーパス」を重視するミレニアル世代やZ世代を惹きつけ、能力を発揮してもらうためには、共感できるパーパスを掲げることが必要です。 また、SDGsの広がりなど、世界がサステナビリティを目指す潮流も、企業がパーパスを掲げる必要性が高まっている背景にあるでしょう。企業は、世界のサステナビリティに如何に貢献できるかが、問われていま

前回、米フォーチュン誌が毎年発表している「世界を変える企業リスト(Change the World List)」2022年版の1-10位の企業を紹介しました。今回は、11-20位の企業を見てみましょう。 11位は、米国ドラッグストアのCVSヘルス。以前、健康というパーパスに基づき収益源だったタバコの販売を止め、ポートフォリオ転換したことを紹介しています。今回は、子会社での自殺者を減少させるための取