検索
  • takehikomizukami

SDGsは未解決の課題を解決するものだ!-ヘルスケアの事例から-

SDGsのロゴを自社の既存の活動に紐づけて、「こんな貢献をしています」とアピールする「ラベル貼り」では、SDGsに貢献していることにはならないことは、これまでも述べています。


SDGsは、従来の取り組みでは未解決の課題の集合体ですので、未解決の課題に取り組んでこそ意味があります。すべての企業が社会に何らかの価値を生み出しているのは、その通りですが、既存の社会価値をアピールしても、新しい価値を生み出していることにはならず、SDGsに貢献していることにはなりません。


分かりやすい例では、製薬メーカーが「人々の健康に貢献しています」とアピールしても、普通に医薬品を販売して利益を上げているだけでは、SDGsに貢献していることにはなりません。例えば、従来のビジネスモデルでは十分に対応できていない途上国の医療事情を改善すれば、SDGsに貢献することになります。


途上国の医療ニーズが既存のビジネスで対応できていないのは、①医療サービスに対する人々の支払い能力が不足している(そのために途上国特有の感染症等に開発費が投入されない)、②医療や疾病に関する人々や医療従事者の知識が不足している、③医療サービスを提供するためのインフラが整備されていない、などの課題があるためです。こうした課題の克服に向けてチャレンジしてこそ、SDGs(目標3)に取り組んでると言えます。


① 医薬サービスに対する支払い能力不足に対する取り組みとしては、使用する医療機器の簡素化やオペレーションの効率化によりコストを削減する、現地企業へのライセンス生産によりコストを削減する、途上国では特許で保護された医薬品の価格を先進国より大幅に引き下げるなどの対応があります。また、「顧みられない熱帯病」などの途上国特有の感染症に対して、他企業、財団、政府機関等と協働してコストとリスクを軽減しつつR&Dに積極的に取り組むことも必要です。


② 医療や疾病に関する知識不足に対する取り組みとしては、患者や医療従事者の啓発活動などを通じて時間をかけて医療ニーズ・市場を創造するやり方があります。糖尿病などは、こうした啓発発動を通じて、多くの途上国で治療の重要性についての理解が広まり糖尿病を治療するという新たな市場が生まれています。また、医療従事者の知識が不足している場合は、ヘルスケア企業がトレーニングを実施して医療従事者を育成することも有効です。


③ 医療サービスのインフラ未整備への取り組みとしては、途上国でのチャネル構築のため、途上国の地方で販売員を採用・育成している例があります。ドローンで血液や医薬品を届けるなどテクノロジーを利用して新たなインフラを整備するやり方もあります。制度的なインフラについては、政府と協働して医療方法のガイドラインを整備している例もあります。


こうした取り組みを、社会からの信頼を獲得して事業を継続する、途上国で新しい市場を開拓する、途上国向けのイノベーションを先進国市場にも広く展開する(リバースイノベーション)など、自社の長期的価値創造に結び付けて行うことができれば、ビジネスをスケールしつつ、社会価値を生み出すことができます。実際、ノボノルディスクの啓発活動による糖尿病市場開拓など、成功例もあります。SDGsに貢献するには、新たな戦略的視点が必要です。

閲覧数:12回0件のコメント

最新記事

すべて表示

SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」にもありますが、持続可能なまちづくりは、サステナビリティの観点で非常に重要であり、企業にとっての機会も多く生み出します。例えば、「手ごろな価格の住宅」、「スマートシティ」などは、企業にとっての魅力的な機会を提供します。 「手ごろな価格の住宅」は、SDGs実現に向けた動きが2030年までに年間12兆ドルの市場機会を生み出すとする、SDGsとビジネスに関

SDGsの目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」は、途上国のエネルギーアクセス、クリーンエネルギーの普及の2つの課題を含んでいます。 途上国のエネルギーアクセスは、途上国にいかに電気を普及できるかということです。途上国では、約12億人が電力にアクセスできておらず、特にその半数以上を占めるサハラ以南アフリカでは、電化率は32%に過ぎません。こうした地域では、料理用の木炭・薪、照明用の灯油ラン

最近は、サステナビリティ領域では、「ブルーエコノミー」「ブルーカーボン」といった言葉が広がっているように、海洋生態系の持続可能性が注目されています。SDGsの目標14です。 海洋生態系の持続可能性に関して、喫緊の課題となっているのが、海洋プラスチック汚染と水産資源の維持・回復です。 海洋プラスチックについては、本年3月の国連環境会議で、2024年を目標に、法的拘束力のある国際的なプラスチック規制の