SDGsの認知度は高まってきていますが、ビジネスでの取り組みはまだ限定的です。メディアで紹介される事例は、社会貢献的なものか、既存ビジネスの「ラベル貼り」にとどまっています。
SDGsは、既存の社会・経済システムにおいて未解決の問題の集合体ですので、従来のビジネスのやり方では解決が難しいのは確かです。しかし、世界的な解決ニーズがあり、新たなビジネス機会のポテンシャルを持つフロンティアでもありますので、チャレンジする価値はあります。
SDGSの象徴的課題は、SDG1「貧困をなくそう」です。SDGsの採択文書「2030アジェンダ」の冒頭で「最大の地球規模の課題」とされており、SDGsの中でも特別な位置付けにあります。貧困問題に対応するビジネスは、SDGsビジネスの中でも、最優先のものと言えるでしょう。
貧困問題解決の中心的ターゲットは、極度の貧困層の85%が暮ら南アジア、サブサハラ・アフリカ地域などの途上国となります。しかし、途上国には、消費者の購買力不足、現金の当日入手、市場が分散しており流通が未整備、消費者が商品・サービスを受け入れる知識・習慣を持っていない、社会インフラの不足などの特有の課題があり、他で成功したビジネスモデルがそのまま通用するわけではありません。
こうした途上国特有の課題に対応している例としては、以下のようなものがあります。
・ICTを活用した多数の個人にアクセスできる、分散した市場をつなげるビジネスモデルの構築
・NGO等と協働した、消費者の意識、行動習慣の変化を促す啓発活動による市場創造
・NGO等と協働した、現地の有力者との提携、現地の女性や起業家育成によるチャネルの構築
・シンプルで堅牢、操作・メンテナンス容易、手に入れやすい価格、電力不要など、現地のニーズに合った製品の開発
貧困問題を抱える市場は、将来の成長ポテンシャルを持つ市場でもあります。そうした市場の創造にチャレンジすることこそが、SDGsビジネスの本丸です。「わが社はSDGsに取り組んでいます」という企業は、是非、そうしたチャレンジをして欲しいものです。
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