top of page
検索
  • takehikomizukami

NEO三方よしによる持続的安定成長

以前、「三方よし」は、気候変動、サプライチェーンの人権や生態系破壊の問題への対応などグローバルな視点を持つ、慈善活動を超えてビジネスを通じたスケーラビリティのある社会課題解決の視点を持つといったことが必要と指摘した


こうした課題に対して、最近は、三方よしを現代に則した形で進化させ「NEO三方よし」を提唱する動きがあるようだ。持続可能な地球を守るために時間概念を取り入れた「明日によし」を加えることなどが検討されているようだ。日本企業になじみのある三方よしという文脈をベースに、サステナビリティ経営を考えるのは、良いことだ。


三方よしの考え方も理由の一つとされているが、日本には長寿企業が多い。世界で200年以上続いている企業は約5,500社しかないが、その半数以上が日本企業だとされる。また、100年以上続く日本企業や約33,000社あるという。


一方で、最近は、ゾンビ企業を存続させては産業の新陳代謝が進まないなど、企業が長生きすることは必ずしも良いことではないという論調もある。日本企業は確かに長生きだが、成長率が低い「持続的低成長企業」が多いと揶揄されることもある。


長寿であることは悪いことではないだろう。「持続的低成長企業」はどうだろうか。社会の安定のためには、こうした企業も必要だろう。地域で、安定して雇用を守る企業の存在は重要だ。しかし、それだけでは経済の活力が失われる。リスクを取って高い成長を目指す企業も必要だ。


少し前に議論があったG型・L型にも近いだろうか。リスクを取って高い成長を目指し、グローバルに打って出るような新しい企業がどんどん出てくることは必要だ。一方で、低成長であっても持続性があり地域の雇用や経済を安定させる企業の存在も必要だ。両方がバランス良く存在することが求められる。


また、ジム・コリンズのビジョナリーカンパニー④で紹介されているような、厳しい状況下でも断固として高い成果を出す、快適な状況下でも行き過ぎないように自制する「20マイル行進」を行う高いレベルでの規律を持った「持続的高成長企業」も必要だろう。


三方よしに戻るが、地域の雇用を守る安定企業は、従来の三方よしを中心としつつも、世界や未来の動向も意識したほうが良いだろう。この点では、NEO三方よしの考えやSDGsなどを意識することが役に立つ。一方で、グローバルで高い成長を目指す企業は、NEO三方よしやSDGsなどと言うまでもなく、サステナビリティを含む世界の潮流には高い感度を持って対応しなければならない。そうでなければ、あっという間に市場から淘汰されるリスクがある。


三方よしは、SDGsなどとも関連付けつつ、広く浸透させることで、社会に貢献する持続的安定成長企業を増やし、社会の安定確保に役立つ考えだと思う。

閲覧数:19回0件のコメント

最新記事

すべて表示

「危機に瀕する氷見を持続的に発展させていくためにどうすべきか。」短中長期の取り組み

私は、「故郷の氷見に貢献したい」と思い続けているが、この思いはどこから生まれているのか?氷見が本当に良いところだということもあるが、氷見で過ごした少年時代の日々が楽しかったことも大きいだろう。氷見の象徴である海越しの立山連峰を見るたびに、郷愁の念に駆られるとともに、また頑張...

「経営マテリアリティ」とは何か?それを特定することにどんな意味があるのか?

いつも「マテリアリティ特定はサステナビリティ経営において最も重要な取り組み」と言っている。それは間違いない。 サステナビリティ経営におけるマテリアリティとは、以下のいずれかだ。 ① 自社が大きな負の影響を及ぼしており責任をもって対応すべきイシュー...

「サステナビリティ」と「ESG」は異なるが、それを統合していくことが目指す姿である。

「サステナビリティ」という言葉と「ESG」という言葉があります。多くの人や企業は、この2つを特に区別せずに使っているようです。しかし、この2つは本質的に異なる概念です。(異なる概念として区別して整理すべきです。) 「サステナビリティ」は、経済的成長を求める資本主義の弊害とし...

Comments


bottom of page