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IPBES報告書がビジネス環境のCSVを提唱

  • takehikomizukami
  • 2月27日
  • 読了時間: 3分

「生物多様性と自然」に関わる科学的評価を実施するIPBES(気候変動におけるIPCCに該当)が、初めてビジネスに焦点を当ててまとめた「ビジネスと生物多様性評価報告書」の政策決定者向け要約が発表された。


2026年10月にはCOP17が開催され、昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)の中間レビューが行われる。2030年目標に向けた折り返し地点となるこのタイミングで発表された報告書は、企業や政府などが生物多様性の現状を評価し、さらなる行動を加速させる上で重要なメッセージを含む。


IPBES報告書は、産業革命以降の急速な自然の損失の主たる原因は、急速な経済発展の中核であるビジネス活動にあるとしている。一方で、企業によるTNFDにもとづく情報開示行われているが、実質的な取り組みは進んでいない。


企業の取組みが進まないのは、自然を破壊する経済活動への補助金の存在など、企業活動が自然の損失につながるインセンティブが支配的で、自然資本を保全するインセンティブがないためだ。(報告書は、自然に負の影響を及ぼす資金は約7.3兆ドルである一方、自然に正の影響を及ぼす資金は約2,200億ドルに過ぎないとしている。)


こうした状況を受けて、報告書は、生物多様性にとって真に有益な方向へビジネスの行動を導くために必要な、以下の5つのEnabling Environment (行動を可能にする環境)を提示している。


1. 政策、法的、規制的な枠組み

2. 経済と金融システム

3. 社会的価値、規範、文化

4. テクノロジーとデータ

5. 能力と知識


IPBES報告書では、これらのEnabling Environmentにおける課題、政府、金融機関、企業などが取り組むべき行動が整理されており、企業には以下のような取り組みを求めている。


A)自社の事業活動、バリューチェーンおよびポートフォリオ全体において、生物多様性に正の影響をもたらす行動を可能するためのガバナンスおよび戦略的枠組みを構築すること。

B) 事業拠点において、ミティゲーション・ヒエラルキーを適用しつつ、サイトレベルおよび陸域・海域(ランドスケープ/シースケープ)レベルで生物多様性に正の影響もたらす行動を実施すること。

C) バリューチェーン全体で、上流および下流の関係者と協働しながら生物多様性への影響と依存関係に対処すること。

D) 金融機関の場合には、資金を生物多様性に有害な活動から、生物多様性に正の影響をもたらす活動へと転換すること。


なお、ここで示されているEnabling Environmentは、CSVにおける「ビジネス環境/ビジネスエコシステム」に該当する。CSVでは、以下のような「ビジネス環境」を整備することで社会価値と企業価値を両立しやすくすることを基本アプローチの1つとしている。


(1)事業の円滑な運営を可能とし、ヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源を強化する「事業インフラ」(道路や空港・港湾などの輸送インフラ、人材を育てる教育機関や特定の教育を受けた人材、製品・サービスを生み出すために必要な原材料やエネルギーの供給体制、資本を提供する金融機関、最新の情報を迅速に得るためのインフラなど)

(2)バリューチェーンを支えるサプライヤー、流通や加工業者などの「関連業界」

(3)市場における公正な競争を可能とする規制、事業慣行、市場の透明性などの「競争ルール」

(4)市場が新しい製品・サービスを受け入れるための消費者の知識やスキルなどの「需要条件」

(5)事業に影響を及ぼす「ステークホルダーとの関係」


IPBES報告書では、生物多様性にとって有益な方向へ企業の行動を導くためにビジネス環境の整備を求めている。CSVのフレームワークが根付いてきたと言えるだろうか。


(参考)「IPBESが『ビジネスと生物多様性評価報告書』要約を公開~社会変革に向けた企業と政府の役割」WWFジャパン

 
 
 

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