top of page

ESG投資は金余り後も継続するか

  • takehikomizukami
  • 2021年2月28日
  • 読了時間: 2分

世界的な金融緩和によるカネ余りはいつまで続くのか。金融の影響力が大きい今の時代には、なかなか金融を引き締めるのは難しい状況にあります。しかし、金融緩和が永遠に続くということもないでしょう。


現在は、ESG投資が活況です。この理由の一つに、カネ余りがあると思います。金融機関としては、社会に貢献しているというイメージが得られるESG投資は、余っているカネの使い

道としては、筋の良いものです。


問題は、金融の引き締めでカネ余りにブレーキがかかってもESG投資の活況は継続するのかということです。ESG投資で十分なリターンが得られれば問題はないでしょう。しかし、ESG投資で十分なリターンが得られるかについては、懐疑的な見方をしている人も多いでしょう。それもそのはずで、ESGを考慮すれば自動的に高いリターンが得られるということは当然ありません。


一方で、個々の企業をみた場合、ESGの取り組みを戦略的に行えば、長期的な競争力が高まるのは間違いありません。気候変動の影響を大きく受ける業界で、脱炭素投資をどう行うかは、長期的な生き残りに直結します。また、あらゆる業界で、人材投資をどう行うかで、長期的な競争力に差が付きます。


すなわち、投資家が、企業がマテリアルなESG課題に戦略的に取り組んでいるかをしっかり評価できれば、ESG投資は高いリターンを生み出すと考えられます。それが出来れば、カネ余りにブレーキがかかってもESG投資の成長は続くでしょう。


しかし、現状は、企業のESGの取り組み、投資家のESG視点での企業評価はいずれも発展途上にあります。逆に言えば、ここには大きなオポチュニティーがあります。それが、ESG投資が注目される本当の理由かも知れません。

 
 
 

最新記事

すべて表示
「サステナビリティを適切に実践することで、収益性が21%向上する。」サステナビリティのビジネスケースに関する最新のレポート

サステナビリティのビジネスケースに関する議論は終わった。過去10年間の研究は、サステナビリティが優れた財務パフォーマンスにつながることを示している。 主なポイント: ・新たなデータによると、サステナビリティを適切に実践することで、収益性を21%向上させるなど、優れた財務実績につながることが示されている。 ・企業は顧客向けに価値提案を定義することが多いが、取締役会、経営幹部、事業部門リーダー向けには

 
 
 
「気温よりも人間の福祉へのインパクトを成功の指標とすべき。健康、農業などの適応戦略を重視すべき」気候変動に対するビル・ゲイツ氏の主張は現実を見据えている

ビル・ゲイツ氏がブログ「Gates Notes」で10月29日に公開したエッセイ「気候に関する3つの厳しい現実(Three Tough Truths About Climate)」が話題となっている。これまで気候変動対策を重視してきたビル・ゲイツ氏がスタンスを変更したと解釈されている。 「3つの厳しい現実」とは以下だ。 1.気候変動は深刻な問題だが文明を終焉させるものではない 2.気温は気候対策の

 
 
 
市場メカニズムのもとで社会課題解決をしようとしてもうまくいかないことがある。道徳的規範に訴える視点を忘れてはいけない。

マイケル・サンデル著「それをお金で買いますか-市場主義の限界-」は、いろいろなことを考えさせられる著書です。 サンデル氏は、現在は、あらゆるものがカネで取引される時代、あらゆるものが市場メカニズムに組み込まれる時代だが、その中で道徳的規範が失われ、社会が腐敗しているのではないか、と懸念しています。 ローマ教皇のミサの無料チケットをダフ屋がネットで販売する、イヌイットが伝統文化保全のために認められて

 
 
 

コメント


Copyright(c) 2019 Takehiko Mizukami All Rights Reserved.

bottom of page